ブレイブの悪あがき
「くそ!俺が強制労働だと!この国はおかしいんだ!」
ブレイブは罪人として、粗末な服を着てみすぼらしい生活を送っていた。
電撃を流す効果を持つ魔道具を、首と両手足に計5つはめられ、ひたすら木を切り倒して運ぶ作業をさせられていた。
「おい!ブレイブ!さぼるなよ!」
「誰に向かって口を、ごふぉ!」
ブレイブは監視に殴られた。
「電気を流して苦しめても良かったんだぞ!この程度で済んで感謝しろよ!」
監視はにやりと笑った。
くそ!くそくそくそ!
今に見てろよ!みんな殺してやる!
この俺がこんな所にいるのは間違っているんだ!
その夜、
「たすけてやろうか?」
どこか子供のようにぎこちない声が聞こえた。
「声がする?だれだ!」
そこには全身を布で覆われた小さな男が立っていた。
「お前、どうやってここに入ってきた?」
「たすけてやろうか?」
「何が目的だ!」
「まものとひとをたおしてつよくなってほしい」
「おい!指図するなよ!」
ブレイブは助けを差し出そうとした小男に怒りを露わにした。
ブレイブは自分の事しか考えられない人間なのだ。
「いっかげつごにまたくる。かんがえておけ。」
「おい待て!おい!待てよ!待て!!!」
小さな男はこの場を去った。
「なんで居なくなった!出てこい!」
「うるさい!騒ぐな!」
くそ、なんで帰った!助けろよ!今すぐ俺を出せよ!
一か月後だと、こんなごみのような場所に一か月も俺を置いておくのか!
ブレイブに選択肢はなかった。
小さな男の言うことを聞く以外出来ることは無いのだ。
へ、へへ、協力してやってもいい。早く来い!
早く早く早く早く!
「ブレイブ!さぼるなよ!」
今に見てろよ!あの監視も全部今に殺してやる!
一か月後の夜
「どうする?きょうりょくするか?」
「協力してやっても良い。」
やっと来たか!待ちに待ったぞ!
ついにここから出られる!
「まよびのまどうぐのばしょのちずだ。これをうばってきたであばれてほしい。」
「やってやっても良い。」
「そのまどうぐをはずしてやる。かべもはかいする。はなれていろ。」
どごーーーん!
ブレイブは壁から無事に脱出した。
小さな男は異常に俊敏な動きでブレイブを先導し、あっという間に安全そうな場所まで抜け出した。
「ここまでくればだいじょうぶだ。おまえにけんをやろう。」
「なんだこれは?」
「まけんだ。おまえにしかつかいこなせないだろう。」
ブレイブはさやから剣を抜いた。
「ぬいたままのじょうたいだと、すこしずつせいめいりょくをうばわれる。だからつよいおまえにしかつかいこなせない。」
HP・MP・スタミナを少しずつ奪われる感覚がある。
生命力を奪うというのはこういうことか。
だが、確かに特別な俺なら問題なく使いこなせるな。
「あとはてはずどおりにたのむ。」」
「何の目的でこんなことをする?」
「いままでおまえはなかまにあしをひっぱられつよくなれなかった。きたであばれて、しんのゆうしゃになってほしい。」
そうだ!俺はみんなに足を引っ張られてきたせいで思うように強くなれなかった。
俺がだれにも邪魔されることなく人や魔物を狩ったらだれにも止めることはできなくなる。
あんな罪人のような生活をすることもなかった!
やってやる!やってやるぞ!
◇
マスコミギルド
「ヘイト様、魔呼びの魔道具が奪われました。どうやら犯人はブレイブのようです。」
「なんだと!ブレイブは今どこにいる!?」
「それが、今捜索中とのことです。ただ、北へ向かったとの報告もあります。」
「分かった。下がれ!」
ブレイブが魔呼びの魔道具を奪って悪用したら、、、、
厄介だな。早急につぶす必要がある。
ブレイブはデイブックの北で魔呼びの魔道具を使い、混乱に乗じて、人を殺し、奪うことで、
装備とレベルを強化していた。
「この魔剣はなかなか良いな!」
魔剣の力によりブレイブのサンダースラッシュの威力は大幅に上昇し、そのおかげでレベル80を超えていた。
「この力で魔物だろうが人だろうが関係なく倒していける!魔呼びの魔道具を使えばポーションも奪い放題だ!」
そう言いながらポーションを飲み干し、床に投げつけた。
「見つけたぞ!ブレイブだ!」
「これ以上あいつを暴れさせるな!ベリーが居なくなった恨みを晴らすぞ!」
12人の冒険者がブレイブを追った。
「は!雑魚が!サンダースラッシュ!」
一振りで4人の冒険者を倒した。
「俺の経験値にしてやる!」
ブレイブは笑った。
◇
マスコミギルド
「ブレイブがデイブックの北部で暴れています。しかも、魔呼びの魔道具を使って魔物を呼び寄せているようです。
「やはりやつを野放しにはできんな!」
「それと気になることが。」
「なんだ?」
「デイブック南部でゴブリンの姿が目撃されています。」
「北はブレイブ!南はゴブリンか!南のゴブリンの様子をもっと詳しく分かるか?」
「現在調査集です。しかし、調査に向かった斥候からの連絡が途絶えているようです。」
「殺されたか・・・わかった。引き続き調査を頼む。」
「かしこまりました。」
◇
「そろそろ頃合いか。デイブックの中央にいるマスコミを殺す!」
あいつらはおかしい!
俺が浄化してやる!
それが勇者である俺の使命だ!
デイブック新聞社
「ひいい!!」
「おら!おらああ!」
ブレイブは新聞社を襲撃していた。
「はははは!弱い!弱すぎる!明日はマスコミギルドだな!」
ブレイブはマスコミギルドを襲撃するため一階のホールに入った。
そこには白いスーツと紫のサングラスをかけた男が立っており、他の者は誰もいなかった。
「私の名はヘイトだ。もっとも、死にゆくお前には関係のない話だがな。」
「は?気でも狂ったのか?」
ブレイブとヘイトは剣を構えた。
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