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ビルドロボオンライン ~趣味に走った私の愛機、廃人どもに野生のレイドボス認定される~  作者: SIS


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第六十五話 再び大空へ


 という訳で、合成ビームに代わる新しい武器を探さなければならない。


 正直、オフラインでならちょっとぐらいいいじゃろ……という悪魔のささやきが聞こえない、といったらウソになるが、まあ余計なスケベ心を出すとロクな事にならないのはこれまでの人生経験が物語っている。


 素直に、他のプランを模索するとしよう。


 んでもって、合成ビームだの、合体メガフレームだのに手を出す前に、私が模索していたのはなんだったか。


「という訳で、プラズマジェットエンジンの開発を再開します!」


『わーい、パチパチ~』


 テレサと二人漫才をしつつ、ハンガーに納まる機体を見上げる。


 そこに佇むのは、新しく建造した飛翔タイプの機体である。


 今回プラズマジェットエンジンの熱源に利用したのは、最近開発できるようになったプラズマピストルである。軽量で機体負荷が小さいこれをベースとして、以前開発していたエンジンに組み込んだものを二つ、機体の両肩に装備している。両肩というか、腕を丸ごとジェットエンジンに置換した感じだ。


 プラズマピストルは収束コイルの距離が足りなくて自損する危険性があったけど、プラズマジェットエンジンの動力源として組み込むなら関係ない。難点は照射時間が短いから飛行するだけの推力が得られるか、という点だけど、そのあたりは出力調整弄ってなんとかならないかな、という感じだ。


 んでもって武装に関しては胴体にマシンガンを直接内臓している。以前空中でぶっぱなした際に推力と安定性を失って失速した事を顧みて、出来るだけ重心に近い胴体に搭載し、推力に関してはエンジンを倍に増やす事で対策した。


 勿論まだまだ見切り発射なプランで、改善点は多いだろうがとりあえず形にはなったという事で。


「テレサ的にはどう思う?」


『正直そもそもの発想が奇抜といいますか……普通にスラスターを装備すればいいのでは? といいますか』


「おうふ。正論パンチやめて」


 いやまあでも言う通りなんだよね……。ただスラスター搭載すると流石にビーム砲類詰めなくなるし……あとこれにも利点があるんだよ。サブエネルギー使わなくていいから、斥力場装甲と共存できる。


 今回、斥力場装甲は脚部に搭載している。不時着時に機体を守る為と、飛行中に下から撃たれた時に身を守る為だ。荒野の敵はライフル撃ってくるからね。


 上手くいけば飛行するのに硬いといういいとこどりができる、最強だ。


『でも私としては、以前関わらせてもらえなかったプロジェクトに参加できるだけでもなんか嬉しいです!』


「そういやそんな事もあったな……」


 あの時は手違いで送られてきたAIだと思ってたから、運営怖くて距離を置いてたからねえ。いやまあ、手違いだったのは何も間違ってないようだったんだけど。


「まあ、何事もチャレンジチャレンジ。あの合成ビームだって、やろうと思って作れたものじゃないし。何が後々役に立つのか分からないなら、思いついた事はなんでもやるべきだよ」


 そもそもこれゲームだしね。


『それもそうですね! では、私は早速補助席に……』


「あ、この機体単座だから。軽量化の為には仕方なくてね……」


『ええー? コクピット一つぐらい大した違いじゃないじゃないですかー』


 唇を尖らせてケチー、と訴えてくるテレサだが、言うまでもなく墜落の危険性がある機体に彼女を乗せる訳にはいかない。


 というかこのAI、自認はこの世界の人間のはずなのに命知らずが過ぎない? 前に一緒に仲良く合成大爆発で消し飛んだこと忘れた?


「はいはい、機体が安定したら、ちゃんと乗せてあげるから」


『ぶー。約束ですよ』


「約束約束」


 テレサを適当にあしらいつつ、私は愛機のコクピットに乗り込んだ。


 さて。


 こいつは、ちゃんと飛んでくれるかな?






