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妾の防衛線

妾は城壁に残った。

敵は城壁に上り始めた。

一人戦う衣装ではない妾に敵は群がる。

敵も妾が大将の一人だと気づいた。

群がる敵は、妾の周りにいる兵士達が倒してゆく。

「妾はここにいます。みなさん持ちこたえてください。」

兵士の顔には鬼気せまるものが浮かんでいた。

城壁にいる兵達は覇王の軍勢を押し返し魔法兵の炎の魔法の一斉掃射で梯子車の一台が燃え上がった。

燃え上がる梯子車を見て覇王の軍勢は退却を始め遠めに陣を張る。

兵士の喜びの声があふれる。

妾はなるべく上品に見えるように部屋に帰った。

部屋に入るなりへなへなと倒れこむ。

ハクレンさんに受け止められた。

「お疲れ様です。フレデリカ様」

ハクレンさんの優しい声が妾の耳に届く。

ハクレンさんの体に包まれた妾はそのまま眠ってしまいそうになった。


妾はハクレンさんの腕を取り立ち上がり部屋を出ようとした。

「おまちください」

ハクレンさんに呼びとめられた。

妾は振り向きハクレンさんに笑顔を向けた。

「昨日みたいに、皆さんの下に行かなきゃ」

「ならばせめてそのお召し物を変えてください」

妾はまだ血まみれな服のままであることに気づいていなかった。

ハクレンさんに手伝ってもらい妾は兵士達に労いの言葉をかけた

労いの言葉をかけ終わった僕は部屋に戻ると楓の魔法で回復したフレデリカに会った。

一応回復はしたけど血を失い少し安静にするらしい。それに女の子の日らしく休みたかったとも言っていた。

フレデリカは重いらしい。女神の治療魔法をかけたら思ったとおり軽減できた。よかったよかった


次の日

さらに兵数は増えていた。

妾が城壁に最初から立ち、兵士達に言葉をかけていた。

兵士達に絶望の色は少ない。

妾の前に亮が立っていた。

梯子車が城壁に取り付いて敵兵が上ってくる。

亮の一撃が敵を屠りつぶしてゆく。

その奮戦に兵士はさらに指揮を高める。

妾が走り回り戦いの緊張に押しつぶされそうな兵士に声を上げて鼓舞してゆく。

だが敵兵はとどまる事をしらない。

亮も肩で息をしながら戦い続けている。

守るべき妾がいる。奮戦する亮がいる。

この二つがあるから城壁の上は崩壊しないでいる。

太陽が沈む光が見えた。

「撤退!!撤退!!」

城壁の下でそのような声が聞こえた。

敵兵が一目散に撤退をしてゆく。

追う気力は妾達には無かった。

妾はもうボロボロであった。

敵兵の矢が頬をかすめたのは一度や二度ではない。

終わったのだ、防衛の三日が終わったのだ。

兵士達はみな倒れこんだ。

夜襲を警戒しなくてはいけない。

妾は魔法で目のクマを消し夜通し見張りの兵士を労った。

日が昇る頃

妾はフラフラになっていた。


次の日

覇王の軍勢は撤退していなかった。

いつもとは違う。だがこれはユリアンの魔法の格好の的である。

ユリアンは回復した魔力で四日前の魔法を繰り出そうとした。

「ユリアンさんもう少しゆっくり魔法をしてくれませんか?」

楓はユリアンにお願いした。ユリアンは慌てることではないので楓の言葉通りゆっくり魔法を発動させた。

雷が敵陣を襲う。何本も何本も落ちてゆく

兵士達がその迫力に歓声を上げる。

しかし魔法を終えてみると無傷に近い覇王の軍がいた。

「ばかな、防御魔法使いは貴重なはずなぜだ」

敵の魔法が終わったと見計らうといなや覇王の軍が動き出した。

「くそっ、あえて防御魔法使いがいると悟らせなかったな。くそっ」

将軍は机を叩いた。

外にいる兵士の顔は絶望に染まっていた。

この一撃でこの戦いは終わると思っていたからだ。

もはや戦う気力などないに等しい。

妾が城壁にむかって走りだそうとした。

そこへ誰かに腕を掴まれる。

「一回目は上手く形がわからなかったけど今回は見えた。任せて」

楓は右手を上げた。

「ん、難しい形、上手く出来ない」

妾は楓がやろうとしていることがわかった。

だが、うまくできないのか四苦八苦している。

妾は楓を見つめる。

楓は右手の指をかくかく動かしながら苦悶を浮かべている。

妾は違和感を感じていた。

いや、その違和感はもしかして正しいのかも知れない。正しくなくても指摘して損は無いはずだ

「楓は左利きじゃろ、左手でやってみたらどうじゃ」

楓は驚いた顔をした。

この世界の人間は魔法を使う時右手を上げる。だから楓は右手を使っていた。だけど楓は左利きなのだ。

「やってみる」そういって左手を上げると一瞬で空が暗くなる。

ゴロゴロと音が鳴り敵陣に雷が降り注ぐ。

雷の轟音にかき消され敵の悲鳴が上がる。敵陣が蹂躙されてゆく。陣を攻勢する木材や布が燃える。

ユリアンの数倍の量の雷が落ちている。

絶望していた。兵士の顔に生気が満ち溢れてゆく。

雷がやむと敵陣には動く者はほとんど無かった。

一番のチートは幼馴染です。

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