イラつくウイン
「クロノ、なんで来た?」
「取材ですよ。」
「クロノは冒険者学校では優秀な魔法使いだったんですよ。」
マインはにっこりとほほ笑んだ。
魔法使いか、エムルと同じものを俺は感じていた。
しつこさみたいなものが似てるよな。
「インタビューをお願いします。」
「ノーコメントです。クロノ、そろそろ帰ろうか。」
「疲れたので少し休んでいきます。」
「ルナ、そろそろ出かけよう。ベリーはみんなと一緒に話をしていてほしい。」
俺はベリーにさりげなくクロノの世話を押し付けてログハウスを出た。
ウインとルナが出かけると、女子会が始まった。
「ウイン君にしつこくしちゃダメだよ。嫌われちゃうよ。」
「仕事だから。」
「クロノは普通にいつものように話した方が良いと思うわ。」
「キャラを演じながらじゃないと、うまくしゃべれない。」
「うまくしゃべれなくても大丈夫よ。」
「その辺で良いかな。」
「そうね。この話は終わりにしましょう。」
「ベリーはいつもこんなにおいしいお菓子を食べてるのかな?」
「そうね」
「うらやましいんだよ。」
「うらやましい。」
「ルナ様のレベル上げは進んでるかな?」
「ちょっとずつすすんでるわよ。」
「ルナ様は私たちよりレベルが高いんだよ。」
「ウインの特訓はスパルタだからよ。」
「英雄はやっぱり意識が高いのかな?」
「真面目な感じがするんだよ。」
夜になり、「ウインとルナは魔物狩りを終え、ログハウスに戻る途中だった。
「クロノたちがまだいる!あいつら泊っていく気か!」
俺は勢いよくドアを開けた。
「みんな、そろそろ帰ろうか!」
「ウインさん、いたいけな女性3人をこんな夜中に追い出すなんてひどいです。」
クロノは目をウルウルさせて言った。
「わかったよ。大丈夫だと思うけど泊って行ったら良い。追い出しても大丈夫だと思うけどな。」
「ウインさん、インタビューをお願いします。」
「出かけてきます。」
バタン
俺はルナをログハウスに入れるとすぐに扉をしめ、高速離脱した。
今夜の薬草狩りは長くなりそうだな。
次の日の朝、俺はログハウスに戻るが、クロノの気配があった。
しかも俺の部屋じゃね?ルナと一緒に寝てるし。
「ルナ。来てくれ。修行の時間だ。」
俺は気配を消してルナを起こして修行へと向かった。
夜になり、ログハウスに向かおうとするが、まだクロノの気配がする。
しかもシー・マインはもういないだと!クロノを置いて帰ったのか!
ここは強硬手段に出るしかないか。
「ベリー、クロノを町に返してきて欲しい。」
「良いけど、クロノは言うことを聞かないと思うわ。」
「俺がスリープの魔法で意識を奪う。その間に頼む。もし途中で目を覚ましても良いように薬を渡しておこう。」
「そこまでするのは悪い気がするわ。」
「そっか・・・しょうがない俺がやろう。」
俺は朝の3時にクロノが寝ている寝室に入った。
「ウイン君?」
「スリープ!」
俺はクロノをベッドの布団で包んでロープで縛り、担いで町へと走り出した。
町に着くころにはすっかり明るくなり、町の人が俺をじろじろ見ていたが、俺は無視してクロノの布団を外した。
「ショック!」
クロノに電気を流して意識を覚醒させた。
「あがががが!ここは?」
俺はクロノの荷物を渡してダッシュでその場を去った。
「ディアブロ王国の魔物狩り再開だ!」
「ルナがレベル96に上がったな。」
シーとマインが来て、手紙を渡してきた。
「魔王様から手伝ってほしい事があるみたいなんだよ。」
「分かった。一か月後に向かい始めると言ってくれ。」
ルナとベリーは驚いて俺の顔を見たが、シー、マインにはばれなかった。
シーとマインが帰ると、ベリーが口を開く。
「一か月は長すぎない?」
「内政の手伝いみたいだから、もう少しルナのレベルを上げてから行くことにする。」
「大丈夫でしょうか?」
「内政の手伝いなら、人が死ぬこともないし大丈夫だろ。」
俺はルナのレベル上げをなかなか進められずいら立っていた。
ルナのレベルを100に出来れば、ルナの悩みも消え、レベル上げが楽になる。
だが今まで、内政の手伝い、スイーツコロシアム、クロノの登場、相性の悪いゴーレムとの戦闘で、なかなかルナのレベル上げを進めることが出来なかった。
少しくらいごまかしても良いよね。
「ルナ、もう少し修行を頑張ってみよう。」
「分かりました。」
「レベル97に上がりました!」
「よし、頑張ったな!後3レベル!」
またシー、マインが来た。
「ウイン君にもっと早く戻ってほしいんだよ。」
「要件は何かわかるか?」
「分からないかな?」
「そうか、ベリー。先行して戻って手伝っててくれないか?」
「でも、ウイン君に戻ってほしいんだよ。」
「少しだけ遅れて戻るよ。遅れるのは少しだけだ。俺とルナはやることが残っているんだ。すぐに出かけるな。」
俺はルナを担いで魔物の居る所まで走って行った。
「大丈夫でしょうか?」
「大丈夫だ。ベリーは四天王と同じくらいの力を持っている。ベリーが居れば大丈夫だ。」
「私の為なら、私のことは後回しでも大丈夫ですよ。」
「もう少ししたら戻る。修行をしようか。」
「・・・はい。」
「レベル98になったな。」
「あと少しです!」
「もうしばらくすれば99に上がるな!」
「はい!あと少しです。」
「ん?セイラの気配がする。」
セイラがこちらに近づいてきた。
「ウイン様、どうか助けてください!」
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