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チャプター5
達也は、思わず吹き出した。
そして、子供をあやす様に、渚の肩を軽く叩いた後、焼ナスを注文してやった。
口を尖らせていた渚の顔が笑顔になり、良し良しという様に頷いた。
「渚って、面白いね」
「面白いって、どゆ事?」
渚は、少しムッとした。
また、達也は渚の肩を叩いた。
「この店、よく来るの?」
「えッ!いやぁ、たま~にかな」
自分の付いた嘘が、何だか可笑しかった。
電話を切って、達也と会うまでの間、渚はずっと緊張しまくっていた。
あまりにも緊張し過ぎて、もしかしたら消えて無くなるんじゃないかと、本気で思ったくらいだ。
渚は、恋愛経験豊富という訳では無い。
電話では、信じられないぐらい喋る事が出来たが、初めて会う男と上手く喋れるか不安だった。
いっその事、帰ってしまおう。何度も思った。
でも、帰らなくて良かった。
(こんなに笑ったのは、久しぶりだなぁ)
渚にとっては、本当に久しぶりの楽しい時間だった。




