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アロットロールゲイン  作者: 池金啓太
十六話「その光を辿る先の」

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 四時間程度の休憩をとった周介たちは、再度無人島に上陸していた。全員が戦闘用の装備を身に着け誰もいない無人島に上陸するその姿は一種の特殊部隊のように見えなくもない。


 海岸の浜辺部分に上陸した周介たちは上陸用のゴムボートを陸地部分にしっかりと上げてから近くにあった木にロープで結び付けると、周囲の状況をよく観察することにした。


「さて、知与、ここから洞窟までのルートを頼む。安全な道で行けるか?」


「大丈夫です。多少急な坂になっている部分もありますが少し離れた海岸際の道があります。私たちであれば問題なく移動できるかと」


「オーケー。道案内は任せる。だけどその前に……この島の動物全体にアピールしておきたいもんだな」


「アピール?」


「相手が能力使ってくれなきゃ俺らには分らないからな、俺らは危険だぞっていうのをアピールしておきたい」


 周介たちが危険な存在であるということを動物たちが認識すれば、逃げるか立ち向かうかの二択になる。


 この狭い島の中で動物たちがどのような反応をとるのか周介たちには分らないが、早い段階で能力を使ってもらうためにも何かしらの行動をとっておきたいという周介の思惑は理解できた。


「なら大将、俺に任せてくれねえか?」


「なんか案があるのか?」


「まぁそこは大太刀部隊の経験ってやつよ。威嚇みたいなもんだけどな」


 猛は笑いながら能力を発動し巨大な白い獣の姿へと変貌して見せる。大きく息を吸ったのを見て、周介たちは何となく察して猛から距離をとる。


 瞬間、放たれた咆哮が空気を震わせ、木々を揺らしていく。木々にいた鳥たちが一斉に飛び立ち、索敵能力のない周介でも島の中の生き物が動き出しているのが感じられた。


 まだ遠くにいるから大丈夫と思っている者もいるだろう。あれは危険だと判断して隠れている者もいるだろう。それらすべてが大きな波となって周介たちから、猛から逃れるような動きをしだした。


「でかい声はやっぱ威嚇としては有効だな。ただ、あらかじめ言ってくれると嬉しい。耳がキーンってなってる」


「悪い悪い。で?どうだ?能力っぽいのを使ったやつはいるか?」


「今のところは確認できていません。ただたくさん小動物が動いています。少し情報量が増えました」


 今までただ普段の生活しかしていなかった動物たちが異物である猛の威嚇によって普段とは違う動きを始めている。これが吉と出るか凶と出るかは運次第といったところか。


「猛、俺たちは洞窟を目指して移動を始める。その間にこの島の上の部分をとにかく駆け回って動物たちに圧力をかけろ。ただしむやみやたらに殺したり壊したりするなよ?」


「あいよ。それ以外は何やってもいいのか?」


「驚かすくらいならいいだろ。可哀そうだけど仕方ない。俺らの位置がわかるようにとにかく動き続けろよ。もし俺たちを見失ったら連絡をくれ。知与に誘導してもらうから」


「へいへい。それじゃ行ってくるわ」


 白い獣が大きく跳躍して、木々をかき分けながら無人島の中に突っ込んでいくと、先ほどと同じかそれ以上の咆哮が響いてくる。


 脅しをかけるにしてもやりすぎなければいいのだがと思いながら周介たちは第一目標でもある洞窟に向かうことにした。


「あの脅しで能力を使ってくれれば手っ取り早くていいんだけどなぁ……野生動物って基本普段はのんびりしてるイメージがあるんだけど」


 野生動物が本気で逃げるのは捕食者がいる時だけだ。逆に言えばそれ以外の時は周囲を警戒しながら体力の温存などに努めている。自らが逃げ切れるという範囲に捕食者が入ってこない限りは天敵の位置を確認しつつギリギリまで平静でいるものだ。


 猛の圧力にどのような反応をするのかはわからないが、少なくとも多少の変化はあってほしいところだった。


「大丈夫です。今のところ動き回っているところの動物たちは適宜位置を変えています。このまま続ければそのうち反応を示す動物がいても不思議ではないかと」


「だと良いけど。瞳、島の全域に人形を展開しておいてくれ。一定の距離を放して満遍なく頼む」


「了解。言音、人形たくさんだして。戦闘用装備の」


「了解っす!手元にはどれくらい残しますか?」


「洞窟の探索だけなら……五体くらい。盾持ちを連れていく」


 瞳の人形の装備は戦闘用のものである場合装備が大まかに分けて三種類ほどに分かれる。


 銃火器を装備した射撃支援攻撃を主とした装備の火力兵科。補充用の弾薬や多岐にわたる道具などを保有した支援兵科、そして盾や誰かの身を守ることに特化した守衛兵科。今回各所に展開しているのは火力と支援で編隊を組んだ人形たちだ。それらを島全域に配置していくことになる。


 かなりの数の人形が必要になるものの、言音の能力のおかげで大量配置はそれほど問題ではなかった。


「島の大きさからしてそこまでかからないと思いたいけど……どれくらいかかりそうだ?」


「洞窟に到着するまでには終わらせる。そこまで大きい島でもないし」


 上空から見た限りはそこまで大きな島ではなかった印象がある。とはいえ人形は地面を歩いて移動するしかないため多少時間はかかる。


 猛がかき回している間に人形たちが動いてさらに生物に圧力をかけることになる。これで何かしらの反応があればよいと周介たちは考えていた。


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