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ビルドロボオンライン ~趣味に走った私の愛機、廃人どもに野生のレイドボス認定される~  作者: SIS


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第五十三話 汚い世の中に粛清を


 そんなこんなで、気ままにゲームを楽しんでいた私だったが、しかしその状況が一変したのは翌日の事だった。


『革命だ! 革命しかない!!』


「いきなりどうしたよお前」


 話したい事があると連絡してきた友人が、通話に出るなり言い放った過激な言葉に、私は首を傾げた。


『どうしたもこうしたもあるかよ! ああ、畜生、このあいだの話覚えてるか?!』


「この間って……辻斬りギルドの話?」


 その話なら覚えがある。


 確か、今オンラインでは手あたり次第に無所属プレイヤーを襲撃する辻斬りギルドが横行している修羅の国状態だったという話だ。で、それを避けるために多くの中立プレイヤーはこれを機に企業ギルドに所属するケースが増えているという事でもあった。


 おっかない話だ。


 しかしそれがどうしたというのだろうか?


『どうしたもこうしたもないよ、これ全部企業ギルドの連中のやらせだったんだよ!』


「はあ?」


『たまたま、ギルドの会合に潜り込んでたもの好きがいてさ……そこで密約が交わされてたんだよ!』


 話を聞くに、生身でのスニーキングミッションにはまっていた物好きがフィールドを探索していた時に、人気のないエリアの廃墟で企業ギルドのリーダー同士が会談していたのだという。


 どうやら、最近躍進している辻斬りギルドは、企業ギルドから支援を受けて結成されたものであり、その目的はプレイヤーを中立から企業所属に移動させる事にあるのだという。


 つまりは自作自演だったという事だ。


「うわあ」


『ひでー話だろ。プレイヤーの風上にも置けねえ……!』


「まあ、気持ちは分かるけどさ……。でもそれ、あくまでプレイヤーの権限の範疇だろう? 悪い事してる訳じゃ……」


 一応、ゲームの規約に他人に迷惑をかける行為は禁止されているが、PKの推奨が逸れに含まれるかはあやしいところだ。そもそもビルドロボオンラインはPVEのみならずPVPもメインコンテツの一つである。


『まあ、そりゃな。規約には違反してねえし。だけど流石に今回ばかりはプツンと来たわ。もともとアイツら、中立プレイヤーを見下してる傾向はあったけど、こうまで露骨に弾圧してくるとなると黙ってられねえ。あっちがルール違反してないっていうなら、こっちだってルールにのっとった報復をしてやる』


 まあ、確かに、数万人という中立プレイヤーの大半を企業プレイヤーに転向を決意させるほどの辻斬りが横行するってのは、規模が桁違いだ。組織的な迷惑行為、といっていいかもしれないが……それはそれで、企業ギルド側も辻斬りギルドに相当な投資をしたんじゃないか?


「で、どうするんだ?」


『いったろ、企業ギルドが辻斬りギルドを粛正するって。そこを賛同者で襲撃する。話の流れからして、これは100%形だけだ。あっちだって辻斬りギルドへの投資は回収したいだろうし、見た目だけ粛清した形にして、実際は辻斬りギルドを解体して企業に戻すって所だろう。それでも、同じ企業ギルド内の目もあるし、形だけは戦争を行うはずだ。そこを襲撃してしっちゃかめっちゃかにしてやる』


