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入学式 終話

 高校生活はあっという間に終わり、三月に高校を卒業した。

 時が立つのは早いもので、今年の六月に俺はしおりと結婚式をする予定だ。


 ゆかりは冒険者になって、安良坂と一緒に過ごしていた。

 週末だけの冒険者だけど。


 安良坂は医者を目指すらしく、大学へ行き勉強が忙しくなるようだ。

 しばらく異世界には行けそうも無いらしい。


 ゆかりは、今年高校生になる。






 今日はゆかりの入学式だ。


「忘れ物ないか?」


「多分、大丈夫」


 俺は、両親の代わりにゆかりの入学式に出席する予定になっている。

 両親は、日本には帰って来ないらしい。

 自分の親ながら、冷たいと思う。

 俺たちの結婚式には来るとは言っていたが。


「お兄、私の入学式に来なくても大丈夫なのに…もう高校生なんだし」


「俺が行きたいから良いんだ」


「全く、シスコンなんだから」


「シスコンで悪いか?おっと、もう行かないとな」


 腕時計を見て玄関を出る。

 高校は俺の通った、浜百合高校だ。

 この前まで通っていた学校にまた行くのも不思議な気分だが。





 俺は、黒いスーツを着て真新しい制服姿のゆかりと学校まで歩く。

 学校の入口には、入学式と大きな看板が掲げられていた。


「ほら、行っておいで」


 俺はゆかりを送り出した。

 俺は体育館へ行けばいいのかな?

 

 校庭には見事な桜が咲いている。


「上原くん?」


 名前を呼ばれ振り向くと、白いジャケットを着た男性が立っていた。

 あれ?誰だっけ?

 見覚えがあるのだけど名前が思い出せない。



 「憶えていなくても無理はないさ。一度しか会ったことが無いのだからね。オレは忘れられないが…エリクサーといえば思い出してくれるかな?」


「「あ――っ」」


 神なんとかっていう名前の人だ。

 以前は黒いスーツだったから分からなかった。

 しかし、白いスーツというのも派手だな。

 茶髪だった髪も黒く染まっている。


「今日は妹の入学式でね」


「そうなんですね。俺もですよ」


 あれから数年経っただけなのだけど、遠い昔のような気がしていた。


「ゆう、良かった。間に合った」


 遠くから薄いピンク色のワンピースを着た、しおりが歩いてきた。

 長い黒髪は緩くウエーブがかかっていて、薄くお化粧をしている。

 ピンクの縁の付いたメガネが可愛らしい。


「しおり、わざわざ来なくても良かったのに」


「ゆかりちゃんの晴れの舞台ですもの。お祝いしたいわよ」


 両親は来れないけれど、父と母の代わりになれるだろうか?

 随分若い両親だけど。


「お二人に祝われるなんて幸せな妹さんだ」


「さあ、会場へ行きましょう」


 俺はしおりと手を繋いで、体育館へ向かう。

 暖かい春の日差しは、新入生を祝っているようだ。

 ゆかりは、高校でどんな人と出会う事になるのだろう。


 先の事は分からないけど。

 あれ?そういえば、何か忘れている気がするが…。


 タタタタ…。


 遠くから、駆けてくる足音が近づいてきた。


「上原くんー。ぼくも一緒に行くー」


 忘れてた。

 安良坂も何故か入学式に来るって言ってたっけ。

 アイツは親族でも何でもないんだが。

 まあいいけどな。




 *** 上原 ゆかり視点



「貴方、もしかして異世界帰りじゃない?」


「ど、どうして分かったの?」


 私は、初めて来た学校の教室で茶髪の隣の女子に話しかけられた。

 よく考えたら、冗談の可能性もあったかもしれないのに。


「はぁー。貴方…気を付けたほうが良いわよ?悪い人に騙されるかも」


 え?

 何で会ったばかりの人に、こんな事言われなきゃいけないの?

 取りあえず自己紹介しよう。


「初めまして、私は上原ゆかりです。よろしく」


「わたしは…」


 私の隣の席の女子は変わった人らしい。

 異世界ってマンガやアニメの事かな?

 私も冗談に付き合ったって思われているのだろうか?

 つい、本気になって言ってしまったけど。


「ごめんなさい。さっきの事、冗談だと思ってる?実はね…」









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