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アロットロールゲイン  作者: 池金啓太
二話「手を取り合うその意味を」
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「そういえばさ、安形の能力ってどういう能力なんだ?聞いていいのかわからないけど」


訓練を続ける中で、周介はいったん水を飲みながらそんなことを聞いていた。


ドクから仲間の能力は必要以上に知るものではないと知らされていようとも、これからチームになるというのであれば知っておく必要がある。


何ができて、何ができないのか。それは一緒に行動するうえで必要なことだ。そうでないと、いざという時に困る可能性がある。


というのは建前で、周介は単純に知りたいだけなのだが。


「あたしの能力は、この子たちを操るだけ。ただそれだけの能力。面白味も何にもないでしょ?そういう百枝は?」


「俺の能力もつまらないぞ?俺は物体を回すだけ。こういう回転できるものを回転させられる。えっと、ドク曰く狭限式……なんて言ったっけかな?」


「あぁ、あんたも言われたんだ。あたしのも確か狭限式何たらって言われた。ドクター、それってどういう意味なの?」


「君らもうちょっと僕の言葉に興味を持ってくれないかなぁ。周介君の能力は狭限式複合二種単一型念動力。安形君の能力は狭限式複合三種単一型念動力だよ」


呪文のような言葉に、周介と瞳はその違いが判らずに首をかしげてしまっていた。


「その、狭限式とか、複合何種とかってどういう意味なんです?適当言ってるだけですか?」


「適当な表現だとは思うけどね。これ以上の表現方法が見当たらないんだよ」


「それだと、あたしと百枝の能力、ほとんど同じってことになるけど」


先ほどドクが言った言葉というか表現では、周介と瞳の違いは複合の部分にしかないように思える。


なのに発現している能力の効果は全く違う。それでは正しく表現できているとは思えなかったのである。


「いいかい?狭限式、これは君たちの能力の発動対象が狭いということを意味しているんだ。次に複合何種、これは君たちの能力が単純な一つの能力ではなく、複合されたいくつかの種類の能力を有していることを示している。単一型というのは、表に出て発揮される効果のことさ。君たちの能力は二人とも、念動力だけが表に出ているだろう?そういうことなのさ」


「……えっと、確か俺の場合は、回せるものを感知できる能力も入ってるんでしたっけ?だから複合二種。ってことは、安形の場合は人形を動かす以外にもあるんですか?」


早口での説明のせいで周介はドクの言葉を完璧に理解できているわけではないが、大まかどのような意味を持っているのか、その言葉と表現の意味は把握していた。


瞳の能力が三種類の能力に複合型の能力であるということも含めてだ。


「えっと、言ってもいいのかい?」


「別にいいんじゃない?困るものでもないと思うし」


「んん………まぁ、本人がそういうなら。彼女の能力は、人形を動かすための念動力、そして人形が今どこにいるか察知するための感知、そして人形を保護するための強化、この三つだね。強化に関してはかなり微弱ではあるけれど」


「へぇ。やっぱり動かすものに対しての感知っていうのはあるんだな」


「ただ、君のように周囲にある物であれば隠されていても見つけられるのではなくて、彼女の場合は一度能力を使うためにその物体に触れなきゃいけない。つまり、触れて、能力を発動している人形が今どこにいるのか、それがわかる感知能力なんだよ」


「微妙に違うんだ。百枝のは触らなくてもわかるんだ」


「あぁ。何度か試したんだけど、目を瞑ってても、集中するとそれがどこにあるのかとか、何となくわかるんだ。わからなくても頑張って能力を使えばとりあえず回せる」


「回すだけって、すごく地味。あたし以上に地味じゃない?」


「でもあれ見ろよ、走ってる光景はかなり格好いいだろ?」


「まぁね」


こうして休憩している間も、周介の能力は発動され続けている。同じように瞳の能力もだ。


今はマネキンを常に走らせている状態である。その走る速度はかなり上がってきているため、走っているところだけを見るとかなり格好よく見えるのも仕方のない話だろう。


「君たちはまだわかっていないなぁ。言っておくけどこの能力はかなり凄いんだよ?今に見ているといい。僕が君の能力の真の効果を思い知らせてあげるから」


「って言われてもなぁ。バイクとか車を動かせるって言っても、俺まだ免許取れるような歳でもないし」


「あぁ、それに関しては近々君には免許を取ってもらうから安心して」


「……はぁ!?いやだって俺まだ十五歳なんですけど」


「大丈夫大丈夫。これでも僕らの組織政府の許可得てるから。一人や二人の免許位どうとでもなるよ。ちょっと特殊な免許になるけどね。あぁ、一応しっかりと交通法規は勉強してもらうよ?」


「嬉しいんだか、嬉しくないんだか…」


周介の能力のことを鑑みての粋な計らいなのだろうが、十五の時点で免許を取ることができるというのは非常に複雑な気分だった。


とれるということが不満なのではない。どんどん自分が戻ることのできない深みに向かっているのではないかと思えるのである。


「大丈夫だって。あたしでも取れたんだもん。何とかなるなる」


「え?安形もう免許持ってんの?」


「ほい。去年取った」


そこには確かに免許証がある。どのように発行したのか、どのように手続きをしたのか、どのように試験をしたのかはさておき、両親がもっている免許と同じように見える。


ここまでするのかと、周介は呆れてしまっていた。


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