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File.2 過去と現在


【一年前。四月一日】


警察へ赴任した紅羽は、これからの警察人生に思いを馳せながら、自身の正義を最期まで貫く事を夢見ていた。


……が。


【二ヶ月後】


東京の地域課に赴任した紅羽は、ある事件に遭遇する。


(パトロールも終わったし、この落とし物達をなんとかしないとな)


彼女が目指した刑事──とはかけ離れた今のポスト。

ただ彼女はこの役職に満足していた。


あまりにも狭い範囲だが、この地域の人達を守っている事実が…好きなのだ。


『先日、韓国の大統領殺害事件について、“物喰い”と思われる人物の犯行声明が、十七時二十四分に警視庁よって明かされました』


惰性に流れるテレビニュース。

大規模テロ組織“物喰い”の一挙手一投足に世界が注目している。


彼ら?が行った暗殺はこれで二回。

大規模テロは今まで四回。


主義主張の見えないテロに、ネット掲示板では“快楽殺人犯”などの憶測が飛び回っていた。


(…私には関係ない)

そんな彼らも、日本での犯行は一度も犯してない。


もしかして物喰いは日本人の集まりなのでは?とも言われているが……


そうして事務作業をこなしていた時に、()()は起こった。


「大変だ!!住宅が覚醒者によって襲撃された!!」


「場所は!!」


「ある蔵元の家だ!!」

その一言が、彼女の全てを変えた。


─────────────


「はぁ、はあっ、はあっ」

パトカーを近くに停め、急いで向かった先には……


「…っ!!」

その火事は多くの家を巻き込んだ大火事となっていた。


消防の到着も遅れているらしい。


ただ問題なのはそこではない。

彼女にとっては…そこではない。


「…お父さんお母さん!!兄さん!!」

今すぐにでも突入しようとした紅羽を、近くにいた先輩が止めた。


「待て!柊!中には覚醒者と刑事の上の人間がいる!家族が心配なのは分かるが、お前じゃ足手纏──」


「うるさい!!どけっ!!」

その腕を払いのけ、彼女は火の中へ突入。

中には……………



「そんな…お父さん、お母さん……」

二人の体は何者かによって肩から胸にかけて深く斬られた状態で…紅羽が発見した。


近くに道具などがある事から特に抵抗も出来ずに死んだのだろう。


「……………」

深いショックに陥った彼女には、たった一つの目的を遂行すべく、動けと身体に命令する。


「…殺す!!」

もう法も人も彼女を停められない。

      

        “地獄を見せてやる”


この思いだけだ。


そして彼女は拳銃を持ち、二階へと上がろうとした瞬間──



ドッ、ドッと音を鳴らして上から降りようとする者の姿。


刑事の人達か?もう捕まえた?

そんな事を考えていたが……違った。



「!!?」


黒いスーツに身を包み、白シャツを血で赤く染めた細身の男が紅羽と鉢合わせる。


両手には恐らく殺した刑事の生首を持ち、どこか怠そうにこれらを見ていた。


「…また警察ぅ?もうウンザリだよ。少年誌を見てないのか?拳銃(それ)は脅しの道具じゃないって」


「…お前だな」

迷いなく拳銃を奴に向けるが、男は全く動じていない。


「この首達もそう!銃を向けるだけ向けて、やれ降伏しろ〜や、銃を向けている〜などなど、撃たなきゃ意味ねぇのに」


もう限界だ。

ペラペラ喋るこの男にもう理性も本能も同じ事を考えている。


どんな場合でも、発砲許可など出ていない。

だが。



「死ね」


「うおっと!」

紅羽の殺意を察したのか、男は咄嗟に二つの生首を投げ、彼女の視線を封じた。


「チッ…!」


(こいつ躊躇いなく…!!)

近くの機械を蹴り飛ばし紅羽に向けるが


「…それに触るな!!」

寸前で回避し、男に銃を向ける。

もう男が防御に使える障害物はない。


狙うのは心臓。

一切の抵抗を許すことなく殺す。


「あの世で……お父さん達に詫びろ!!」

人差し指に強く力を入れ、トリガーを引こうとした時、背中が鋭い痛みに襲われる。


「ヒュー!」

嬉しそうに口笛を吹く男。


「……あ」

暗くなる視界の中で、ゆっくりと後ろを見ると刀を持った人間が自分の背中を斬ったのだと悟った。


「遅いよ!!」


「悪い、()()に時間がかかった」


誘拐?

もしかしてこの家にいる者を?


(お父さんとお母さんは死んだ…なら誰を…)


── じゃあ勝負だ、くれは!!お前と俺、どっちが先に夢をかなえるか!!


兄の拓。

もしかして誘拐とはその事?


「グッ……う゛あ゛ぁぁ!!」

呻き声を上げながら、苦しさの喘ぎが止まらない。

もうここで死んでもいい…ただ!


ここでこいつらを皆殺しにしなきゃ気が済まない。

背中の奥から血が流れる感覚。


体中のあらゆる細胞から脂汗が流れる感覚。

怒り、悲しみ、殺意。


(全てを…外に出す!!)

