最初
最初に彼女を見つけたのは私だった。王が外出したいと突然言い出し、騎士団長である私が護衛に借り出された。剣一筋で生きてきた私にとって騎士団の団長という多立場は光栄であり、自分の場所だとも思っているため不満はない。剣以外に興味がなかった私にとって他者にも全く関心がなかったのだが、彼女は違った。
身なりも薄汚くボロボロで、好感が持てる要素など何処にもないはずだった。それでも――彼女を美しいと私は思った。フラフラと歩いていた彼女が突然倒れ、私は思わず馬車の中で立ち上がった。
「ライド?どうした」
王の声でハッと我に返るのと同時に王も外に目を向け、彼女に気付く。そして私にチラリと視線を動かしたあと「なるほど」と一言ぼやいた。何がなるほどなのか分からなかったが、突然馬車を止めるよう言い出し、私もついてきていた王の側近も一緒に馬車を降りることとなった。
王は倒れた彼女に歩み寄り水を飲ませたかと思えば城で働くように言い始めた。王の側近であるレーチェルは「何を考えているんですか!?」と怒鳴っていたが、王は意思を変える気などさらさらなかった。一度決めたら引き下がらない。それがこの王だ。
気絶するように彼女が眠った時私に声が掛けられる。
「ライド。この女はお前が運べ。命令だ」
「はっ」
命令のまま彼女を抱き上げ驚いた。元々痩せ細ってはいるが抱き上げた感覚などないに等しいほど軽かった。一瞬息をしていないのではと不安になるほどの顔色の悪さに、上下する胸で安堵する。
彼女を城に連れ帰り、専属医が彼女を診断した。栄養失調に加え様々な傷が化膿していたりと数週間は使い物にならないだろうことだった。
「ほら!無駄にしかならないでしょうが!彼女にこれほどする価値があるんですか!?」
「さぁな」
「さあなって…もう!何を考えているんですか貴方って男はほんと!訳が分かりませんよ!」
眼鏡の側近が怒鳴り始めても当の王は何も響いていない。そして何を思ったのか突然私にこう言った。
「ライド。そいつの世話はお前がしろ」
「は…?」
「そういうことだ」
王はニッコリと笑い、側近に怒鳴られながら去って行った。普通世話といったらメイドがするもではないのか?何故私に任せられのかと疑問ばかりが浮かんでは消えたが仕事を任された以上はこなすしかないかと、少しばかり身なりが整った眠っている彼女に目を向けて思った。




