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ビルドロボオンライン ~趣味に走った私の愛機、廃人どもに野生のレイドボス認定される~  作者: SIS


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第二十七話 溶岩島の戦い



「ええい、先手必勝!」


 突然始まったボス戦に狼狽えながらも、とにかく私は引き金を引いた。サブエネルギーが満タンになっていないのもあって、様子見も兼ねてとにかく攻撃。


 防御面に保証があると、判断に悩まなくていい。


 迸ったビーム砲が、立ち上がったボスヤドカリの足の間に命中してプラズマ爆発を引き起こす。炸裂する青白いエネルギーの奔流に、ボスヤドカリが叫び声をあげてリアクションを取った。


『ギィィイイ!』


「ちっ、そんなに効いてない!」


 これまでのヤドカリと同じなら、本体部分は非装甲部分でダメージが大きいはずなのだが、削れたHPバーはそう大きくはない。


 弱点じゃないのか? それともボスだからHPが多くて、あまり削れていないだけなのか?


 現時点では何とも言えない。


 冷却を待ちながら様子をうかがうこちらに対し、ボスは複数の足を大きく振り上げ、その場で足踏みするような動きを見せた。


『ギィィ!』


「足踏み? いや、違う……!」


 振動で浮島が揺れる中、不意に頭上に黒い影がさしたのを見て退避する。のたのたと後退した目の前で、刃物のようなボスの足が浮島を突き刺した。脚部での攻撃モーションか。


 都合がいい。


 私は一瞬だけ斥力場を展開し、シールドで足を殴りつけた。バギギギギィ! というイオンと共に、ボスの脚部の表面が削れる。


『グギィ!』


「おっし、ダメージが入った!」


 それなりにダメージが入ったのを確認して快哉を上げる。なんならプラズマ直撃よりダメージが入っているように見える。


 なんでだろうね、と思って観察すると、浮島に深く突き刺した足……それをずぼっと抜くと、鋭利な傷口から溶けた金属マグマが噴き出すのが見えた。


 なるほど。


 溶岩の熱でちょっと足が柔らかくなっているのか。


「なるほどね」


 ボスの攻撃パターンも見えてきた。


 周囲にばらまく爆弾岩、足での突き刺し、口から放つビーム。


 そのうち、ビームだけは絶対に食らってはいけないと正面を避けて位置取りをし、振り下ろされる足の攻撃を回避しつつシールドでぶん殴る。この熱環境に加え、プラズマの冷却中はサブエネルギーが自動的に回復し続けるので、一瞬だけ起動してぶん殴る分には問題ない。


 あとは爆弾岩だが、これもモーションが大げさだし、狙って落としてくる訳でもないから回避は簡単だ。


 とはいえ、これだけ景気よくばらまかれると、そのうち島に足場が無くなってしまうだろう。


 それまでに倒すか、適宜処理すべきなのか。


 頃合いを見てプラズマビームで薙ぎ払うか? そんな風に考えながらボスの足を殴りつけていると、相手が新しい動きを見せた。


『ギシュウウゥ!』


「おっと、こいつは……!」


 ボスが足を折りたたむようにして姿勢を低くする。本体が地表近くまで降りてきたので殴るチャンスだが……嫌な予感に、攻撃よりも回避を優先、ボスの背中側に移動する。


 その最中、ボスの口元が赤い光を放っているのが見えた。


 ビームのチャージだ。


『ギゥウウ!!』


「いったい、どこに向かって撃って……いや」


 そしてそのまま、誰も居ない方向に放たれるビーム。何を狙っているのかわからないが……いや。


 そうだ。


 ビームは“薙ぎ払える”。


 壮絶に嫌な予感に、私はシールドを構えた。


『ギシュウウ!』


 そして予想通り、ボスはその場でぐるり、と回転した。時計周りに、赤いビームが周囲を薙ぎ払いながら迫ってくる。敵の使うビームがどれぐらいの威力があるかわからないが、大技っぽいエフェクトを見るにダメージは大きいはずだ。敵の攻撃なんだし、運営が数値いじって威力を十倍とかにしておけばそれでいいし。


「斥力場防壁最大展開……!」


 サブエネルギーの温存とかいっていられない。最大出力で展開した不可視の防壁と、ボスの放つ赤い閃光が激突する。


 通過は一瞬。薙ぎ払ったビームとの接触は一瞬だったが、心臓に悪い瞬間だった。視界が赤い光に包まれるのは流石にぞっとする。


 機体のダメージを確認する。幸い、ダメージらしいダメージはなかった。どうやらシールドが全ての粒子をはじき散らしてくれたようだ。いや、コクピットには機体の温度の急上昇を伝える警告メッセージが出ているから、完全に無効化できた訳ではないのだろうけど。プレイヤー機の耐熱性が雑魚より高くて助かった。


「いや、それにしてもダメージゼロってのは……大技っぽいのは見た目だけなのか?」


 もしかしてこいつのビームも威力が低いのか? 警戒から一転、同情心が心に沸く。


 オマエも苦労しているんだなあ。


 そんな筋違いの仲間意識は、次の瞬間コクピットに響く警報で遮られた。


「なんだ?!」


 機体を振って周囲を見渡し、それでようやく私はソレに気が付いた。


 浮島にランダムにまき散らされた爆弾岩。それが、今のビームで赤熱し、膨らみ、今まさに爆発しそうになっている。そして私の周囲にも、爆発寸前の爆弾岩が……。


 しまった。今のビームはプレイヤーへの攻撃ではなく、これを起爆させるための……!


「こなくそっ!」


 回避は間に合わない。咄嗟にシールドを向けた瞬間、爆弾岩が爆裂した。


 すさまじい圧力に機体が勝手に後ずさる。斥力場はダメージを逸らしてくれたが、圧力そのものはむしろ増してしまっている……?!


「だ、だが耐えた……はっ!?」


 サブエネルギーの残量を気にしながらもシールドを構え、耐えきった……そう思った瞬間、ふわり、と浮遊感がコクピットを包み込んだ。


 これは、まさか。


 フラッシュアウトから戻ってきたキャノピーに映し出される光景。


 それは、先ほどまでボスと戦っていた浮島の荒れ果てた地表ではない。


 そこに映っているのは、波打つ液体金属の湖面。


 投げ出された。


「う、うわああ……!」


 脳裏によぎる、以前爆発で溶岩に叩き込まれ、コクピットに染みこんできたマグマで焼死したときの経験。


 反射的に、私はこれまで頼りに頼ってきたシールドをマグマめがけて叩きつけた。ざぶん、という音と共に手ごたえが返ってくるが……。


「……は、ははっ」


 何をやってるんだろうなあ。確かに溶岩は大きな脅威だが、それを盾で防げるはずもない。脳死で盾を翳したところで助かるはずもないのに……。


 自分のバカさ加減に苦笑を漏らすものの、数秒たって私は違和感を覚えた。


 機体が、沈まない? それに、なんだ。サブエネルギーの減少がゆっくりに……。


「これ、は……まさか、斥力場が、浮力の代わりに……?」


 見れば。溶岩に落ちた私の愛機は、シールドを船底のように突き立てて湖面に浮かんでいた。バババババ、と音を立てて溶岩を斥力場が蹴散らし、それが結果的に浮力のように働いているようだ。それでも、サブエネルギーがこんなに長い間持つはずがないんだが……いや。


 まさか。


「……溶岩の熱をエネルギーに再転換してる……?!」







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な、波乗り◯カチ◯ウ状態……
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