表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ビルドロボオンライン ~趣味に走った私の愛機、廃人どもに野生のレイドボス認定される~  作者: SIS


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
94/106

第九十話 アップデートされました


 そうして、私のトーナメント予選は終わった。


 最後にやられこそしたものの、複数のチームを壊滅させたのは事実だから、予選突破は普通に考えて確実である。


 さらには同じビーム愛好家の存在も知れた。


 私は何も心配する事なく、ルンルン気分で本戦トーナメントの発表を待っていた。


 そんなある日。


 帰ってきて家事を終えてゲームを立ち上げていると、タイトル画面でお知らせがあった。


《アップデートのお知らせ》


「よっしゃ、きたー!!」


 恐らくは本戦トーナメント実装に伴うバージョンアップだろう。


 私は喜び勇んでメッセージを送った。だが、その予想は外れ。どうやら、単なる不具合修正やバランス調整についてのようだ。


「なーんだ、残念。本戦トーナメント前に、バランス調整かあ。まあいいや、どれどれ、内容は……え?」


 詳しい内容について確認した私の口から、困惑の声が零れた。






《“粒子砲スキル”について大幅な調整を行いました。具体例は以下の通りです》


《“粒子砲スキル”のダメージ計算式を大幅に変更しました》


《“粒子砲スキル”系列の武器パ―ツの総重量と消費ENを上方修正しました》


《“影響激化スキル”の効果を下方修正しました》


《“熱エネルギー再転換スキル”の効果を下方修正しました》


《“粒子砲スキル”において特定の条件下で意図せぬ挙動をしていた部分について修正しました》






「…………????」


 嫌な。


 予感が。


 する。


「ま、まさかな……? まさかだよな……?」


 私は困惑しながら、アップデートを待ってゲームにログインした。


 見慣れたホーム画面に戻ってくるなり、テレサが困り顔でやってくる。


『ショウさん、お帰りなさい』


「ん、ただいま。……その様子だと、何かあったみたいだね」


『何があったもなにも』


 テレサは困惑しきり、といった様子で首を横に振り、カスタム画面を操作して立ち上げた。


『私の方が聞きたいぐらいです! 突然、ビームの挙動が変わってしまって……! この惑星上では定期的に物理法則が変わるとでもいうんでしょうか?!』


「あ、あー……そうか……。具体的には?」


『なんていったらいいんでしょうか。これまで以上に摩訶不思議な挙動をするようになりました』


 頭をガシガシかき回しながら、テレサは困惑しきりの様子。


『物理的な干渉についてはこれまでと変わらないんですが、出力に応じた物理的衝撃が加算されるようになってます! 一応、これだけ見れば、メタルインセクトに対するダメージだけは増加したように見えるんですけど、むしろそれ以外で大幅な弱体化が生じていて……。極端に物質の熱伝導率が低下したみたいに、不自然に周辺環境への影響が低減……でもこれビームだけなんです。他の熱源は今まで通りで……』


「そ、そうか……」


 思った以上にパニックになっている様子のテレサにちょっと悪い気持ちになる。そりゃあ、そうだよね。正真正銘、自分をこの世界の人間だと思い込んでる彼女からしたら、天が落ちてきたような衝撃を受けてもおかしくはない。


『そうかじゃないですよショウさん! これじゃあ熱を利用したサブエネルギーの回復効率は四分の一、プラズマジェットエンジンも機能しない、金属触媒を利用した熱サージ攻撃も成立しませんよぉ!! 挙句、例の虹色の合成ビームは発生自体しなくなってます! これじゃ、これじゃこれまでの苦労が全部水の泡です!!』


「なんだってえ?!」


 マジで!? 下方修正とは書いてあったけど弱体化させすぎじゃない!?


 いや追加ダメージ次第ではまだ戦えなくもないだろうけど、それってつまりこれまで試行錯誤してきた番外戦術全部おじゃんじゃないの!?


 はっ。


 ま、まさか、こないだのトーナメントでの大暴れが不味かったのか!?


 あれでやりすぎたから粛清されたのか!?


 くっそう運営め! 昔からユーザーに有利な要素だけはほんと爆速で潰してくるんだから!!


「じゃ、じゃあ、もしかして、機動要塞も……」


『機動どころか立ち上がる事すらできませんよぉ!! ジェットエンジンが全部だめです! ロケットブースターだけじゃ、姿勢制御も……!』


「そ、そんな……」


 がくっ、と地面に膝をつく。


 そ、そんな親の仇レベルの弱体化をしなくたって……! 元をただせば、出来るのを放置していた運営が悪いんじゃないか……!


 私達は、あくまで出来る範囲で精いっぱいを尽くしただけなのに……。


『ショウさん……』


「…………」


『そ、その、そんなに気を落とさないでください……ね? ビームはこんな事になってしまいましたが、他にも手段は色々あります。私も、微力ながら支援させていただきますので、ね? 元気だしてください。貴方が落ち込んでいると……私も、悲しい……』


 …………ふ。


 ふふ、ふ……。


 ふふふふふふふふふふふ……!!


『……ショウさん?』


「ふふふふ……燃えて、きたぁーーーーーー!!!」


『?!』


 弱体化がなんぼのもんじゃあ!!


 こちとら、オンラインアップデートどころかバグ修正もない時代からのゲームユーザーだぞ!


