表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ロマリア悲恋物語  作者: 泪(るい)
1/3

1

 やめて……!

 お願いだから、もうやめて!

 どうしてこんな事するの?私が何をしたって言うの!

 ーなんだ、お前のその髪の色は。俺たちロマリア人はみんな、淡い金髪なんだぞ!

 ーそうだ、そうだ。そのどす黒い髪の色、お前の母親が野蛮なトゥダール国の奴らと浮気して生んだ子供なんだろ!

 違う、そうじゃない。何度そう答えても、彼らはひどい言葉を止めてくれなかった。

 -顔をやれば、ばれちまうからな。

 彼らは口元に笑みを浮かべながら、誰にも見つからないような場所を選び、私のお腹の上を何度も何度も蹴りつけた。

 声も出せず、私はただ黙って耐えるしかなかった。

 涙が頬をつたう。

 もういや、だれか助けてっ……!


 「ローザ。そろそろ起きなさい、遅れるぞ」

 それはローザの父親カジン・ナビの声。ローザはベッドの上から、扉の向こうから覗き込んでいる父親を見返した。

 「どうした?悪い夢でも見たのか?」

 「……ううん、なんでもない」

 ローザは小さく頭を振った。

 「なら、いいが。そろそろコーシュ将軍が街に入られる時間だ。ニキヤと約束してるんだろ?早く用意をしなさい」

 そう言って部屋を後にする父親を見送ると、ローザは小さく溜息をつき、横にある水おけで顔を洗った。ひんやり冷たい水が汗ばんだ頬に心地いい。

 「……ひどい顔……」

 水おけの上にある鏡に映っている自分。幼いころいじめの理由となっていた黒ずんだ金色の髪は、18歳を迎えた現在では色素も若干薄くなり、それほど人目を引くものではなくなっている。もちろん、今ではいじめを受ける事もない。

 でも。

 それでも。

 幼い頃に受けたあの凄惨な記憶は、時々こうやって夢となってローザを苦しめる。

 「ダメね。いい加減に忘れなきゃ」

 今の自分には何よりも大切な存在がいる。

 いじめられている私の為に、たった一人で立ち向かってくれたニキヤ。

 ニキヤがいればそれだけでいい。他には何も望まない。

 それでよかったはずなのに。

 この日、ロマリア王国の若き英雄コーシュ将軍が隣国との戦に大勝利を収め、マムルワ王家の夏の宮殿青星宮(せいせいきゅう)への凱旋行進を行ったこの日を境に。


 一介の町医者の娘に過ぎなかったローザ

 ローザの親友であり、ロマリアでも屈指の舞姫と称されるニキヤ

 ロマリア王国の若き英雄将軍コーシュ・シセイ


 彼らの運命が大きく動き出すこととなる。


 

 

 

 

 

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