↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
high tension  作者: 藤瀬京祥


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

16/39

第16話 まぁるいまさたか君

PV&ブクマ&評価&感想&誤字報告&いいね、ありがとうございます!!

 死者に宛てた手紙には切手もなければ住所もない。

 書かれているのは宛名だけ。

 ついでに言えば差出人の名前すらない。

 これは直接持ってきたって証拠だろうな。

 そしてさっきまでここに立っていた女の子。

 これはどう考えたってあの子がポストに放り込んでいったとしか思えない。


 他にどう考えろってのさ?


 なんかさ、すっげぇ嫌な予感がするんですけど。

 だってさ、あんな女の子が親父になんの用があるっていうのさ?

 普通はないだろ?

 でもあの子は親父に用があって、わざわざこんな手紙を書いて直接家に持ってきた。

 どう考えたって嫌な予感しかしないだろう。


 もちろん一番の問題はこの手紙に何が書いてあるか? ……ということ。

 まぁ何が書いてあるにせよ母さんや清隆(きよたか)には見せられないよな。

 見せちゃまずいよな。


 絶対にヤバい。


 そういえば今日は清隆の帰りが遅いな。

 俺も、いつまでもこんなところに突っ立てないでさっさと家に入らないと。

 いま清隆が帰ってきたらすぐこの手紙に気がついて、あっという間に取られるんだよ。

 もちろん俺だって抵抗するけど、あいつさ、すぐあれするじゃん。


 喉仏を親指でグリグリ


 やばい、思い出しただけでなんか息苦しくなってきた。

 絶対にヤバい。

 激ヤバです、絶対にそれだけは避けないと命がいくつあっても足りねぇよ。

 いっそこの手紙が清隆宛だったらよかったのに。

 その方がどんだけ楽だったか……


 神様だか仏様だか知らないけど、どんだけ意地悪なんだよ。

 俺、何かした?

 神様か仏様かわからないけど、何か悪いことしたっけ?

 お仕置きされるようなことなんてしてないよね?

 そりゃ信号無視はしたけど、その程度のことでこの仕打ちはないだろ?

 神仏の倍返し……なんか鶴の恩返しっぽいな。

 恩返しなら何倍返しでもいいけどさ、罰の倍返しはいらねぇよ。


 捨てる神あれば拾う神ありっていうけど、見捨ててくれる神様ばっかりじゃん。

 ほんと、世の中神も仏もあったもんじゃねぇ。

 世知辛い世の中って、きっとこういうことをいうんだな。


 これも一つの社会勉強か……


 なんかすっげぇ授業料が高そうなんですけど。

 どうしてこんな受けたくもない授業受けて、たっかい授業料払わなきゃならないんだよ?


 親父の奴、死んで九年も経ってるのにいつまで俺たちに迷惑を掛けりゃいいんだよ?

 どんだけ尻ぬぐいさせりゃ気が済むんだよ?

 マジで俺に恨みでもあんのか?


 ……ないと思うけど


 少なくとも俺には心当たりがない。

 あってたまるもんか。

 親父が清隆を連れてきた日だって、ちゃんと挨拶して……して……あれ? なんか記憶が飛んでるような気がする。

 ちょっと待て、俺。

 ちょーっとあの日のことが思い出せない?

 なにかあったっけ?

 それこそ記憶が飛んでしまうほど衝撃的なことが……。


 俺が清隆に何かしたとか?


 いや、少なくとも俺は何もしてない。

 絶対に俺はなにもしていない。

 なにしろ俺は、昔からご近所でも 「まぁるい雅孝君」 で有名だったんだから。

 なにかしたとしたら清隆だ。

 例えばあいつが暴れて、蹴り飛ばされるか殴り飛ばされるかして俺はどこかで頭を打って、記憶……ではなくて、意識が飛んだとか。

 まぁ結果として記憶も飛んだ、と……。


 あり得るな


 あいつは昔っから乱暴者だったから、もし何かあったとしたらあいつが暴れた可能性が高い。

 それで俺が被害を被った、と……今もそうだけどな。


 とりあえず清隆が帰ってくるまでにこの手紙をなんとかしないと、喉仏グリグリじゃ済まないんじゃね?

 それこそ引導渡されそうじゃん。

 ほんと、命がいくつあっても足りねぇよ、あんな弟を持つと。


 別に嫌いじゃないけどさ


 親父に義理立てとかそんなんじゃないけど、そんなこと全く考えてないけど、とりあえず、内容をすぐ報告出来るようにと思って仏壇の前で封を切る。

 でも正確には切ってない。

 だって糊付けされてなかったからさ、普通に口がぺらぺらでした。


 お粗末だな


 何歳(いくつ)か知らないけど、手紙の封は糊で閉じるもの。

 その程度のことは小学生でも知ってるだろ?

 しかもあの子、小学生どころか中学生ぐらいだったじゃないか。

 それこそ高校生だったらびっくりだぜ。

 あ、でも今時はなんでもメッセージ送って終わりだから手紙なんて出したことないのかも。


 まぁその可能性もなきにしもあらずだけど、いずれにしたってこんなんじゃ書かれてることもたいしたものじゃないだろう……なんて思いながら便せんを取り出したら、これも可愛げの欠片もないでやんの。


 ただの真っ白い紙


 ほら、あれだよ、あれ、コピー紙だ。

 コピーだけじゃなくて普通紙FAXとか、パソコンのプリンターとか、あのあたりに使うか紙。

 しかもサイズはB5判だ。

 そこにさ、直に黒マジックで文字が書かれていた。

 ほんと、色気も可愛げもないお手紙だ。

 でもさ書かれていた文章が……


「親父、なんじゃこりゃー!」


 もうさ、この瞬間だけは 「まぁるい雅孝君」 が吹っ飛びました。

 綺麗さっぱり吹っ飛んじゃいましたよ。

 あとで復元出来るかどうか、わからないくらい粉々に吹っ飛んだよ。


 理性が


 一応それでも堪えに堪えて最後まで読んだけど、読み終えた瞬間には脊髄反射で手紙を丸めて仏壇に投げつける。

 だってさ、本当に信じられないことが書いてあったんだってば。


【お母さんを殺したのは本当にお父さんですか

                  雪緒より】


 とーってもわかりやすい簡潔な文章です。

 本当に用件だけで、句読点すら付いてねぇ。

 これ以上簡潔な文章はないんじゃないかってくらい簡潔。

 ってかなんだよ、これっ?!                         ……つづく

えーっと、これ、どういうこと?

雪緒って誰?

お母さんって誰?

お父さんって誰よ、ちょっと!

この物語はフィクションだけど、どうなってるんだよ、この展開はっ?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。