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ビルドロボオンライン ~趣味に走った私の愛機、廃人どもに野生のレイドボス認定される~  作者: SIS


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第百一話 夫婦狼


 何はともあれ、コンセプトは達成しつつ問題点も洗い出せた。


 実戦テストは上々である。


 ホームに戻り、ハンガーに並ぶ機体を眺めつつテレサとまずは意見交換。


「とりあえず、分離機能についてはもっと強化した方がいいね」


『そうですね。サブエネルギーの補充用に1号機は自由に動けるようにしていましたが、むしろ最初から合体して1号機のエネルギーを先に使った方が後々を考えると効率がよさそうです』


「低下した熱交換効率を補う為にも、いっそ極力合体してた方がいいかもね……」


 設計をカタカタ、と書き換える。


 テスト時はあくまでエネルギー供給の為の合体機構だが、いつぞやの合体ザウルスみたいに本格的に戦闘も想定した合体システムに切り替えたほうがよさそうだ。


 ただし、2号機は生産システムにリソースを割きすぎて鈍重で動けないという事もあり、そうなるとどうしても砲撃戦特化になる。1号機はいっそ、その為の攻撃端末として割り切ってしまうべきか?


「1号はもうほとんど移動砲台みたいにする?」


『……いえ、それだと不安は残ります。自律ドローンはどうしても接近戦に弱いので、そのカバーも必要でしょう。逆にビーム砲の搭載数を減らして、1号機は近接戦能力を強化してみるのはどうでしょう?』


「ふぅむ。それだとサブエネルギーの回復効率が落ちるけど……まあ確かに。さっきの戦いでも囮を務める際、近接戦闘能力が高いに越したことはないな」


 理論上はサブエネルギーの回復上限は高いに越したことはないけど、実戦を考えるとオーバーキルになりがちかもしれない。


 本体の戦闘能力もおろそかにできないというのは頷ける。


 そういう意味だと、先ほどの戦いにおいて1号機は攻撃力こそあるものの手数が少なすぎた。


『どうせまだ試験運用段階です。色んな方向性を試してみるのもよろしいのでは? 例えば、今度は逆に自律ドローンを支援兵器と割り切って、1号機の戦闘能力を重視してみるとか。2号機を移動ガレージとして補充その他を担当させれば、より割り切った構造にできるはずです』


「ふむ。それも確かにありか……」


『ショウさんが前線で暴れれば結果的に自律ドローンの被害も減り、必要な生産能力も低下するかもしれません』


 なるほど。


 それは確かに理論的な考えだ。


 次はそれで行こう。


「となると、こんな感じはどうかな?」


 コンセプトとしては……そうだな。補給や支援は全部2号機や自律ドローンに任せて、敵陣に殴り込んで大暴れするというのはどうだろうか。


 まずスラスターを大推力かつ高機動のそれに変更。そんでもって、機体の形状も突撃目的に特化した異形へ形作る。


 まず脚部は大胆に排除。んで胴体と腕の間にパーツを噛ませて肩幅を大きく広げて、腕の所に獣脚をくっつける。いつぞやのラプトルの脚部の流用だ。ただし、足先には格闘戦用のクローをつけて、パイルバンカーなんかも仕込んでみる。


 頭部は……胴体のキャパシティーが空いてるから、カメラを分散配置して耐弾性を向上。空いた頭に、一門だけビーム砲を搭載……ただポン付けしただけだとダサいな。鳥だか恐竜だかっぽく見えるように、それっぽいカバーをつける。


「うーん、ちょっと物足りないな……そうだ!」


 確か爆発物スキルが伸びた御蔭でミサイルとかも使えるようになっていたはず。見れば、小判焼きみたいな形状のマイクロミサイルが仕えるようになっていたので、両肩を覆うように装甲版をつけて、その裏面にぺたぺた。使用時は装甲版がひっくり返って射出する訳だ。


 うん……いいんじゃない?


 なんかのロボゲーで出てくる攻撃特化のゲテモノ兵器っぽくなった!


 ぱっと見は、翼を広げて威嚇する鷺だか鴫だかに見えなくもない。広げた装甲板は敵の攻撃に当たりやすくなるだろうが、逆に後方への攻撃を防ぐ事も出来るだろう。


「まあ、とりあえずはこんなもんでいいかな」


『あとは自律ドローンですね。もうちょっと、高性能に出来ればいいんですが……』


「それなんだけどさ。ちょっと思ったんだけど、ハンドメイドに固執しなくてもいいんじゃないかな?」


 私はショップのリストをスライドして、目についたアイテムをテレサにも見えるように拡大する。


「複雑な構造を作るのが難しい、っていうなら、ある程度欲しい機能を持ったアイテムに手を加える方向はどうかな。ほれ、これなんかどうよ」


『これは……アクティブマイン?』


 私が示したそれは、武器スキルとは関係なくショップで購入できる使い切りの攻撃アイテムだ。円盤状で小さな足があり、敵の接近を感知すると自分から近づいて行って自爆する。動力付き地雷みたいなものだ。


 これらは弾丸そのものに比べると割高で、持ち込み数も制限があり、さらには敵を撃破してもスキルが成長しない、という事でそこまで多用されはしないのだが、今回のケースにおいて改造元にするにはうってつけではないだろうか。


