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両国の王子誕生

アーサー王国王城会議室


ウイン、エムル、ベリー、ルナ、セイラ、アーサー王、大臣で緊急会議が開かれた。


「まずは急に集まってもらいすまなかった。」


「早速ですが会議を始めてよろしいですかな?」


大臣の促しにルナが答える。

「お腹が空きました。」

ルナは最近頑張りすぎているせいか少し痩せていた。

食べ物もそうだが、休息が必要だと思う。


「食べ物を持ってこさせるから我慢して聞いておくれ。」


「デイブックがウイン殿を取り込むため動き出したという情報が入りました。」


「具体的に何をしようとしてるんだ?」


「分かりません。情報を集め切れてはいませんが、こちらで先手を打っておきたいのです。出来れば今すぐに、ウイン殿には、エムル様、ルナ様と結婚してほしいのです。」


「え?よくわからなかった。」


「順を追って説明します。デイブックがウイン様を取り込もうとしている可能性が高いです。デイブックが何をしてくるかはわかりませんが、おそらく情報戦を仕掛けてきます。武力でウイン殿には勝てませんからね。世論を巻き込んで、ウイン殿がデイブックに戻らなければいけないよう仕向けてくるでしょう。そこで、こちらが先手を打って両国の王女と結婚してもらい、両国の王子となってもらいます。そうすることで、ウイン殿は両国の大事な人間であるとアピールし、さらにこちらは、デイブックから無実の罪で追放され殺されかけたウイン殿が両国を救い、両国の英雄王子になるというストーリーを皆に浸透させます。これで、デイブック側から罠をしかけにくく出来ます。」


「う、うん。なんとなく分かったけど、俺はあの国に何を言われても無視するから気にしなくても大丈夫だし、みんなの手間を増やすのも悪い気がするな。」


「はあ!はあ!それはいけないよ!結婚すべきだよ!頑張ってきたウインが非難されるなんてあってはいけないんだ!」


「ウイン、結婚しましょう!今まで助けてもらってばかりで、何の恩も返せていません!いまこそウインに恩を返す時です!」


「危険なのはウイン殿だけではない!ベリー殿も情報戦に巻き込まれる可能性がある。もはやウイン殿だけの問題を超えているのだ!」


「ベリー後援会。」

俺は大臣の言葉に反応した。


「ウイン殿が追放された際、マスコミに踊らされたベリー後援会の人間に殺されかけたのではないですか?」

確かに、ブレイブが仕向けたであろう暗殺者のほかに、違う勢力の動きが混ざっていたように感じていたのだ。


俺はベリーを見た。


ベリーはそっとうつむいて首輪をいじりだした。


ベリーへこんでるな。


「その可能性はあるけど、ベリーのせいではないから心配するな。」


「・・・うん。」


「デイブックは何をやってくるか分かりません!出来るだけ手を打っておくべきです。こういう情報戦は先手を打った方が有利です!」


「それにウイン殿に両国の王子になってもらえれば、両国にとって国益となる。打算もあっての行動だよ。それに王子の役割を背負わせたりはしないよ。あくまで名目だけでも構わない。」

アーサー王は優しく言った。


「いえ、ウソがばれたら大変です!正式に結婚しましょう!」


「結婚するべきだよ!いや、もうそれしか道は無いと言っていいよ!」


「もちろんベリー殿の事も出来るだけサポートいたします。全力で情報戦に挑みます。」

大臣が不敵に笑った。大臣はこういう戦いが好きなのかもしれない。


「分かった。皆さん、よろしくお願いします。」

俺は丁寧に頭を下げた。


「では今から式を挙げよう!正式な届け出はいつでも良い。式を挙げて新聞に流すことが大切だ!」

王が立ち上がる。


「今からか!」


「すでに手はずは整っており、マスコミも呼んであります。大丈夫です。今から2時間、いえ、2時間以内にすべて終わらせます。」

大臣はイキイキしていた。


「大臣、名前を聞かせてもらって良いか?」


「ホープです。お見知りおきを。」

大臣は丁寧にお辞儀をした。





◇





俺とエムル、ルナはその日式を挙げた。

ベリー後援会を警戒して、ベリーとの結婚式はしなかった。

結婚式と言っても、着替えて素早く式を挙げ、マスコミの前で魔道カメラで撮られるという簡素なものだった。


しかし、アーサー王は号泣していた。


エムルとルナはいつもと雰囲気が違い、白いドレスを着ていた。

俺は見とれてしまった。






◇





デイブックマスコミギルド

結婚式の情報はクロノからヘイトに伝わろうとしていた。


「元勇者パーティーのウインが、ディアブロ王国とアーサー王国の王女と結婚しました。」


「何!詳細の記事はあるか?」


「アーサー王国の新聞を持ってきます!」


「早くしろ!」







デイブックに無実の罪を着せられたウインが殺されかけ、国を追われ、ディアブロ王国とアーサー王国の英雄になり、両国の王女と結婚する・・・か。

アーサー王国め!先手を取られたか!


「それともう一つ。」


「なんだ?」


「アーサー王国は勇者ブレイブになすりつけられたスタンビードの損害の補償をデイブックに求める考えとのことです。」


「なんだ、そんなことか。すべて勇者ブレイブの責任だ。デイブックは関係ない。」


「分かりました。」




◇






アーサー王国王城


「みんな、お疲れ様だった。ゆっくり休んでくれ。」


「ウイン殿、魔の森の魔物狩りの後は何をするか決まっていますか?」


「ディアブロ王国の魔物狩りをしようと思う。」

国内の魔物狩りが進まないせいで街道の整備が進まず、運搬の人手が多くなっている。

そのせいでアーサー王国に人手を出すことが出来なくなっているのだ。

しかも、物の流れが悪くなり、交易の妨げにもなっていた。


交易路の開通によって、両国の交易は進んだ。

だが、ディアブロの街道整備が遅れたままで、ボトルネックになっているのだ。


「なるほど、ディアブロ王国は道が無い場所も多いようですからね。」



最後までお読み頂きありがとうございます!

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