 ラジエーターが一律ダミーパラメーターで固定されてたとか、苦労して手に入れた武器がバグレベルの産廃だったとか、バースト武器だと二次ロックオンが機能してないとか、装備する事自体がハンデレベルの産廃だとか、敵だけ強化人間設定使い放題とか、そういった理不尽を乗り越えてきたロボゲーユーザーの生き残りを、なめるなーーっ!!


 むしろ燃えてきたさ!!


 今の仕様でやれるだけやってやるっ!!


「ふんがー、落ち込むのはここまで! ここからは新しい仕様でやれる事をやるぞぉ! なあに、ダメージは出るようになったんだろ? 聞いた話だと装備負荷も大幅に軽減されてるはずだ! 高弾速や、地形や環境への高貫通特性はそのままのはず! それらを生かして、新しいアセンブルを組むだけよぉ!!」


『は……はい!! お手伝いします!!』


「まずはどのぐらい変わったかを試す! 早速試作機を建造するぞ!!」


『はい!!』


 という訳で、早速アセンブル画面を開いてカスタマイズ。


 おっ、マジですげー軽くなってるし消費ENもめちゃくちゃ減ってる。いや今までが理不尽に大きかったんだけど、これならビームバズーカがビームライフルぐらいになってる。特化機じゃなくても、二つ、三つ装備するのも難しくはない。


 元々軽かったビームカービンとかこれもうバルカン代わりに装備できるレベルだ。


 なので、せっかくだからこれまでやった事のない軽量級で設計しよう。スラスターも、高機動タイプのを装備して、サブエネルギーの増設タンクも装着!!


 これまでできなかったことを盛りだくさんだ。


 んでもって、あれも、これも、うひょー! 軽量級なのに色々搭載できる、装備負荷軽減ってすばらしっ!


 いや嘘。かなり無理してる。


 プレイヤーがレベルアップする度に積載量UPにぶち込んできたから乗るだけです。塵も積もれば山となり、轟くビームは山を貫く。


 その代償に失ったもんはあるけどもう考えても仕方ない。


 そうこうする内に、新しい機体の設計が完了する。


 流線形の、ちょっと虫っぽい感じの藍色の軽量二脚。太ももに大型のスラスターを搭載し、武装は両肩のフォトンビーム砲。相変わらず砲身はデカイが、妙に軽量化されてるので軽量級でも二つ装備できる。胴体は背中が膨らんでいるが、ほぼほぼサブエネルギータンクだ。被弾した時の事はとりあえず考えていない。


 頭部も、これまでみたいに必要機能を満たしていればそれでよい、というのを改めてちょっと見た目重視で。ヒロイックな感じの、鋭い印象のツインアイ! やったー、かっこいいぞー!


 という訳で、正面機動戦闘に特化した、Wビーム機の完成だ! 名前は……とりあえず“アズールブレイカー”にしておこう。


「よし、完成だ!」


『わあ、パチパチ!』


「よぉし、さっそく出撃だー!!」


 生まれ変わったビームの性能、見せてもらおう!!









あとがき




 はい、作者のSISです。これにて、ビルドロボオンライン、ファーストプランニングの達成です。いや実際は、20話ぐらいで予想以上の反響に急遽プロットを継ぎ足し継ぎ足しして続けてきたのですが、その上で当初想定していたエンディングを達成したので、一応の区切りという事で。勿論、まだまだ続けます。TSエイリアンも後日談が本編の三分の二ぐらいあったしね! ふははは! 作者とはそういう生き物なのさ!!


 いやまあ、ぶっちゃけるとオチもストーリーもない思考実験を垂れ流しているような作品がここまで伸びるとはなー、というのが作者の本音です。書いてる本人はとてつもなく楽しくてビクンビクンしながら書いてるけど読者これ面白いの??? ってのが当初の正直な反応でした。今は、なるほど作者が楽しんで書いてるなら趣味が同じ読者は楽しんでくれるんだな、と新たな知見を得た気分です。言うまでもなく作者と読者は同じ人間ですから同じ楽しいが共有できるのね、と。これもまたネット小説ならではの文化なのでしょう。勉強になりました。


 ここからは無の荒野を開拓していく事になるのでどこまで走れるかの耐久レースになりますから、とりあえず一端キリがいい所であとがきを挟んでおこうと考えた次第です。


 今後についてですが、当初予定していたエンディングは達成しちゃったので、先に述べたように新しく続きを書いていきたいと思います。トーナメント本戦とかアップデートで激変した環境で新しい機体を模索したりとか。ホワグリミサ弱体化とかタンジー超強化とかロックスミス依怙贔屓とか、分かる人には分かりますかね。なかなかヌルッとした方のカラサワみたいには世の中上手くいかないようです。



 ついでに、この場を借りて作品の宣伝とか、させていただきたいと思います。

 御存じだとは思いますが、他にも私は色々作品を書いております。その中の完結している作品から、ちょっとばかりご紹介を。


 人外転生&異文化コミュニケーションがお好きな方は、『異世界スピノ』を。

 人ならざる存在と美少女のクリーチャー・ミーツ・ガールがお好きな方は『望まぬ知恵の王』を。

 不可思議な夢の中で、不器用な人間達の奇妙な人間関係が読みたい方は『侍女は囁く』を。

 邪悪な存在にラブコールされながらも孤高を貫く主人公の戦いが読みたい方は『カードゲームみたいなやつ』を。

 種族を越えた母と子の愛の物語を読みたい方は『TSエイリアン』を。



 ぜひ、どうぞよろしくお願いします~。

 それでは引き続き、ビルドロボオンラインをお楽しみ下さい。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