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ブルーザ討伐

俺が魔の森で魔物狩りをしていると、ウォールから帰還するよう連絡があった。


アーサー王国に帰還すると、昼近くになっていた。


ベリー・エムル・ルナは完全に回復しており、行軍の用意も出来ているようだ。


俺は、聖剣の魔力補充の為聖剣を渡し、魔王から説明を受ける。

いつもの宿屋でバイキングの食事を取りながらの説明だったが、周りの視線を感じてやりにくい。


「メンバーは前回と同じ精鋭12人と2000の騎士達だ。メツ戦と同じようにウイン達で先行し、ルナにステータスを見てもらいたい。」


俺はもぐもぐとステーキを食べながら話を聞いた。

鉄板の上に乗った肉がじゅーっと音を出す。

肉の焼けた匂いが食欲をそそる。旨いな。


「魔物に感知された場合もメツ戦と同じでこちらまで引っ張ってきてかまわない。何か質問はあるか?」


俺は口の中に入った肉を飲み込む。

「質問っていうか、さっきから周りの視線を感じる。話に混ざりたいならみんなこっちに来てくれ。」

ほとんどの者が視線を外すが、エムルとルナが俺の隣に座る。

そのまま話を続けるか。

「少し話がそれるが良いか?」


「言ってくれ。」


「俺が倒したドラゴンなんだけど、まだストレージに入っている。受け渡しをしたい。」


「分かった、ただ、解体までは進めてもらうが、しばらく素材として保存したい。理由は今回の牛の魔物だが、恐らく名前持ちだろう。この大陸最強の名前持ちとして、アーサー王と討伐準備を進めてきたのだ。次の戦いで素材を使う可能性がある。」