「……それで大局は変わらないと思うが……」


 そこで企業ギルドを壊滅させても、中立プレイヤーが企業にいっちゃったのは変えられないしな。まあこういうのは理屈ではないか。


 効率だけで言えば企業に所属しないで中立やってる理由なんてないものな。


「まあ話は分かった。私もその襲撃に参加すればいいのか?」


『え? いや、別にいいよ戦力にならんし。話聞いてほしかっただけ』


「…………そうか」


 まあ私はゲームを始めたばかりのニュービーだし、進行度もさほどでもないしな。おまけにビームなんていう産廃を好んで使っているもの好きだし。


 だからといってはっきり断言されるとちょっと悲しいものはあるが。


「まあいいや、健闘を祈る。これからどうするんだ?」


『まあそんな訳で、こっちはこれから同志と共に戦闘訓練だ。襲撃用のガチ機体も組まないといけないし。悪いな』


「いんや、気にするな。頑張れよ」


 その後はしばし、どうでもいい日常のやりとりを交わして、通話は終了した。


「……企業ギルドの襲撃かあ……」


 ふぅむ。なんか楽しそうだなあ。


 ま、今の私が参加してもにぎやかしにしかならないのは事実だし、まあいっか。




◆◆




 そんでもってゲームにログイン。


 ホームに戻ってくると、丁度タイミングを同じくしてエレベーターが動く。


 降りてくるのは、プラズマビーム砲とフォトンカービンを装備した私の機体だ。多少薄汚れている愛機がハンガーに固定されて、作業用アームが早速洗浄を始める。


 そのコクピットが開いて、金髪の美少女がひょこり、と顔を出した。


『おかえりなさい、ショウさん!』


「ああ、ただいま。実験結果はどうだい?」


『えへへー! 実は面白い事がわかりました!』


 ぴょん、とキャットウォークから飛び降りるようにして、つててて、とこちらに奔ってくるテレサ。なんていうか、随分ご機嫌だな。AIにも好感度で対応が変わるみたいな設定があるのだろうか?


「わかったって、何が?」


『あの大爆発の理由がです。どうやら、プラズマ粒子とフォトン粒子は、特定条件で互いに干渉、相互作用によって粒子が急激に活性化するようなんです!』


「互いに干渉? エコーみたいな事が起きるって事か?」


『んー、まあそんな感じですかね?』


 まるで頭の中の考えを纏めているように、テレサが視線を上に向けて口元に指をあてる。オーバーリアクション気味でわざとらしいのだが、見た目可愛いからなんか絵になるのはずるいと思う。


「んー。話は分かった。それで、そのどこが面白い話なんだ?」


『つまりですね、この現象を利用すればプラズマビームとフォトンビームを合わせた合体ビームが撃てるかもしれない、って事なんです!』


「何それ滅茶苦茶面白いじゃん」


 凄い愉快な話になってきたぞ。


 合体ビーム?! 完全にスーパーロボットじゃない。時代はここまで来ていたというのか……。


「いいじゃんいいじゃん早速やってみるよ詳しい条件を教えて」


『んー、それなんですが、ちょっと現状だと厳しいです。プラズマ粒子とフォトン粒子の相互作用を安定させるには、双方相当な出力が必要みたいでして……現状だと、反応させても制御を欠いてただの大爆発になっちゃうみたいなんです』


「あ、あー。混ぜ合わせる二種のバランスが必要、って事か?」


 某名作少年漫画の、炎と氷の力が合わさり最強に見える奴も、ちょっとでもバランスが崩れるとただの自滅にしかならないもんな。


 んでもって、現状、反応を安定させる出力でのプラズマビームとフォトンビームの同時運用できる機体が存在しないと、そういう事か。


「具体的にどのぐらいの出力が居るんだ?」


『ええと。カタログを見るに、これとこれが同時運用できないと厳しいかと……』


「うげえ」


 現状のパーツリストから該当の武器を見せられて私は思わず呻いた。


 どっちも見覚えのない武器。多分、この間のボス撃破で解禁されたパーツだろう。あの時はホーム解放と順番が逆になった事への徒労感でよく確認せずに帰っちゃったからな。


 んで、恐らくタイミング的にメガフレームとの併用を想定しているであろうその装備だが、一言でいうと一本だけでもまともに運用できるような機体負荷ではなかった。


 確かにカタログスペックはぶっとんでいるんだが……。


「これは、まあ確かに二つ同時に搭載は不可能だな」


『はい。僚機との同時運用したとしても、制御関係でどうしてもラグは避けられないので、やはり不安定になるかと思われ……現状では実現性は乏しいと思います。将来に期待ですね』


 ちょっとしょんぼりした感じで肩を落とすテレサ。


 そんな彼女に、しかし私は笑って首を振った。


「そんな事はないよ。いや、むしろグッドタイミングだ」


『え?』


「ふふふ。我に秘策あり、だ」






◆◆


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