 という訳でさっそく出撃。


 もういい加減顔なじみになってきた工業地帯のホーム出入口、周囲を見渡すと合成ビームで破壊の限りを尽くされた地形はすっかり元に戻っているようだ、よきかなよきかな。


 とりあえずまずは歩いて正規の出入口に向かう。


「陸上での機動性はまずまず、と」


 基部にプラズマピストルを用いたのと、良い訳だけじゃなくてちゃんと機体の軽量化に努めた御蔭で、地上での機動力も悪くはない。基本、ビーム砲を搭載した機体はペンギンみたいなヨチヨチ歩きになりがちなので、ちょっと新鮮な気分だ。歩幅も普通だし。


 脚を伸ばすと普通に重量そのものは爆増するからね……。


 とはいえプラズマピストルは主武器にするには問題が多すぎる。そして一応現在装備しているマシンガンも、将来的には力不足になる事は間違いない。あの雪山のような環境で戦うには、ただ普通に戦えるだけでは全然足りない。


 ま、それは文字通り将来の話だ。


 まずコイツを問題なく動けるように仕上げないと。


「正規ゲートにアクセス、っと」


 壁の真ん中にあるシャッターと、その隣にある端末に接触する。モニターにアクセス表示がなされた後、ガラガラとシャッターが開いた。


 これで、今後ここを自由に出入りできるはずである。


 そしてシャッターが解放された向こう側から、乾いた風が吹きこんでくる。赤錆まみれの荒野の景色。


「じゃ、まずは高度をとって、と」


 やる事は基本変わらない。まずは、ロケットブースターを点火して速度と高度を稼ぐ。流石にこの急加速にも慣れてきた、跳躍と合わせて周囲が見渡せる高度まで一気に浮上する。


 そして、プラズマジェットエンジン起動。タービンを高速回転させて空気を流入し、それをプラズマビームで一気に膨張させる。


「……点火!」


 トリガーを引くと同時に、機体が細かく振動した。プラズマビームの放射が始まり、機体の両肩から青い光の尾が伸びる。それによって圧縮された空気が超高熱によって爆発的に膨張、推進力を……って。


「お、わあああ!?」


 突然、ぐるぐると機体が高速回転する。


 これは……両肩のエンジンの、推進軸がずれてるか!? 腕を操作して角度を調整するが、今度は逆回転。もし現実だったら高速回転の切り替えしで脳みそがシェイクになってそうだ、というかパイロットのHPがごりごり減ってる。


「こなくそー!?」


 それでもなんとか、ちょうどいい感じに角度を決めて、やや機体が安定する。本照射が終わって、余熱による飛行に入った事で推力そのものは低下したのもあるだろう。まるで氷の上で片足立ちしているような不安定さだが、なんとか飛行できているようだ。


「バランサーをもっと強化しないと駄目だな……。エンジンを増やす、口で言うのは簡単だがこうまで制御が難しいとは……」


 あるいは、変に稼働軸があったのがいけなかったのかもしれない。難しいもんだなあ。


 落ち着いてモニターに目を向けると、随分と高度が下がってしまっている。流石に、プラズマピストルが熱源だと推力が不足しているようで、その下がり方はかつてに比べても大分早い。


 どんどん高度計の数値が低くなり、地上が近づいてくる。


 それでいて速度は十分に落ちてない。このまま不時着したら木っ端みじんだ。


「せ、斥力場障壁展開!」


 スイッチを押すと同時に、サブエネルギーがガクンと減る。


 直後、見えない壁ごしに機体が荒野に不時着し、モニターが舞い上がった砂塵に覆われた。


 斥力場が干渉するすさまじい異音と、衝撃。ガクン、ガクンとコクピットが揺れ、そして静かになった。


 視界の中。サブエネルギーのゲージが底をついていた。




◆◆







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― 新着の感想 ―
あーでもないこーでもないと試行錯誤してるの、イイですよね……
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