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アロットロールゲイン  作者: 池金啓太
二話「手を取り合うその意味を」

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0044

「というわけで、君にはチームを組んでほしいんだよね」


「……どういうわけなんですか」


 周介が能力者となって、早いもので二週間が経過していた。


 二月ももうすぐ終わり、三月に差し掛かろうという中、周介が能力の訓練をしている際にドクが唐突にそんなことを言いだしたのである。


 チームを組む。その意味が分からないほど周介だってバカではない。以前会ったアイヴィー隊のように、複数の能力者で協力して行動するようなことを言うのだろう。


 だが周介のような尖った能力を活かせる状況があるようには思えなかったのである。少なくとも現時点では周介はものすごく速く動く程度の事しかできない。


 車程度の速度で動くことは可能だし、そのための体の動きもなかなかうまくなってきた。もはやあまり転ぶこともなくなってきたため、次の段階に進んでもいいかと思っていたところである。


「ふふふ、僕はずっとね、このために結構いろいろやっていたんだよ。君がチームを組む相手は、何を隠そうそこにいる安形君さ!」


 広い訓練場に散らばる人形たちを操る安形を指さしてドクは高らかに笑う。とはいえ安形は遠くで興味なさそうに携帯をいじっている。せめて本人をここに連れてきてから話をしてほしいと思うのだが、ドクはそういったことに関しては全く気にしない性質であるため、そのあたりは今更というところだろうか。


「あの、安形本人に話はしたんですか?」


「いいや、実はまだなのさ。だから君から話をしてあげてくれないかな?彼女と君が組めばかなりいろんなことができると思うんだよ!」


「そうなんですか?どういう考えなのかはわかりませんけど……おーい安形!ドクが呼んでるぞ!」


 遠くで座ったまま携帯をいじっている瞳は一瞬こちらに目を向けると、何やら携帯を操りだす。

 すると周介の携帯にメッセージが入る。


『何の用?』


「……せめてこっちに来て会話してほしいんだけどなぁ……」


 周介はとりあえず近くで期待した目でこちらを見ているドクを尻目に、本題に入ることにした。


『ドク曰く、俺とチームを組ませようとしている』


『あたしが?』


『そう。とりあえずまずは話をしようじゃないか』


 メッセージでやり取りをしながら、周介はドクを引っ張って瞳の元まで歩いてくる。おそらく瞳は動くということをしないだろう。


 短い期間ではあるが、周介も安形の性格をわかってきている。必要がなければ面倒くさがってこっちに来いというだけだろう。


「というわけで、君たちにチームを組んでほしいと思っているわけなんだよ僕は!是が非でも!是が非でもお願いしたい!」


「なんで?」


「そりゃあ、君たちが組めば多くのことができるからさ。周介君の能力と安形君の能力は非常に相性がいいと思うんだよね。少なくとも僕はそう思っている」


「あたしの能力ってお手伝い程度しかできないじゃん。それに、百枝の能力は走ることが本領でしょ?その二つの相性がいいとは思えないんだけど」


「ふっふっふ、そういうと思って用意しておいたんだよ僕は!君を説得するために作っておいたんだよ僕は!さぁ見てくれ!」


 そう言ってドクは部屋の端っこまで走っていくと、何やら一つの物体を抱えてやってきた。あまり運動は得意ではないのか、かなり息を切らせているが、その運んできたものを見て周介は目を丸くする。


 それは周介の装備を着た何かだった。つい先日ドクが作った装備の数々を、何かが着ている形になる。


 周介はその何かのヘルメットを外す。顔のない顔が出てきたことでそれが周りで動いているマネキンと同じであるということを理解した。


「マネキンに俺の装備着せたんですか?どうして?」


「ふふふ、君の装備のお披露目、と言いたいけどまだ改良は済んでないんだ。まずは試運転をお願いしたいんだよ」


「試運転ならこの前したじゃないですか。俺的には悪くなかったですよ?」


「違う違う。安形君、君にこの人形を動かしてほしいんだよ。周介君の能力で高速移動させながら、それを君が動かすんだ」


「……まぁ、できなくはないと思うけど」


 瞳の能力は人形を操ることだ。マネキンも立派な人形であるために、人の装備を付けた状態でも問題なく動くことはできる。


 周りで派手に動き回っているマネキンたちがその証拠だ。


「スケートの要領でしょ?でも自分で蹴る必要はないのか……百枝、とりあえずゆっくり動かしてみてくれる?」


「あいよ。ゆっくりな」


 この二週間、欠かさず能力の訓練をしたおかげで周介は能力を操ることに関してはかなり上達していた。

 瞳の要望通り、非常にゆっくりと脚部のローラーを回転させ、マネキンを前進させる。


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