『なるほど、確かに。持ち込み最大数が少々少ないですが、私とショウさんそれぞれで最大持ち込み数まで持ち込めばある程度の数を確保できますし、恒久的なサブエネルギーの補給を切り捨てたなら、どのみち生産数は限られる……。デメリットを無視できる訳ですね』


「そうそう。あと構造も流用しやすいんじゃないかな。素人意見だけど、内部の爆薬を除去して代わりにビーム発振器を搭載する、みたいな。どう、いけそう?」


『……いけるかもしれません! 2号機の製造ラインを多少変更する必要はありますが、許容範囲かと!』


 よし、これで話は決まった。


 カスタマイズ画面からアセンブリを決定し、たちまち機体の改造が始まる。


 ウィーン、ガシャガシャ、と動き回る作業アームを前に、うーん、と私は背伸びをした。


 なんだかんだで兵隊蟻との激戦でちょっと疲れた。今日はこの辺りで失礼しよう。


「じゃあ、私はちょっと休むよ。おやすみー」


『おやすみなさいませ』






 んでもって翌日。


 ルンルン気分でログインした私は、早速テレサと共に地底湖から、次のエリアへと進んでいた。


 途中で中断された道路工事は私達の手で完遂されており、車が横に何台も走れそうなひろーい道路を、キュラキュラと合体形態で移動する。


 今回の1号機2号機合体形態は、一言で言うと巨大なタンク型の脚部を持った半人型兵器、といった有様だ。2号機の首元から伸びたアームに1号機が合体し、この状態では脚部が腕部のように振舞う事になる。だいぶ見た目からも違和感は少ないというか、陸戦タイプの大型兵器みたいな見た目だね。


 ちなみにいつのまにかアップデートで合体形態は別に名前が付けられるようになっていた。せっかくなので一号機は『ハティ』、2号機は『スコル』、合体形態は『マーナガルム』と命名した。いや、なんとなく頭の中にあるコンビ機体によく使われてそうな名前を引っ張り出してきただけなんだけどね。


 ただテレサはこの命名をいたくお気に入りのようで、ご機嫌度が当社比20%アップという感じだ。


 彼女の上機嫌な鼻歌をBGMに、ゆるゆると操縦桿を傾けて未踏査地区のマップを埋めていく。


「すこしずつ傾斜が上がっていくな……このまま地上に出るのかな?」


『地図を見る限りだと、今までいった事のない場所に出るようですね』


 先日暴れ散らかした影響か、兵隊蟻もほとんど出撃しない為快適な移動だ。ちょっと移動速度が遅いのが難点なんだけど、まあゆったり話す時間があっていいね。


 それに、時間があると他にも便利な事はある。


『新型ドローンの一番機、完成しました。排出して移動させますね』


 そう。移動時間を利用すれば、事前にドローンを大量生産しておくことが可能だ。先日は対等な状況からの対応能力をテストするためにヨーイドン、で始めたが、未知のエリアを調査するにあたって戦力は多い方がいい。


 2号機のコンテナから排出されたドローンは、ころころ転がって地面にぱたりと倒れ込むと、小さな足を動かしてコチョコチョ動き出す。並走する様子は、まるで小動物のような可愛らしさがある。多分。


『プログラムを多少改良しましたので、挙動も安定しているはずです』


「そっか。……ところでそのプログラムってどれぐらいの要領? 数ギガバイトぐらいあったりする?」


『? ただの自律ドローンにそんなに容量使いませんよ、せいぜい100MBぐらいです』


 100MB。少ないとは言い難いが多くもないな。最近のPCのOSがギガバイト単位である事を考えると、まああり得なくもないのか?


 じっと横を歩く自律ドローンを見つめていると、視線に気が付いたのか脚を停めて軽く手を振り返してくる。困惑しながら私も機体の腕を振り返し、うーんと首を捻った。


 あきらかに単純なプログラムの挙動じゃない気がするんだが……まあいっか。ほかならぬテレサ自身AIであるし、人間に親しみを覚えさせやすいモーションとか流用しているのかもしれない。


 気が付けば一緒に歩く自律ドローンはどんどん増え、今や20をこえている。持ち込めるアクティブマインの最大数だ。


『これで最大展開数です。これ以上は撃破された後、回収して再生産になりますね。1号機のサブエネルギーを8割、2号機のサブエネルギーを6割、といった所でしょうか。出来るだけ大事に使う必要があるかもしれません』


「そいや原型が自動機雷だけど、破壊されても後にのこるの?」


『そこは確認済みです。アクティブマイン自体、自爆以外の方法で破壊された場合は残骸が残るみたいです。安物だから機密処理システムがいい加減なんですかね?』


 それはゲーム的な都合だと思うよ。ちなみにこの仕様のせいで、適当にばら撒いていると敵さんに破壊・回収から売却で小遣い稼ぎにされてしまうので、大規模戦を行うギルドでもあんまり人気がない。せいぜい、処理する際の発砲音が警報になるカナリアの代わりといった所か。


 そんなこんなで話し込んでいると、未知の先に光が見えた。


 地上の出口だ。


「ゴールが見えてきたぞ。気を引き締めよう」


『はい! ふふふ、今度はどんな景色がまっているんでしょうね?』


 長い上り坂を昇り切り、ついに地上に出る合体機体。


 果たして、一体どんな新エリアがまっているのかな、と……。




◆◆





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