聖剣の英雄
式典が終わるとすぐにアーサー王国に戻った。
今度はアーサー王国からの呼び出しだ。
「あれ?魔物狩りをしようと思ってたんだけどな。」
「今国にある3本の聖剣を抜けるかどうか確かめたいようです。抜けたらウイン一行にもらってほしいみたいです。」
昔に伝説の鍛冶師が12本の聖剣を作ったが、徐々に失われ今は3本のみが残っているという。
アーサー王国に伝わる大事な物のはずだ。
「大丈夫か?ディアブロ王国の生命の腕輪をもらったのがあったから無理してないか?」
「いえ、大丈夫です。ウインは聖剣をはるかに超える働きをしています。当然のことです。」
「まあ、行ってみようか。」
「はい!行きましょう!」
体力が有り余っているので、ダッシュで戻る。
途中ルナをおんぶして戻った。
王のもとに案内されると、ウォール、メア、100人隊長10人が勢ぞろいしていた。
「精鋭が勢ぞろいしてるわね。」
「今から聖剣の適性を見る。ルナたん。説明をたのむよ。」
「聖剣は現在3本あります。」
エクスカリバー
レイバーティン
月光
「この3本です。ただし、剣との相性やレベルによってさやから抜けない方がほとんどです。」
「ウイン殿、聖剣を抜けるか試してみてもらえるか?」
「その前に、この国の精鋭にもやってみてほしい。俺が抜けるかどうかもわからないし。もし抜けても使える人が何人かいるかもしれない。」
「うむ、では100人隊長から順次試してもらう。」
「ごおおお!ぬけないいいいい!」
「駄目なのか!」
100人隊長は惨敗だった。
「私もやりたいです!」
「メア、お前は剣を使えないだろう。抜けても意味がないぞ。」
「いいじゃないですか!やるだけやりたいんですよ!」
「わかった。メアとウォールの二人も試してみてくれ。」
「んぎいいいい!。抜けません!全敗ですう。」
ウォールは真剣な顔をしていた。
こちらにも緊張が伝わってくる。
月光を手に取った。
「うおおおお!おおおおお!だ、ダメか!
月光をさやから抜こうとするが、どんなに力を入れても抜けない。
「次はレイバーティンか、うおおおおお!」
雄たけびを上げながら剣を抜こうとするが、全く抜ける気配すらなかった。
最後はエクスカリバー
「頼む!一つだけ!これだけで良いんだ!抜けてくれ!頼む!」
ウォールは深呼吸をしてさやから剣を抜こうとする。
「おおおおおおお!抜けない!」
「俺は、選ばれなかった・・・俺じゃダメなのか。」
見ているこっちが悲しくなるほどウォールは落ち込んでいた。
「次はウイン一行だな。」
「エムルもやってみるか?」
「僕は大丈夫だよ。」
「じゃ、ルナとベリーだな。」
「私がやります。」
月光とレイバーティンは全く反応がなかった。
エクスカリバーを抜こうとしたとき、
「ンんンんン!抜けません。」
エクスカリバーが薄く光った。
「ルナたん、レベルを上げればきっと使えるよ。」
「本当ですか!やりました!」
ルナは子供のようにはしゃぐ。
ベリーは3本ある聖剣の内、まっすぐレイバーティンの元へと進んだ。
「この剣にピンと来たわ。」
ベリーは力を入れずにすっと鞘からレイバーティンを抜いた。
「おおおおおおお」
周りから声が上がった。
ベリーが剣を軽く振ると、炎をまとったレイバーティンが唸るような音を上げた。
試しにベリーに他の剣を抜いてもらおうとしたが、レイバーティン以外の適正は無いようだ。
「最後はウイン殿。」
「抜ける気がしないな。」
月光から。
力を入れずにすっと引き抜くことが出来た。
三日月のような刀身が月のように光っていた。
「おおおおおおおおお」
「他の剣も試してもらえないかな?」
エクスカリバーを引き抜くと、太陽のようにまぶしく剣が光った。
「おおおおおおおお」
最後はレイバーティン
「うん、普通に抜けたな。」
「明日聖剣の式典を行いたい。全員参加で頼む」
ウォールはずっと暗い顔をしていた。
「・・・・・」
俺はウォールのあの顔がしばらく頭から離れなかった。
次の日
「これより聖剣授与式を行う。」
「式の規模が大きいな。」
観客席には1万人ほどの人が注目しながら見ていた。
アーサー王がベリーにレイバーティンを授与した。
次は俺の番
アーサー王は月光とエクスカリバー2つの剣を俺に授与した。
「え?2つ?」
アーサー王が小声で言った。
「エクスカリバーの授与はルナたん用だ。」
ずっと一緒にいてね。という意味だろう。
授与が終わると俺はルナに言った。
「ウォールにあげたい物があるから時間を取ってほしい。」
その声に反応した者がいた。
「ウォールさんにあげたい物というのは何ですか?」
クロノが素早くこっちに来た。
こいつ、地獄耳か、結構遠くにいたはずだぞ。
「ふっふっふ!ウインさんの唇の動きからわかりますよ。聞こえなくてもいいんです。」
こいつ!無駄な高性能っぷりを発揮してるな!