「一回撤退して、準備し直してまた攻めるってことか?」


「あくまでその可能性もあるという事だ。」

名前持ちの場合、特殊な固有スキルを持つ可能性が高い。

メツ戦で嫌というほど思い知らされたのだ。

特に二段階目はスキルだけでなく、ステータスや形、特性までも変化する。

油断は禁物だ。


「質問は以上だ。」

俺は話の合間にステーキを口に入れる。



「ウイン、素材を受け取りたい。そのステーキを食べたらすぐに城に来てくれ。」

魔王が席を立つ。


俺はステーキを急いで口に入れ、水を飲んで城に向かう。

当然ルナとエムルも付いてくる。

腕に絡みついて離れないのだ。


「ウイン、早かったな。ドラゴンの数は1000体以上という話で間違いないな?」


「そうだな。ただ、小さいのが多いから素材の量は少ないぞ。」


「分かった。少しだけ待っていてくれ。」


魔王が城の奥に向かう。


「エムル、ルナ、周りに見られているぞ。」

近くの兵がちらちらとこちらを見る。


「かまいません。ウインと一緒に居たいです。」

「ウイン。気にしなくて大丈夫だよ。もっと激しいプレイも大歓迎さ。」


みんなすっかり元気になっているな。

俺たちは椅子に腰かけて待った。


すぐにアーサー王・ホープ大臣がストレージ持ちの者を連れて魔王が戻ってくる。


「素材を出すぞ。」


「ああ、頼む。」


俺は1000体以上のドラゴンをストレージから出す。


周りでちらちらとみていた兵士は、全員こちらを向いていた。


ドラゴンの山が出来上がる。


アーサー王達があわただしく動き出す。


「ウイン。ご苦労だった。今日は帰ってゆっくり休んでくれ。」

魔王の言葉で俺はすぐに帰る。


ドラゴンの山の周りに人が集まってきていた。


帰り道で俺たちは話をする。

「エムル、魔王は休めているのか?忙しそうだぞ?」


「大丈夫さ。ドラゴンの素材解体を引継ぎをしたら休めるはずだよ。」


「今回の討伐に向けて出来ることはすべてやっておきたいのでしょう。」

どんなスキルを持っていても対策できるよう、準備しておくのか。

確かに俺の斥候スキルの反応だけで判断すると、牛の魔物がこの大陸最強の名前持ちの可能性が高い。準備しすぎておくくらいでちょうど良いのかもな。





俺は食事のバイキングに戻ると、ベリーも参加し、4人で食事を再開する。


「みんな元気そうだな。」


「ウインも元気そうね。大活躍だったみたいじゃない。」


「ただゴブリンとドラゴンを狩っただけだぞ。」


「それを大活躍っていうのよ。」


「さっき城でドラゴンを出した時に、皆が驚いていました。ドラゴンの山を見る経験は一生に一度あれば良い方です。大きく新聞に載るでしょう。」


「今回はクロノが居なくてやりやすかったな。」


「僕の父がシャットアウトしたんだよ。ウインを休ませたいのさ。」


「魔王。グッジョブ!」

俺は親指を出し、どや顔をする。


3人が笑い出す。


平和だな。





次の日。


「目が覚めたな。」

俺はたっぷりと休息を取り、夜明け前に目覚めた。


ロビーに向かうとウォールが外を見ながら椅子に座る。


「ウォールか。早いな。」


「目が覚めてな。そう言うウインも早いぞ。」


「俺はスキルの効果で、回復が早いんだ。十分寝ると寝すぎになってしまう。」


「俺は緊張して起きてしまった。怖いんだろうな。」


ウォールを見ると、真剣な顔をしていた。

「ウォール。怖さが全くない人間は居ないと思うぞ。俺だって、嫌な予感は感じる。」


「そうだな。その通りだ。」

ウォールはきっとアーサー王国最強の騎士として、弱音を吐くことが出来ないんだろう。

皆をまとめ、周りからも期待される。

プレッシャーは計り知れないな。


「ま、出発して歩いてれば少しは気も紛れる。それまでコーヒーでも飲まないか?」


「いただこう。」


こうして夜明けとともに出発し、数日の行軍ののち、最強と思われる魔物と対峙することとなる。






◇






俺たちは牛の魔物の渓谷地まで来ていた。


朝日が昇り、俺たちは斥候のため動き出す。


でかい!10メートルほどの高さがある巨体で、歩くたびに地鳴りがする。

ルナの魔眼でステータスを確認する。


____________________


名前持ち ブルーザ メス

レベル500


スキル

ライトボール  初級光属性攻撃。

ヒール     初級回復魔法。

魔法飛距離上昇 魔法の射程を伸ばす。

固有スキル

MP回復    自身のMP回復量を常時上昇する。

六重詠唱   魔法を同時に6つまで使用可能。

____________________


「やはり名前持ちだったな。」


俺たちは素早く下がり、魔王に報告した。

ブルーザは幸いこちらに気づいていない。

感知能力は高くなさそうだな。


魔王が眉間に皺(しわ)を寄せた。

「スキルはそこまで問題ではない。だが、レベルが高いな。」

今までの2体の名前付きと比べ、約倍のレベルがある。

長射程のライトボールを撃ちまくってくるのは容易に想像できる。

初級魔法とはいえレベル500のライトボールは脅威なのだ。


魔王はステータスをまとめた紙を見つめ、考え込んだ。






攻撃の開始を決断したのは太陽が真上に来る頃だった。


「攻撃を開始する!」

ウイン一行を二段階目に備えて温存しつつ対ブルーザ戦が始まった。


迫るとブルーザは雄たけびを上げた。


ごおおおおおおおおおおおお!


ブルーザの周りに魔法陣が現れ、周りの兵を吹き飛ばす。

通常のライトボールは単体を攻撃するものだ。

だがブルーザのライトボールは後列の者までなぎ倒す威力を持っていた。

ブルーザの攻撃は弓と同程度の射程。

つまり俺たちが攻撃を加えようとすると魔法が飛んでくる。

一方的に弓で攻撃する戦法を潰されたのだ。


「ひるむな!攻撃を続けろ!」


みんなの集中攻撃によってブルーザのHPを半分程度まで削った。


「行ける!行けるぞ!」


「このまま押し切るぞ!」


ブルーザへの攻撃は順調だ。


時間はかかるがこのまま行けば倒せる!


問題は二段階目だ!



その時ブルーザの動きに変化があった。

六重詠唱を駆使して自身にヒールを使い始めたのだ。


ブルーザのHPは減っていく。しかしこちらも疲弊し始めていた。


「撤退だ!急げ!!」

魔王は素早く撤退を決断した。

正直俺が突っ込めば普通に倒せるが、俺は魔王の判断に従う。

二段階目を警戒したんだろうな。




◇





「幸いブルーザが追ってこなくて助かったが、ブルーザの対策を取って挑みなおしたい。意見のある者はいるか?」

魔王の言葉にエムルが返す。


「対策を2つ思いついたよ。1つはみんなの武装強化。ウインが狩ったドラゴンの素材もすべて使い切ってみんなの武具を強化するんだ。もちろん弓兵には爆炎の矢を持たせるよ。」

爆炎の矢は本来密集した集団に使うことで効果を発揮するが、ブルーザはとにかくでかい。爆炎の矢の範囲攻撃は効果的なのだ。


「うむ、財政が苦しくなるが致し方あるまい。」


「もう1つはウインのキャンプファイヤだよ。全力でキャンプファイヤを使うにはウインの最大MPの25%を消費するんだよね?」


何故か俺ではなくルナが答えた。

「その通りです。クールタイムは存在しません。私も役に立てそうです。」


「うん。ルナは察しが良いね。ウインにキャンプファイヤを使ってもらって、減ったMPを僕たちが口移しで回復させるよ。僕やルナ、ベリーだけじゃなく、四天王とメアにも協力をお願いしたいんだ。こうすることで、ブルーザに最低でも10発以上キャンプファイヤを撃ち込めるし、僕たち精鋭が力を温存したまま二段階目を戦えるよ。」

