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京の守護から解放された最強おっさん陰陽師、式神や弟子と共に旅をする。~異世界で【陰陽術】は常識の範囲外~  作者: タジリユウ@6作品書籍化


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第32話 おっさん陰陽師、晩餐に招かれる


「おおっ、なんと美味な肉であることか……。我がこれまでに食したどの肉よりも旨みが凝縮しておる!」


「レイラもこんなにおいしいご飯を食べたのは初めてだよ!」


 食卓に並んだ豪勢な料理の数々。京の都では様々な贅をつくした料理を食べた経験のある我だが、これほど美味なる料理を食べたのは初めてである。レイラもとてもおいしそうに料理を食べている。


「お気に召していただいたようで何よりでございます。こちらはワイバーンのステーキという料理でございます」


『うわあ~おいら、こんなにおいしいものを食べたのは初めてだよ!』


『ワイバーン、初めて聞く名前ね。でもとってもおいしいわ!』


『ワイバーンですか。見つけたらぜひ狩ってみたいですね!』


 我とレイラの横には式神であるスー、ゲン、ビャクも豪勢な料理を味わっている。領主殿から今回の件の礼ということで豪華な晩餐に招かれた。ありがたいことに式神たちの席まで用意をしてくれた。


 短時間であれば式神すべてを顕現することは可能だが、セイにこの部屋は少し狭いのと、ドラゴンという魔物に似ているらしく騒ぎになる可能性もあるので今回は我慢してもらっている。もちろん料理はいただいて、後ほどセイにも食べさせるつもりだ。


 白い服を着た初老の料理長なる者は最初式神たちを見て驚いていたが、今では普通に接してくれている。料理を作っているところを見せてほしいというレイラの願いにも快く応じてくれたのでありがたい。


「本当に美味であるな。領主殿、我だけでなく式神の分の料理まで用意してもらって感謝する」


「いえ、とんでもない! ヤコウ殿のおかげで息子が助かり、ラグナード家を害するバームン男爵を捕らえることができました。感謝するのはこちらの方です」


 我らの正面に座っている領主殿が我らに向かって頭を下げる。


 結局バームンと呪詛師は騎士団へと連行されていった。例の暗殺ギルドの詳細を知りたいということで、呪詛を返した男は我が改めて呪詛を祓った。闇魔法とやらを悪用する輩だが、後ほどバームンと共に正式な処分が下るであろう。


 バームンは領主であるラグナード家に強い恨みを抱いていたようで、金を払って暗殺者ギルドに依頼をしたそうだ。どの世でも位や派閥などの争いなどは起こるらしい。


『お代わり!』


「これ、スーよ……」


「はは、いいのですよ。ぜひお腹がいっぱいになるまで食べてくださいね」


「すまぬな」


 本来であれば式神は何も食べなくとも大丈夫なのだが、スーたちの気持ちもわからなくない。これほど美味な料理は京の都では食べたことがないから、この料理で腹を満たしたいのだろう。


「みなさんも遠慮はしないでくださいね。本当に一時はどうなることかと思いました」


 そう言いながら涙ぐむ領主殿。ご子息殿はしばらくの間何も食べてなかったこともあり今この場にはいないが、すでに柔らかい物などを食べられるようになり、起き上がって我に礼を言ってきた。実に良きことである。


「まさか呪いを解くだけでなく、その相手まで見つけてくれるなんて驚きました。もちろんその分の報酬も上乗せさせていただきます」


「そのことなのだが、我への報酬は不要であるぞ。冒険者ギルドマスターのマーチル殿にもそのように伝えてある」


「えっ!?」


「この街には孤児院という物があるらしいな。我への報酬の分はぜひそちらへ役立ててほしいのだ」


 サイオルの街には孤児院があると聞いた。そこではレイラのような両親を亡くした孤児たちを育てているらしい。この街では税金と領主の懐からそれを補っていると聞いた。マーチル殿の言う通り、領主殿はとても立派であった。京の都にはそういった仕組みはなかったからな。


 この世へやってきてからしばらく経つが、旅をするための道具はある程度手に入れた。ダンケ殿からもらったマジックバッグもあることだし、我にはそれほど金は必要ない。美味なる食材はいろいろとあるが、式神と我自身の力で手に入れることができる。


 余った金は未来ある若者たちに使われるべきなので、最低限の金を残してしかるべき場所へ寄付するように決めた。ただそれとは別にレイラのための金はちゃんととっておくぞ。


「本当によろしいのですか?」


「うむ。これだけ美味なる料理をいただいたのだから、それで十分だ」


「……承知しました、ヤコウ殿とのお約束は必ず守ります。それにしても、ヤコウ殿は冒険者というのに欲のないお方ですね」


「我はすでに十分生きた身であるから、先人たるもの若人たちを支えねばな」


 京の都では病に伏せたとはいえ十分に生きてきた。若人たちに手を貸すのも先人の務めである。


「ご立派です。ですがヤコウ殿はまだ十分にお若いですよ。30そこそこでそのようなことを言っていたら、ドワーフやエルフの者はどうなってしまうのですか?」


「どわーふ、えるふ?」


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