しかも声が大きい!
「ウォールにあげたい物とはなにかな?」
アーサー王が反応したことでクロノはニヤッと笑った。
「皆さんも聞きたいですよね!?」
「聞きたいぞーー!」
「教えてー!」
「いや、ただの魔剣だ。」
「ウォールを今すぐここへ連れてまいれ!!」
「は!ただいま!」
急遽ウォールへの魔剣の授与式が行われることになった。
「いやあの、そんなすごいものじゃないと思うんだ。」
「魔剣を見せてもらえませんか?」
ルナが真剣な顔で言った。
俺は魔剣を取り出した。
「こ、これは!すごい力を感じます!聖剣に迫るほどの力を秘めています!」
「皆の者!聞いたな!」
「ルナ様がおっしゃるんだ!間違いない!」
「やっぱりウインは真の英雄だな!」
俺が魔剣をアーサー王に渡し、アーサー王がウォールに魔剣の授与を行うという式を終えると、クロノが中央に上がり、ウインへの質問を開始した。
クロノのおかげでウインの影の英雄行為を白日の下にさらしたということで、クロノは今回特別待遇を受けていた。
「ウインさん、ウォールさんへの魔剣授与の件ですが、なぜそうしようと思ったのですか?」
「回答を拒否します!」
「聞きたいぞ!」
「教えてー!」
く、逃げ道をふさがれたか!
「皆さんが聞きたがっているんです。」
「聖剣をもらって使わなくてあまったからだ。」
「それが一番の理由ではありません!私の魔眼はごまかせません!一番の理由を言ってください!」
ルナが叫ぶ。
「ウインさん。一番の理由を教えてください。」
く、逃げられない。
「聖剣を抜けるか確認した時に、ウォールが聖剣を抜けないのを見て、嫌だったんだ。なんでこんなに国の為に頑張ってるウォールが抜けないで、相性だけで選ばれたものが抜けるんだろうって思った。ウォールは力を持ってる。でも相性が悪いだけで抜けない?俺はそれが嫌だった。その後に考えたんだ。どうすればいいか考えて思いついた。そうだ!俺は魔剣を持っている。ウォールが使えるじゃないかと思ったんだ。それだけなんだ。」
ウォールはその話を聞いて目頭を押さえる。
目がうるんで泣きそうな顔をしていた。
「それでは、ディアブロ王国で授与された生命の腕輪を四天王補佐のオガさんにあげた理由をお聞かせください。」
「え?それ今回の授与と関係ないんじゃないか?」
「聞きたいぞ!」
「教えてくれー!」
答えないのはダメ!嘘はばれる!く!逃げられないぞ!
「オガは生命の腕輪と相性が良いと思ったのと、前に出る特性を持つオガが生命の腕輪を装備したら、死ににくくなると思った。それにオガは防衛戦の英雄だと思ったから喜んでほしかった。あれ?これって俺がずっと質問され続けるのか?」
「いえ、大丈夫です。質問は3つまでと言われています。」
あと1つあるのか。
「最後の質問です。私のことを異性をしてどう思っていますか?」
「え?」
・・・・・
「いいぞーー!」
「プロポーズだ!」
「盛り上がってきたぞ!」
何だ!最後の質問が一番盛り上がってるし!
「答えてください!」
「美人だと思うけど、話しにくくて性格的に合わないかなーと思ってる。」
「マスコミという立場で鋭い質問をしているだけで、本当の私は」
俺はクロノの話を無視して退場させる。
「ハイ3回の質問以外受け付けません!退場させなさい!」
兵士二人に両腕を掴まれてクロノは退場した。
俺はこの状況を笑いに変えることで何とかクロノを退場させた。
「ああ!待ってください!もう少しお話を!」
・・・・・
「俺も帰ります!」
最後グダグダなまま授与式は終わった。
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