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偽善者とこぼれ話 番外月  作者: 山田 武


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偽善者と七夕 2026

※忘れた方への人物(?)紹介

『超越種:宙艦』:星の海を泳ぐ鯨型迷宮、及びその管理ユニット



 七夕。

 考えてみれば、季節のイベントの中でも珍しく星空に関するものであった。


 普段は気にも留めない空を見上げ、願いは届くかと短冊を飾る。

 なぜ七夕だけがそうしてイベントとなっているのか、ドラマ性があるからなのだろう。


 一年の一度しか会えない夫婦、彼らの再会にかこつけて盛り上がっている我々。

 宇宙規模のラブロマンス、老若男女問わず知っている……ある意味凄いよな。


  ◆   □   ◆   □   ◆


 星海 宙艦


「──というわけなんだ。何かイベントとか無いかな?」


『…………同一のログを確認』


「いや、過程が違うだろう? それにほら、子供たちだって楽しんでたじゃないか」


 去年の七夕、それは『超越種:宙艦』に助力を求めたものだった。

 ……さすがに住民たちまで連れてくるのはダメと後程言われ、少々修正はしたけれど。


 結果として、俺の神眼を中継しての壮大なプラネタリウムを行うことになった。

 子供たちは大満足、今年も復刻イベントに加えてこれを執り行うことになっている。


 なお、運営側も運営側で七夕っぽいイベントはやっている……のだが、俺と同じ悩みを抱えているようで、復刻版という文字が並んでいた。


「前回は論点をズラされたし、もう一度聞いておこうと思って。星が滅ぶとかそういう物騒な話は置いておくとして、こう……見世物にできそうなものは無いかなって」


『……世界によっては星座を紡ぐ文化も存在する。それは当機にも知識としてある……しかし、それらを把握することはできない』


「まあ、夏の大三角だのは俺が説明したから分かってくれたわけだしな」


『同様に、星海に到達した者が当機に情報をインストールすれば認知可能だ。しかし、今に至るまでそれらは為されていない』


 地球のある銀河系ではなく、『宙艦』がパトロールしている場所限定ではあるが、そういう感じらしい。


 宇宙に出ること自体困難なうえ、出てもそれを察知して泳いでくる『宙艦』による試練がクリアできないまま失敗に終わる。


 長い年月の間で物を飛ばすぐらいなら、何度か幾つかの星がやっているらしい。

 ……がその星のほとんどが、すでにリセットしているとのこと。


「そう聞くと、地球って本当に奇跡的な確率の上に成り立ってるんだな」


『…………』


「おまけに禁則事項っぽいことも何かあるみたいだし……まあいいか。今年も前回みたいに子供たちに見せてやりたいんだが、景観的に良い場所ってあるか?」


『色彩が豊かに映る惑星群、この辺りを通る彗星、少し前に滅んだ星などが観測可能だ』


「…………ちょっと眷属と話してくる」


 見て良いのか悪いのか、子供たちに何を見せるべきか。

 何より、七夕イベントとしてどこまでやるべきかを決めておかないと。



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