元勇者パーティーの女子会
元勇者パーティーの、ベリー・マイン・シーは3人で女子会を開いていた。
「ここはランチもデザートも評判が良い店みたいね。」
「そうだよ。ランチを食べるならここにしようってシーと決めてたんだよ。」
「うん、おいしいわね。」
3人はミニパスタとパン、デザートとドリンクのセットメニューを頼んでいた。
「最近ウイン君とはどうかな?」
「え?な、なんでよ?ふ、二人はどうなの?」
明らかに動揺している様子を見てシーとマインは顔を見合わせた。
ベリーが動揺するのは二人にとって珍しいことだった。
「私は恋は全然何もないかな。」
「私も恋は全然だよ。」
ベリーは『恋』の言葉を強調されて目が泳ぎ始めた。
「それで?ウイン君とはどうかな?」
「なにも無いわよ。このデザートおいしいわね。」
ベリーは露骨に話題を逸らそうとするが、シーは逃がさない。
「そうだね、ベリーとウイン君はこのデザートみたいに甘い生活が出来ているのかな?」
「ウイン君とどこまで進んだのか気になるんだよ。」
二人は興味津々でベリーを見つめた。
「な、何もないわよ。どうしてそんなに気になるのよ!」
「ベリーとウイン君のデートが新聞に載ってたんだよ。」
「!!!!」
「もしかして知らなかったかな?」
「初耳よ!」
「ベリーは有名人だから、たまにチェックした方が良いんだよ。」
「そ、そうね。」
「あ、前に言ってた友達が来たかな。」
ベリーがシーの視線の先に目をやると、見知った顔があった。
「ベリーさん。お久しぶりです。今日はたっぷりお話をしましょうね!」
ベリーは固まって動かなくなった。
「ベリー。大丈夫かな?」
「早速ですがウインさんのどこに惹かれましたか?」
「え?普通だよ。」
「ベリーさん。嘘はいけません。デートの時のベリーさんのあの顔を鏡で見てもらいたかったです。そんな子供でも分かるような嘘はいけませんよ。」
クロノはずいずいとベリーに近づいた。
ベリーは赤くなってしゃべらなくなった。
クロノはシーとマインに押さえつけられて口を封じられた。
「今はお仕事はお休みだよ!」
「普通の会話が良いかな!」
「クロノは真っすぐすぎる所があるんだよ。」
「普通の話をしましょう!みんなアーサー王国での暮らしは満喫できてる?」
ベリーが話題を切り替える。
「幸せだよ。寛容な人が多いから批判を気にせずマイペースでいられるんだよ。」
デイブック民主国はまじめだが他人への批判が多く、本当の意味での自由が限られた国だった。
もちろん全員が批判的というわけではない。批判をする人間の割合は限られていたが、新しいことを始めるには障害の大きい国だった。
「私も同じかな。」
「そうね!税金も安いし暮らしやすいわ!クロノはどうなの?」
「デイブック民主国、あそこにいた頃は批判や恐怖をあおる記事しか書けなかった。でも今は褒める記事が書けて幸せ。」
これがクロノの素のしゃべり方なんだろう。
こっちのしゃべり方の方が似合っているのかも。
「でもベリーがうらやましい。」
「なんでよ?」
「ウイン君と生活してるから。」
「いつも一緒にいるわけじゃないし・・・・・」
「そこまで言われるとウイン君と会ってみたいかな。」
「私も気になるよ。」
「そんな・・・普通よ。」
ベリーは気づいていなかった。
ウインの話をする時一番幸せそうな顔をしていることに。
「今日はウインの話は無しよ!!」
「取材の許可。欲しい。」
「だめですうううぅ!」
ベリーの言い方にシーとマインが笑いだした。
「ベリーがそんな言い方するのは意外かな!」
「珍しいんだよ!」
ベリーは爆笑する二人を見て少し呆れた。
「もお。そんなに笑う?」
クロノもくすくすと笑っていた。
「もお!みんな笑ってるわね!」
クロノはその後のんびりとランチを食べていた。
だが、すでに食べ終わった3人の視線を感じて高速モードに切り替えた。
「急がないで!ゆっくり食べてね。」
「速く食べるの。馴れてる。」
クロノが速攻でご飯を食べると店を出た。
宿屋
「お帰り、女子会は楽しめたか?」
「ただご飯を食べただけよ。」
なぜかベリーは赤くなっていた。
「ウインの話は盛り上がったかい?」
「何もなかったわよ。」
「あやしいねえ。」
ルナは3人のやり取りを見てにこにことほほ笑んでいた。
ベリーが嘘をついていることは魔眼でばっちり見抜いていたが、気を使って言わないのだ。
ベリーは可愛いですね。
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