この蔵を台無しにしてくれたこいつらは、地獄行きにしなくてはならいのだから。


「なんだ?酒でも燃えて…(能力発動の気配─!)」

匂いのもとに、細身の男と刀を持った小太りの男が振り返るとそこにあったのは……


男達が見たのは、彼女の銃口からぽちゃんと流れ落ちる一滴の雫。


「“水を操る能力”か?死の淵で覚醒したわけか。

ただ残念。死にかけ+不慣れな状態で能力など……ッ…!?」


「……なんだッ…」


突如二人が()()()()()様に体を大きく揺らし、


覇気があった顔から一変、そこらへんの酔っぱらいと同一になったのだ。


「終わりだ!!」

二発放ち、一発は細身の胸にもう一発は帯刀した男の脇腹に当たった。


「ッ……クソ……!!」

能力発動と、現在の肉体限界で紅羽は気絶。

男達がどうなったかも分からずに彼女は倒れてしまった。


───────────

【数時間後】


「……あぁ」

彼女は個室の病室で目を覚ました。

まだ背中が痛いが、あの時程じゃない。


自分は助けられたのだと、理解した。


「起きたか」


「…すみませんでした」

怒りに身を任せた自分の身勝手な行動に、無許可の発砲からの殺害。


フルコースだ。

「私は捕まるのでしょうか?」


「いや、まだだ」


「え?」

心底驚いた様に声を出した紅羽。


「…お前が殺したと思ってるであろう人間はまだ()()()()


目を大きく見開かせた彼女は信じられないという目で先輩を見る。


「防犯カメラに二人組の男が、胸や脇腹を抑えてどこかへ逃げる様子が確認された」


そこを銃で撃たれて生きている確率は低いと思うが…

()()なら生きているかもな」


「奴ら?」

何も知らない紅羽の問いに、先輩重苦しく口を開く。


「物喰いだ」

その言葉を聞いて、彼女の頭の中は真っ白になった。

物喰い?国際テロ組織が?


世界のお尋ね者が、ありふれた一家を襲撃したのだ?


「…で…だ。お前が大暴れしたのはもう警察中に広がっている」


「……!!」


「ただそれを知っているのは近くにいた俺と上の連中だけ」


簡潔に言うと、揉み消された。

国際テロ組織が今までテロの標的にあってこなかった日本を襲撃した。


…なんて言う情報が流れたら大混乱とまではいかなくても、確実に混乱は起きる。


「警察から事実上のクビ、そしてお前はフリーに動ける状況。俺はお前に何かをする事はできない」


先輩は告げた。

交番勤務の人間に何ができると言うのか。


そう言いたげだ。

「………私がやる事……」


母親も父親も死んだ。

残るは兄の拓のみ。


バカで正義感が強いから、

もう殺されたかもしれない。


──── やれ降伏しろ〜や、銃を向けている〜などなど、撃たなきゃ意味ねぇのに。


物喰いの痛みである男はああ言っていた。

今の警察は引き金を持っているのに、引けない人間が多い。


これから能力者に関してはこれからも多く取り締まられるだろう。


(目覚めた能力。そして私は彼らの様に引き金を引く事に躊躇しない)


残された道なんてもう決まっている。

「先輩」


「……………」


「私が…物喰いを殺す」

殺意の宣言をした紅羽。

そのまま先輩は何も話さず、部屋を出る瞬間に一言。


…呟いた。

「柊紅羽。幸運を祈る」


─────────────

【時は現在、朝七時】


「……クソ」

最悪の目覚めだ。

まさか昔のことを丸々思い出すとは。


「紅羽さん?どうしました〜?」


「はぁ、取り敢えず朝食だ。着いてこい」


「え?ちょっと!!」


こうして紅羽に無理矢理いかれた潜一は、朝から外食という少々の非日常感を味わうのだった。



【店で…】


「紅羽さん…」


「…なんだ」


()()って朝食なんですよね?」

潜一は、溢れんばかりの野菜とアブラ。そして麺に圧倒させていた。


「これを食べないと朝ごはんと言えない」


潜一と紅羽は、“ある場所”で次の作戦を練る…前にラーメン屋で腹を満たしていた。


「朝ラーメンはギリ分かりますよ!?けど何故二郎!?」


このラーメン屋は特殊だ。

朝三時から開店している。



「…嫌な夢を見た時は、必ず好きな物を食べる」


「それがこれっすか?デブまっしぐらっすね」

それでも紅羽の体はモデルの様に綺麗だ。

理想的な細マッチョである。


「まぁ実際、小学校高学年辺りはそこそこ太ってたと思う。でもこの時から警察を目指していたし鍛えてはいた」


“ダイエット”ではない、“筋トレ”だ。


「そして、先輩。一個書いていいですか?」

紅羽はラーメンを食べながら、潜一の言葉に目だけ向ける。


「なんで…銃じゃなくて剣なんですか?あなたなら銃の腕もありますよね」

暫く黙った後、彼女は口を開く。

その目には確かな殺意と覚悟があった。


「“引き金を引けない”警察を辞めた私。ならそれの対極を貫こうと思ったんだ。この能力と剣で、私は敵を斬る」


銃はあの時先輩に渡したのだ。

手に入れる方法もなくはないが、能力の都合上痕跡が残りやすい。


「酒の香り、酷い錯乱。この二つの痕跡を残し続ければいずれ奴に辿り着く」


「…そうっすか」


「そう言う事だ。ごちそうさまでした」


「え?もう食べたんですか!?こっち小ラーメンっすよ!?」

ちなみに紅羽は大ラーメンだ。


「早く食べろ。ロットが崩れるぞ」


「ちょっと!待って下さーい!!」







これから日本警察とかの様々な話が展開されますが、私自身日本エアプなので精一杯調べます。もし間違いや勘違いがあったら〇〇だよボケェ!と指摘下さると幸いです(恥)

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