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ブルーザ討伐②

二段階目だ!


ブルーザの体が黒く光り、再び起き上がる。


「追加された固有スキルは時間泥棒とアトミックボムです!」


ブルーザの攻撃速度が異様に上昇し、周りの兵の動きが極端に遅くなった。


ブルーザの周り4点で大規模な爆発が起き、ものすごい光を発する。


あまりのまぶしさに目が見えなくなる。




爆発音がやむと、ブルーザの周りに4つのキノコ雲が出来ていた。


ブルーザは自身をも巻き込み、周りの兵を倒したのだ。


またブルーザの動きが早くなり、周りの動きが遅くなる。


残った兵をブルーザのライトボールで殲滅した。


ルナが大声で叫ぶ


「固有スキル!時間泥棒です!10秒間周りの時間を奪って遅くし、自身の速度を上昇させます!後2回使用回数が残っています!」


「アトミックボムはまだ使ってくるか?」


「いえ!さっきの攻撃で使いつくしました。」


ブルーザにとって2000の精鋭部隊は脅威であった。

自身を巻き込んででも殲滅する価値があったのだ。

周りの兵を倒した今危ないのは魔法部隊と弓部隊だ!


「まずい!魔法部隊と弓部隊が狙われるぞ!」

俺は叫んだ。


「ルナ!ブルーザの残り活動時間は分かるか!」

魔王が叫ぶ。


「12時間です!」


「各員散らばれ!私たちは全方向からブルーザを攻撃する!」


最後に魔王がひときわ大きな声で言った。

「倒すぞ!」


二段階目になると、狂暴化し死ぬまで攻撃を続ける。

今ここで逃げることは、2000の兵を見殺しにすることと同じだった。


俺たちがブルーザを取り囲もうとすると、ブルーザはまたもや時間泥棒を使い弓兵と魔法攻撃部隊を攻撃した。


さらに残りの時間泥棒のスキルを使い切り、周りの兵の数を減らしていった。


「私たちでブルーザを引き付ける!エムルとメアは生き残った者を回復し避難させろ!オガは兵を後方に運べ!」


魔王はブラックホールでブルーザを攻撃する。

他の者も出し惜しみなしでブルーザを攻撃した。


俺はブルーザの後ろ左足を何度も何度も斬りつけ、ブルーザの足を折らせた。さらに後ろの右足を潰し、前足に迫ろうとする。

ここで俺はブルーザのターゲットになり、俺は集中攻撃を受けた。ブルーザに近づくことが出来なくなり距離を取らされる。


ルナ、ベリー、アカがブルーザの前足を斬りつける。

ブルーザのターゲットがそれにより分散し、俺は再びブルーザを斬りつける。






戦闘はなかなか終わらなかった。


俺以外全員が切り札を使い切り、

ブルーザが足をやられ動きを止めた所で、ブルーザが全力でヒールを使いだしたのだ。


俺は叫ぶ。

「みんな、生き残っているものを避難させてくれ、俺がターゲットを取る!」



魔王が指示を出し、皆を避難させるのを確認する。


俺はブルーザの背中に乗り、土魔法で岩をぶつけつつ、ブルーザを斬り刻んだ。


斬った先から回復される。


知ったことか!


俺を見ろ!


俺を狙え!


ブルーザの視線が下の兵士に向く。


「ブルーザ!俺を見ろ!俺を狙え!」


俺はブルーザを斬りつける。


何度も何度も斬りつける。


攻撃魔法を駆使してこちらに注意を引き付ける。


ブルーザの顔に斬りつける。


ブルーザは自身の回復を止め、ライトボールを放つ。


「そうだ!俺を見ろ!俺を見続けろ!」


ウインは攻撃を続け、ブルーザは6つのヒールを同時発動させ、回復し続けた。






魔王達は全員の避難を終え、遠くでウインとブルーザの戦いを眺める。

すでに皆の回復魔法はほぼ枯渇し、ルナが出したポーションを皆に配っていた。


魔王が独り言のようにつぶやく。

「ウインが皆を守ったな。」


近くにいたウォールがそれに答える

「ええ。ウインが全力で注意を逸らしました。」


メアも会話に参加する。

「俺を見ろって言ってる時のウイン君。頼もしかったです。ウイン君、モテルのも当然です。」


魔王が笑う

「後でからかってやろう。」


ウインとブルーザの戦いは徐々にウインが優勢になっていた。


ブルーザのMP回復も追いつかなくなり、MPが枯渇し始めたのだ。

ヒールの使用回数が減り、ウインに一方的に斬り刻まれるようになった。


ブルーザの動きが鈍くなる。


ウインはブルーザの目を潰し、眉間を何度も突き刺す。


ブルーザが動かなくなる。


ウインはブルーザから飛び降り、魔王達の元に駆け寄った。


「ウイン!大丈夫か!?」

魔王もウインに駆け寄る。


「ああ、だが、MPがもう無い。みんなを回復したかったが。」


「後はこちらで処理する。ゆっくり休め。」


周りを見るとエムルだけがみんなに回復魔法をかけていた。

エムルの固有スキルはMP回復とかそういうのだろう。

回復魔法の使用回数が異常だ。

だが、今問い詰めるのはやめておこう。


後でだな!





俺たちは2日間キャンプをしてアーサー王国を目指す。


「さてエムル!固有スキルの詳細を教えてもらおうか。」

今までもおかしいとは思っていた。エムルはたくさん魔法を使っているような気がしていたのだ。だが今回の件ではっきりした。エムルは魔法をたくさん使えるスキルを持っている!


「それにしてもウインはお手柄だったね。最後は一人でブルーザを倒していたよ!」


ほう。話を逸らすか!よろしい。


「ルナ、エムルのスキルを教えてほしい。それとエムルのご褒美はしばらく無しな!」


「ま、待ってくれないかい!分かったよ!MPヒーリングのスキルでで僕のMPを回復できるんだ!効果は3分で50%だよ!」


「エムル、それはレベル1のスキルか?100のスキルか?」

レアジョブの場合レベル1と100で強力なスキルを覚えることが出来る。エムルは1つのスキルしか言わなかった。


ルナが口を開く。

「エムル、もう隠すのは無理ですよ。もう一つはハイMPヒーリングです。効果は3分で100%です。」


「ルナ、ありがとう。どうしてエムルは自分のスキルを言わないんだ?」

俺はルナに聞いた。


「ウインに口移しでMPを補給して欲しいんです。スキルがばれると、ウインは自分のスキルを使えと言ってキスをしてくれなくなるからです。」

なるほど、今回のブルーザ戦ではエムルから俺にMPを供給していたが、いつもは大体逆で、俺から皆にMPを補給することが多い。


「これは・・・・・四天王と一緒にエムル対策会議を開くか。」


「スキルを秘密にするのがそんなに悪い事かい?僕に厳しすぎるよ!厳しくするなら僕を縛り付けてお仕置きすれば良いんだ!」


「今までの罪の数々が積もり積もった結果だ!」

エムルは興奮すると暴走して周りが見えなくなる。本気で人を泣かせてることがあるからな。

しかも悪気が無いから厄介だ。

みんながみんなお前みたいにいじめられたいわけじゃないんだ。


そういうやり取りをしつつ、俺たちは帰り道を歩いた。





アーサー王国の王城が見えてきた。


「帰ってくるとほっとするな。」

「しばらくお休みしたいです。」

ウォールとメアがほっとした表情になった。


「そうだな。みんなゆっくり休みたいよな。」



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