ブルーザ戦序盤でキャンプファイヤのスリップダメージを与えて、俺たちはMPポーションを飲んで休憩する。これなら二段階目に精鋭を温存出来るかもしれない。


問題はみんなが納得するかどうかだよな。


「私はウイン君に協力しますよ。」

メアはあっさり受け入れた。


セイラの目は泳いでいた。

四天王の残り3人がセイラをじっと見た。

魔王もセイラを見つめる。


「え?私は、や、やります。」


「「良かったね」」

アカ・チョコ・バンピーが一斉に言う。


必要なら、男も関係なく口移しで俺にMP供給をすることになった。

そんな事態は避けておきたいところだ。

エムルの案が全採用されたな。

俺たちは一旦アーサー王国に帰還する。


帰還する途中魔王が俺に声をかけた。

「ウイン、お前が攻撃に参加すれば倒せたかもしれないが、万全の対策を取って臨みたいのだ。」


「二段階目に向けて力を温存しておきたいんだろ?わかるぞ。」


「うむ。その通りだ。」


「魔王も精神的にきついだろうけど、ブルーザを倒せばこの大陸の名前持ちは一掃できる。」


俺たちがアーサー王国に帰還すると、すぐに錬金術師総出でブルーザ対策の装備強化が行われた。


爆炎の矢とドラゴン装備の作成には時間がかかるとのことで、俺たちは全員でこの大陸の魔物狩りを行った。


俺たちは出来るだけレベルを上げ、準備を整え、万全の状態で挑む。




◇





「今度こそ倒す。」

魔王はみんなを鼓舞する。


ブルーザ戦再開だ。



ブルーザを扇状に取り囲み、爆炎の矢が放たれる。

魔法による攻撃も行われ、足元には装備を整えた兵が近接攻撃を加える。


俺はその兵に紛れてブルーザの下腹にキャンプファイヤを3発お見舞いした。


「余裕で接近できるな。」

俺はMPポーションを飲み、後退する。


エムルが待ち受けており、

「ついに来たよ!」


エムルが何か言っていたが俺はエムルの唇を強引に引き寄せキスをした。

キスが終わるとエムルは、荒い吐息をあげる。


ルナにも急いでキスをする。

ルナの顔はうっすら赤くなり、目がウルウルする。


ベリーはガチガチに固まって真っ赤になっていたが俺はかまわずキスをする。

ベリーのMPをほとんど吸わずに俺のMPが回復したので俺は急いでブルーザの元へと迫る。


また下腹にキャンプファイヤを3発撃ち込むが、ブルーザが俺に目を向けた。


俺はベリー・セイラ・チョコにMPを補充してもらい、ブルーザの元に戻ろうとするが、ブルーザは俺にライトボールの集中砲火を浴びせてきた。


だが、俺にターゲットが移ったことで、ブルーザの足は無防備になり、兵の攻撃で血まみれになっていく。


「ウイン殿にターゲットが移っている今がチャンスだ!」


「足を潰すぞ!」


ブルーザは足を必死で動かすが、群がる兵の攻撃でブルーザのライトボールは再び足元に戻る。



「ウイン!今だ!」

魔王が叫ぶ。


俺はブルーザの下腹にキャンプファイヤを再び3発撃ちこむ。



俺はアカ・メアの口移しでMPを受け渡してもらう。オガとウォール、魔王も待機していたが、無視してチョコからMPを補給してもらい、ブルーザの元に戻ると、ブルーザの攻撃が止まり、ブルーザは足を折りながらヒールで回復していた。


俺は脇腹にキャンプファイヤを3発撃ち込んで素早く後退した。


「俺からも補給するか?」

ウォールはと真顔で言った。


「大丈夫だ。もう休む。」

俺はMPポーションを飲んで休もうとしたが、エムルがやってきた。


「ウインはもっとMPを回復するべきだよ。僕が協力するよ。」

と息を荒くさせた。


確かに!俺だけがブルーザの二段階目までにMPを回復しきれない気がする。


「その通りだな!二段階目のブルーザには万全の状態で挑むべきだ!」


油断は禁物だ!


全力で挑む必要がある!


もしここで俺が力を発揮できずに誰かを死なせてしまったら、俺は後悔する!


今まで名前持ちの恐怖はさんざん思い知った!


ブルーザ!俺は全力で挑む!


俺はエムルにキスをした後、女性陣全員にキスをして少しずつMPを補充してもらった。


「ウイン、ずるいぞ。後キスが不必要に長い!」

ウォールはまたも真顔で言った。


「違う。必要な処置だ。」

俺はウォールから目を逸らす。


魔王が叫ぶ。

「ルナ!魔眼の用意だ!」


二段階目は近い。






最後までお読み頂きありがとうございます!ここまで少しでも、ほんの少しでも面白いと思っていただけた方はブクマ、そして下の☆☆☆☆☆から評価をお願いします!

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― 新着の感想 ―
[一言] ストーリーはいいと思う。少しぐだぐだと話がのびすぎかなとは思う。少々誤字脱字が多いが、がんばってほしい。
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