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ビルドロボオンライン ~趣味に走った私の愛機、廃人どもに野生のレイドボス認定される~  作者: SIS


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第八十七話 忘れ去られた竜宮島



 解放されたゲートの先に広がっていた、地底都市。


 外から見た時は、人気が無い事を除けばまるで未来都市のような印象を受けたが……。


「人が住んでいるような気配はないな。まるでゴーストタウンだ」


『放棄されてかなりの年数が経過しているように見えますね……』


 かつては車や人でごった返していたであろう大通りを歩きながら見上げる。


 高層ビルが立ち並び、空中回廊が張り巡らされた大都市。それは確かに、分かりやすく未来っぽくはあったが……なんていうのか。


 一言でいうと、作り物っぽい感じがぬぐえない。


 都市というのは計画的に作られるものだが、いざ人が住み始めるとそうもいかない。それぞれに事情があるし、なにより10人いれば一人はルールを守らない。文化遺産指定されたような古都であるならいざ知らず、先進的な大都市で景観を気にして遠慮するような奴もいなくて、看板やら何やらが立ち並び混沌としていくのが世の常だ。


 逆に混沌としていない都市は、経済が不況だとか、政治的な圧力が強いとか、そういう裏の事情があるものである。


 そういう意味ではこの都市は、なんていうか、小奇麗にすぎる。


 まるで、誰かが作り上げた理想都市が、結局誰も住まないままに朽ちていったかのようだ。


『ここまで開発が進んでいながら、放棄された、という事でしょうか』


「多分な。理由は分からないけど……もしかすると工業地帯とか作ってた勢力が居住区として開発を進めていたのかもな。メタルインセクトの攻撃で放棄したのか、あるいは放棄した所にメタルインセクトが住み着いたのかは分からないけど」


 現実だって、誰も住まないのにせっせとアパートを作っていたなんて話はある。


 時折、人間は酷い馬鹿をする生き物なのだ。


「それにしたって、なんていうか勿体ない。ここまで立派な都市ができてるのになあ」


『ええ……』


 ビルの一つに近づいて覗き込んでみるが、中はがらんとしている。うちっぱなしのコンクリートの壁もむき出しで、一度も何も入居していないのが見て取れる。どの高層ビルも見た所そんな感じで、雑多な感じがしないのが逆に薄ら寒い。


 幽霊屋敷ともまた違うというか。とにかく、ここには残滓レベルですら、人の気配がない。


 ゲームとはいえ、この世界の人類の行く末に想像を巡らせながら先に進むと、やがてこの都市のランドマークらしき大きなビルの根元に辿り着いた。大通りの道路は、そのビルの地下に続いている。


 ……地下駐車場?


 地下駐車場じゃないか!!


 懐かしいな! 最近とんとご無沙汰だったよね!


『なんか嬉しそうですね』


「だって地下駐車場だよ! わくわくするじゃないか、もしかするとグレネードキャノンを装備したタンク型が待ち伏せしているとかあるかもしれない、注意して!」


『えええ??』


 困惑しきりのテレサを差し置いて、意気揚々と地下駐車場に降りていく。最大限の警戒をして、攻撃よりも防御を重視してメガアームで胴体をカバー。長いスロープを降りていくと、こちらを感知したのか、自動的に明かりが灯った。


 そこに並んでいたのは……。


「これは……トレーラーかな?」


『そうみたいですね。この都市を建設する際に利用された物でしょうか』


 地下駐車場にはずらり、と並ぶトレーラーの姿。それもただのトレーラーではない、全高5mぐらいの大型トレーラーだ。


「へえー……」


 近づいて見渡してみると、20台近い数がある。これだけのトレーラーが動かせたら、運べる資材は相当なものになりそうだ。


 いくつか持って帰れないかな。テレサがホーム周りで行動する時便利かもしれない。


 そう思って見渡していると、背後のテレサから思わぬ声がかかった。


『あ、ショウさんショウさん。これらのトレーラー、まだ動くみたいですよ』


「なぬ? 本当?」


『はい。アクセスしてみたら普通に受け付けました。多少、内部バッテリーが減っていますが、充電したら動きそうです。どうやら無人コントロールにも対応しているようですね、こちらから操作できます』


 なんと、それは都合がいい。


 年単位で放置された車両用の大型バッテリーなんてまともに動きそうもない気がするが、まあこれはゲームだしな。それに現実のリチウムバッテリーが色々とアレなだけで、もっと優れた技術があれば問題ないのかもしれないし。


