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ビルドロボオンライン ~趣味に走った私の愛機、廃人どもに野生のレイドボス認定される~  作者: SIS


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第七話 ジャブ・ジャブ・ジャブ



 ガレージに戻った私は、早速機体のカスタマイズを開始した。


 パーツショップから、ビーム砲を追加で購入してきて、左腕と入れ替える。積載量は十分だったが、こんどはエネルギー不足が発生したので、しぶしぶ頭を引っこ抜いて、ぎりぎりエラーを吐かない程度の廉価品に入れ替える。首の所に双眼鏡がのっかっているようなこれ、正直あまり見た目がよろしくなくていっそ付けない方がいい気もするが、一度頭部有りの快適さを知ってしまうと外してしまうのもはばかられた。


 こうしてアセンブリが自縄自縛に陥っていくんだなあ、と思いつつ、ちょこちょこ調整して、カスタマイズは終了。


「よし! これでビーム兵器を二個同時に仕える筈……!」


 計算上、一発のビームで蟻のHPを半分に出来るのだから、交互に時間を置いて撃てばオーバーヒートせずに数発は攻撃し続けられるはず。蟻がよっぽどの群れでない限り、正面から逃げる事なく撃破できるはずだ。


 逆に言うと、ちょっとでも管理をミスってオーバーヒートさせたら終わりという事だが、その時はその時だ。まずはやってみないと分からない。


「やってみよう、いってみよう、ってね」


 てこてこてこ、と歩き回っている蟻に照準を定める。


 管理の事を考えると同時発射がいいのだが、もし外すと面倒な事になる。一発ずついこう。


 テンポよく、右、左、とビームを撃ちこむと、蟻は見事に吹っ飛びながら粉々になった。


 そして画面に表示される警告。今倒した蟻とリンクしていた二匹がアクティブになってこちらに向かってきている。のそのそと後退しながら、近い方に照準を合わせる。


 ヒートゲージは大体60%ぐらい。1発ずつ撃ち込んで仕留めると、ギリギリ数パーセント残った。


「あとは、オーバーヒート覚悟で最後の一発を、っと」


 三発目を撃ち込み蟻を仕留めると同時に真っ赤になるヒートゲージ。緊急冷却が始まるが、とりあえず敵は全滅させる事が出来た。


 以前であれば一匹倒す度にいちいちオーバーヒートしていた事を考えると随分進歩した気がする。まあそれでも普通にライフルとか持った方がいいのだろうけど、気分だ気分。どうせうちの貧弱回線では人と遊ぶことなんてできないんだし、比較してもしょうがない。


 オーバーヒートの回復を待ちながら次の獲物を探そうとした私だが、ふとおかしなことに気がついた。


 警告マークが消えてない。


 おかしいな、リンクしていた二匹は確実に仕留めた筈だけど。


 ぐるり、と上半身を旋回させて周囲を見渡すと、ふと足元に何か反応がある事に気が付いた。


 身をかがめて確認すると、そこで私は、もぞもぞと地面から這い出してきている銀色の蟻と目があった。


 …………。


「や、やあ、こんにちは」


 挨拶に返って来たのはぐわっと開かれた牙だった。


 慌てて右足を踏み出して、頑丈な足で攻撃を受け止める。


「こいつらリアルタイムでポップすんのかよ!?」


 多分、今全滅させたパーティーに追加する形で出現中だったのだろう。地上にいた蟻は全滅させたけど、攻撃されたという情報はリンクしていたコイツに伝わって、それで最初からアクティブ状態になっているのか。


 いやそんな事を考えている場合ではない。


 ビーム砲は未だオーバーヒート中だ。これが回復するよりも、相手の顎が足を噛み砕いてこちらを倒す方が早い。


 こうなったら、やる事は一つ。


「……ふんぬ! ふんづけ、ふんづけ、踏んづけ!!」


 スタンピングである。蟻は噛みついた顎をてこでも外さないつもりのようなので、それごと足を振り上げて叩きつける叩きつける叩きつける!! 警告音が鳴り、ステータスの脚部が黄色くなっていくが、このまま座してやられるのを待つよりは!


 そうして2,3度叩きつけると、蟻の体は木っ端みじんになって消滅していった。キラキラキラ、と消えていく残骸に、ふぅ、と安堵の溜息をつく。


「ふぅ……危なかった。……ん?」


 窮地を脱した所で、ふとある事に気が付く。


「…………重量二脚の踏みつけ、もしかしてかなり強い?」


 2,3度のスタンピングで倒せたんだから、ビーム一発よりちょっと弱いぐらいという事になる。初期ライフルで数発、という話だったから、大体それと同じくらい?


 一瞬ビームが弱すぎるかと思ったがライフルと比較するとなるほど、ふむ。威力だけなら悪くないんじゃないか?


 勿論、接近戦はこちらのリスクも多いが、ふむ。


「試してみる価値はあるか……」


 どうやら、新しい戦術が閃きそうな感じである。


 まあ、それはそれとして。


「……ダメージ受けたから修理しないとね」


 きびすをかえして、のそのそとガレージに向かう。ああ、やっぱ歩くの遅いって、これ……。




 ガレージに戻った私は早速修理をしつつ、問題点の改善にかかった。


「まずはやっぱり移動速度だよな」


 とにかく動きが遅すぎて不快感が凄い。通常移動は仕方ないが、戦闘時の機動ぐらいはなんとかしたい。このままではよい的だ。真っすぐ動くだけでいいから、何か良いアイディアはないだろうか。


 基本的に、そういう時はタイヤとかつけてローラーダッシュするのがお約束だ。いっそ車輛型の脚部はないかな、と思って調べてみるが、少なくとも今のラインナップには存在しないようだ。


 タンク型とかも浪漫ではあるので、無い、という事はないのだろうけど、もっとゲームを進めないと駄目か。


 そうなると、何らかの補助装備で移動速度を上げる事になるのだが……。


「ローラーダッシュは……ああこれ、専用の補助プラグインがいるのか。まあそうだな、足の裏全部ローラーだとずっこけるもんな。制御系ってどうやって手に入るんだ……? スラスターとかでダッシュすんのは……うげ、結構要求が重たい。機体内部にかなりの容積を要求するのか……」


 カタログを前に頭を捻る。


 安直にローダーダッシュとかスラスター増設、という訳にはいかないらしい。まあプラモデルじゃないんだから、そういう装備をポン付けした所で機能する訳ないんだもんな。現実の兵器とか、ちょっと何か増やすだけで機体全体の再設計とかザラだし。航空自衛隊のF-2がぱっと見米国のF-16だけど実際は、何一つ共通点が無いレベルで設計変更されてるのとか有名な話だ。だから見た目変えずに仕様が全然違うF-35がすごい訳だし。


「お、ロケットブースターか。ふむふむ……固形燃料を燃焼させて短時間噴射する、か。これよさそうだな。後ろにつけてブーストダッシュ……は転がり岩になるオチが見えてるから、そうだな。胴体の前後左右に四つつけて、大ジャンプするとか……うん。いけそうだな」


 それでも流石のバリエーションというか、なんとか使えそうな物を見つけて早速試してみる。


 四角い箱みたいな胴体にぺたっとくっついた黄色い箱。いわゆるロケットブースターである。ちょっと角度をつけて接着するのが多分ポイントだ。


「よし、出撃ー!」




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