敗北
第31話
ヒュラは、ピネトラに頭を触られるより前に、戦闘不能になって離脱したようだった。
152分30秒後
ピネトラ
「この星の住民って、体にエネルギーみなぎったりとかしない?
さっきのルークとか、この星ってめっちゃみんなエネルギー豊富で楽しそうだね」
ユノモスとピネトラは、辺り一体のバリリオンズの兵を一掃していた。
1級から0級のメレピーの集団と、大量の3級、2級のメレピーの軍団に苦戦する散り散りになった隊員達。
ピネトラとユノモスが歩き回って偵察しながら、思いついたように時々、隊員を倒して回った。
まるで、ハエ叩きをするような戦いようだった。
ほとんどの重要戦力が敗れてしまったバリリオンズ陣営は、条約を改めて鑑みた。
敗北しか当然許されない状況の中で、どのように交渉を進めるかという話の流れになっていた。
ピネトラが、楽しそうに軽快に歩く。
ユノモス
「お前、どんな戦い方して、その傷作ったんだ?」
ピネトラ
「ちょっと楽しんじゃってね。敵につけられちゃった」
ユノモス
「お前がそんな傷を受けるなんて、相当浮かれてたんだろ?
戦いは遊びじゃないんだ。舐めてかかるな。
手を抜き過ぎたら、次はもっと痛い目見るぞ!」
ピネトラ
「僕、手抜いてないんだけど。
別に浮かれてるわけじゃないし。
第一、あいつ -ルークって言ったかな?-
君、たぶん彼に勝てないよ」
ユノモスが顔色を赤らめるように(なのか青ざめているのか、よくわからない具合に、とても濃く)して、ピネトラを睨みつけた。
怒りだった。
ユノモス
「俺が勝てないだと?
肉体戦といい将の強さといい、ハドラリアー最恐の、ウラニス6最高戦力の俺が、勝てないだと?」
ピネトラ
「いや知らないよ。また今度、襲撃した時に戦ってみなよ?」
ユノモス
「にしたって、お前が傷をつけられる免罪符にはならんが。お前が調子乗ってただけだろ?」
ピネトラ
「小さいかすり傷はそうだね。
油断とか、ちょっと攻め過ぎたり、はあったかも。
でも、この頬の大きめの切り傷と、左腕の切り傷、
んで、このお腹の打撃は、完全にあいつにしてやられたよ。
もう一回戦えないかなぁ」
ピネトラは、服をめくり腹の大きな青あざをユノモスに見せた。
ユノモスは、あまり顔には出さなかったものの、内心驚きながら考えていた。
(どういう事だ?ルークってネゲント系の第1世代じゃないのか?
なぜピネトラがこんな傷を受けるんだ?
ともかく、奴には最大限の警戒を要する事は間違いない。)
バリリオンズが、白旗を挙げた。
ヒュラ達は、戦争終了と敗戦を受けて、訓練寮の寝室でクタクタになって眠りこけた。
メレピン使用は、身体的な消耗やダメージは基本的に伴わないが、エネルギー利用と精神的疲労を伴う。
極度な消耗を強いられる国家戦争の終了後には、大きな精神的負荷と疲労感が伴う。
初戦闘者の大半は、電池が切れたように12時間は眠りこけ、時間遅れの空腹感に襲われる。
なお、極度の精神疲労により摩耗して、精神疾患を引き起こさないよう、特別な療養措置と休暇特権を初めとし、多くの特権がバリリオンズ隊員には存在する。
ヒュラが目覚めると、ネラとケラが暗い顔をしてヒュラを覗き込んでいた。
ヒュラは驚いて跳ね上がったが、そこは自分の部屋ではなく、病室のようだった。
身体中に管が繋がれている。
ヒュラは、敗戦を思い出した。そして、ナークの言葉を思い出す。
ヒュラ
「あの後、どうなったんだ?それで、僕はなぜこんなところに?」
ネラ
「意識を取り戻したんだね。よかった。君が3日間も眠りっぱなしだから、起き上がらないかと心配したよ!」
ケラ
「きっと、戦場であり得ないほどのフィールドを展開してウラニス1と6のトップと戦ったんだから、相当な疲労が溢れ出て昏睡したのよ」
ナーク達一行がヒュラの病室に面会に来た。
ナーク
「なんだ、もう目覚めてたのか。ヒュラ」
マラル、アレン、ザン
「おいヒュラ、戦場で全能力を使ってたって本当か?詳しく聞かせろよ」
ヒル
「そんなことより、今ウラニス7がどうなってるのかわかってるのか?俺らは今回の反省点を各自洗い出して鍛錬すべきだ!全員で今すぐ会議だ」
ヒュラ
「あの後、どうなったんだ?」
ヒル
「地獄だよ!この調子でやられ調子なら、俺たちの国は愚か、星の文明丸ごと滅亡だ!」
ナーク
「まずは意識を取り戻して、おめでとうヒュラ。ヒル、話はそれからだ。ゆっくり順を追って話そう」




