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ビルドロボオンライン ~趣味に走った私の愛機、廃人どもに野生のレイドボス認定される~  作者: SIS


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第二十五話 (物理的に)熱い展開


 道中でサブエネルギー充填の為に見かけた雑魚ごと森を焼き払いつつ、なんとか火山地帯へのアクセスルートに辿り着いた私。


 ここから先は、基本的に平らな道をまっすぐだ。ようやく、ロケットスキー移動を試す事が出来る。


「さて、上手くいってくれよ……」


 理論上はスキッドを履いてるから、バランスを崩して転倒という事はないはずだが……。


 祈るような気持ちで、ロケットブースターを点火する。


 ゴッ、と機体の背中から振動音。そしてじわじわと、ブースターの勢いに押されて機体が滑り出す。


 最初はゆっくりだったのだが加速していく。スキッドからは盛大な火花を散らして、機体が踏み鳴らされた地面を滑走していく。


「おおぅ、これはなかなか……!」


 高速で流れていく景色に感動しながら、バランスを取るべく操縦に集中する。


 多分客観的にはそんな凄い速度は出ていないんだろうけど、これまでがこれまでだった事と、振動でガタガタ揺れる画面とかの演出でなんだか超高速でカットんでいるような気持ちになる。


 そうこうしているうちにロケットブースターの燃焼が終了。完全に噴射が停止し、機体が慣性で移動を始めたタイミングで、もう一基のブースターを起動する。すでに勢いが乗っているからか、すぐさま機体が加速を始めた。


「ひゃっほう!」


 やがて二基めのブースターも停止するが、その頃には歩いて凡そ20分ぐらいの距離を踏破していた。すでに周囲の景色は荒れ果てた荒野のようになっており、木々も疎ら。火山地帯が近い。


 乾いた砂利道に出た途端、スキッドが嫌な音と共にこれまでと違う火花を散らす。急減速し、停止する機体。


 足元を見て見ると、スキッドはすでにボロボロ、すり減り今にも砕け散りそうな有様になっていた。このあたりが限界かあ。


「お疲れ様」


 炸裂ボルトでスキッドをパージして、よっこいせ、と脚を降ろす。排除されたスキッドは耐久限界に達したのか、バラバラのポリゴン片になって消滅した。


 背中に背負っているのは帰り用の予備である。ここからは徒歩だ。


「ま、ここまでこれれば上々でしょう」


 大幅なショートカットができたのは違いない。私は小さな達成感を満たされつつ、火山地帯へと向かった。




◆◆




 流体金属が河のように流れる火山地帯。


 輻射熱により日陰でも気温は90度を超える灼熱地獄を歩いていると、早速敵を発見する。


 もはや顔なじみになったと言ってもいい、ヤドカリ型のエネミーが三体。まだこちらに気が付いていないそれらに、プラズマビーム砲の照準を向ける。


「さてさて。撃った途端に爆発しないだろうな……?」


 それに、相手はもともと高熱環境で活動するエネミーだ。それなら熱に対して高い耐性を持っている可能性がある。


 多少の不安を覚えつつも、プラズマビーム砲の引き金を引く。


 波濤のように吐き出される青白いビーム。それは狙いたがわず一匹のヤドカリ型エネミーに直撃し、続けて薙ぎ払って他二匹をも巻き込んだ。


 真正面からぶち込んだので、ヤドカリ達に大きなダメージが入る。HPバーがガッと三分の一削れて……あとは熱ダメージで少しずつ削れ始める。


「あちゃー、それでもこんなもんか」


 まあ想定していたのでがっかりはしない。それよりヒートゲージを確認する。


 幸い、確かにヒートゲージは森で撃った時より上昇していたが許容範囲だ。どうやらこのプラズマビーム砲の冷却システムは相当に優秀らしい。


 あとは、ヤドカリの反撃を砲身が冷えるまで凌げるかだが……。


「おんや?」


 そこでふと私が気が付いた。なんだか、ヤドカリの動きがやたらと鈍い。


 ちんたら、ちんたら。炎の中で足をじたばたさせて、なかなか反撃に移らない。その間も熱ダメージでごりごりHPが削れているというのに。


 ……というか、熱ダメージもしっかり普通に入っているし、熱に強いという訳でもなさそうだ。


「もしかして……あれ、オーバーヒートしてる?」


 そうだ。考えてみれば在り得なくもない。


 この火山地帯に適応する為の構造をしていると思わしき敵エネミーだが、その結果素の装甲はかなり薄いと感じていた。それはつまり、無理をしなければこの環境に適応できないという事でもある。


 その無理をしている所に、想定外の超高熱源をぶち込まれたらどうなる?


 限界を超えるに決まっている。


 どっちかというと、こいつらが強いのは冷やす攻撃であって(そんなのあるのか知らないが)、熱攻撃にはむしろ平地のメタルインセクトより弱いのではないか?


「あー。剣と魔法のRPGによくある属性で考えすぎたか。物理法則を魔法が上回るああいう世界とちがって、こっちはバリバリのSF、物理学の世界だもんなあ……」


 しみじみと納得していると、ヤドカリがようやく攻撃体勢を取った。こちらに向けて発射されるミサイルだが、その弾幕は薄い。


 私は盾を構え、真正面から斥力場シールドで受け止めた。さて、どのぐらい防げるかな?


「むむ……」


 飛来したミサイルが斥力場に接触し、空中で爆発する。黒い煙が広がり、衝撃に機体が多少押し返されるが……。


「大したことは無いな」


 HPを確認するも、ほとんど減ってはいない。ミサイル攻撃はほぼ斥力場で相殺されてしまったらしい。次の攻撃に備え、サブエネルギーを節約する為に一度斥力場を切る。


 とはいえ今の数秒の展開でサブエネルギーはすでに半分ぐらいに減っている。


 これは……ちょいと足りないかな。オーバーヒートでヤドカリの動きは鈍っているが、経験からするとあと二回はミサイルを撃ってくる。三発目の攻撃を受け止める為のサブエネルギーが無い。


 残念だが、アセンは失敗か……そう思う私の目の前で、、ぐん、とサブエネルギーが少しだけ回復した。


「え?」


 慌ててゲージを凝視する。気のせいではない。あきらかに森で試した時より回復の速度が速い。なんで……って、あ。


「そうかここ、高熱の火山地帯だった……!」


 そうである。ここは外気温90度、溶岩の地殻ともなると輻射熱で200度を越えそうな灼熱地帯。ただ突っ立ってるだけで機体は高熱に晒される訳で……それを、熱エネルギー再転換スキルがサブエネルギーに変えているのか?


「これはちょっと想定外……うぉお!?」


 コクピットに鳴り響くアラームに慌てて我に返る。ギリギリの所でシールド展開が間に合い、二発目のミサイルを防御する。本来ならこれでサブエネルギーは底をつくが、確かにまだちょっとだけ残っている。


「これなら、いける……!」


 そして三度目の攻撃を受け止めた直後、反撃のプラズマビームが残りHP僅かになっていたヤドカリ達を焼き尽くしたのだった。


「こいつは熱いぜ……!」


 なんだかうまくいきそうな予感がする。


 私の頬にも、思わず笑顔が浮かぶのだった。




◆◆



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