「ふむ。……閃いた!」


『ショウさん?』


「ねえテレサさん、その無線アクセスってどのぐらいの距離までならいける? あと、トラクター以外に、重機とかも動かせたりする?」


 唐突な私の質問に変な顔をしながらも、テレサはきちんと答えてくれた。


『そうですね。距離は確かに数キロ程度で制限されますが、中継点を設ければホームからトラクターを操作できると思います。重機についてですが……道中で転がっていた重機、あれらにこの都市を経由してアクセスできるようです。調べてみましたが、設計途中で終わった工事の地図らしきものもありますね』


 なんと。それは思わぬ収穫だ。


『あの、それで、それがどうかしたんです?』


「ふっふっふ。ねえ、テレサさん。この都市に来るまでにあった作りかけの道路とかあったじゃない? あれを修復したら、トラクターを外に運び出せるような気がしない?」


『え? それは、まあできるでしょうけど……』


 よし。支援用AIであるテレサのお墨付きなら問題ないはず。


 いける、いけるぞ!


「じゃあさ、このトラクター使って、前線基地に資源をかき集めるとか、できないかな?」


『……ああ、なるほど!!』


 私の問いかけに要領を得たのか、ぽん、とテレサが手を叩いて納得を示す。


『それはよいアイディアです! この地下空間の岩盤には豊富な金属資源が含まれているようですし、途中で止まっている工事を再開してルートを開けば、前線基地までの直通ルートが作れます! 問題は道中のメタルインセクトですが、アリ型は照明で追い払えますし、地上のオオヤドカリ型はそう活発ではないので、安全なルートさえわかれば問題ありません!』


「でしょでしょ? こないだ話したプラン、実現には凄い量の資源が必要だからちょっと現実的じゃないかなーと思ってたんだけど、ここの資源を使えるなら一気に出来そうなラインまでおりてこないかな」


『……いけます! 計算してみましたが、やれそうです!』


 よしよしよし!


 苦労してボスを撃破した甲斐があったというものだ!


「よおし、そうと決まったら早速動くぞ!」


『はい!! 頑張りましょう』


 こうして、トーナメントに向けて、私達の前線基地魔改造計画が始まったのであった。




 あ、でも今日のプレイはここまでね。


 もう大分遅いし。


 おやすみなさいー。






 そして、一週間ほどの時間が経過し。


 ついに、ビルドロボオンライン初の大規模大会イベント、その予選開始日がやってくる。


 果たして、チーム戦が前提のイベントに、ぼっちプレイヤーはどこまで抗えるのか。


 私はセーブデータをおさめたマイクロSDカードと、自前のVRヘッドセットを鞄に入れて、最寄のネットカフェへと出発した。


 部屋だと回線が安定しないからね……。時間が決まってるから、お金を払う事になっても安定した通信環境でプレイするのだ。


 はてさて、テレサと一緒に用意した今回の秘密兵器は、どれだけ通じるかな?


 ワクテカしながら席についた私は、すっぽりとヘッドセットを頭に被った。






『ログインしました』




『ようこそ、ビルドロボオンラインの世界へ!』






《トーナメント予選について》


●予選は5つのチームで一つのブロックとし、各サーバーで同時に100のブロックの試合を進行します。サーバー内で各ブロックの試合はリアルタイムで進行し、一つのブロックにおいて生存チームが一つになるとブロック内の試合は終了、勝利者チームは再び別ブロックに組み込まれて試合が開始されます。その際、制圧していた敵拠点は全て没収され、本来の拠点が最初の状態まで復元された状態で合流する事になります。ブロックが減り次第、待機中のプレイヤーが新しいブロックに組み込まれ、試合が開始されます。


 これを繰り返し、最終的に各サーバーで最もスコアが高いもの順に10チームの代表を決定した後、後日に本戦トーナメントが開催されます。




●スコアは生存時間、敵撃破数、拠点制圧数によって決定します。最も高いのは拠点制圧数であり、最後まで生存したとしても、拠点制圧数が少ないとスコアは低く設定されます。逆に生存時間が短くても、拠点制圧数が多ければ本戦トーナメントに参加できる可能性は高くなるよう計算されています。




●なお、試合中には特殊なメタルインセクトが出現します。万が一、それによってプレイヤーが全滅した場合は、全員のスコアがゼロになります。ご注意ください。




●試合中の情報を外部に公開するのは禁止です。スクリーンショット、動画などの情報の漏出を確認し次第、断固たる処置を行いますのでご注意ください。






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