表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

27/65

小屋の持ち主

「変だな。人の気配がする…」


 僕は、久しぶりにファームズの森の小屋に来ていた。

 ここは誰も知らない唯一の寛げる場所だ。

 窓を覗くと、黒髪の少年と少女が小屋の中に見えた。


「ここは、僕の家(秘密の隠れ家)なのだけど…」


 カップルに住まわせる許可は出していないよ?


 ギイー。


 ドアを開けてみた。

 少年が僕に気が付いて、驚いている。

 しばらくして、少女も僕に気が付いたようだ。


「ここ、僕の家なんだけど?君たちは一体…」


「勝手に入ってしまって申し訳ない。人が居なかったから、てっきり空き家だと思っていた…今すぐ出て行くから許してくれ」


「あら、そうだったのね。ごめんなさい」


 二人に頭を下げられる。


 黒髪の少女は、僕の顔をじーっと見て首を傾げている。

 眼鏡をかけているが、中々の美少女のようだ。

 あれ?初対面だと思うのだが、見覚えがあった。

 何処でだろう?


「えっと?僕の顔に何か付いてます?」

「しおり、初対面の人に失礼だろう」


「貴方、もしかして女の子?」

 少女に指摘された。


「えっ、分かります?」

「えっ?そうなのか?」


 少年は驚いているようだった。



 ***



 森の小屋で休んでいたら、家の持ち主という人物が現れた。

 ワインレッドの長髪に金色の瞳。

 白いシャツに紺のジャケット・青いズボンを穿いていて、「僕」と言っていたからてっきり男だと思っていたのだが。


 女だったらしい。

 胸も控えめだったから余計に。

 何で男装しているんだ?


「僕はオリビア近くに住んでるんだ」

「俺は上原勇、隣が黒田しおりだ」


「ところで君たちは冒険者なのかい?見慣れない服装をしているけど」


 俺は黒いTシャツにGパン、しおりは緑色のTシャツにGパンだった。

 暑かったので、パーカーは脱いで仕舞ってある。

 俺としおりは顔を見合わせる。

 初対面だし、正直に言わないほうが良いだろう。


「遠い所からやって来たんだ。冒険者登録は近いうちにするつもりだ」


 嘘は言っていない。


「そうなんだ?わざわざ何も無い田舎へ?」

「森で迷ってしまって、困っていたら小屋があったから休ませてもらっていたんだよ」

「ああ、そういう事ね。家に地図があったはずだ。見せるから付いておいでよ」


 何とか誤魔化せた。



      *



「ここがオリビアさんの家?」


 大きな屋敷。

 庭が広くて屋敷に入るまでに結構時間がかかった。

 広い玄関で、使用人たちに頭を下げられた。

 大きな部屋に通される。


「辺境伯の令嬢なんだ。だから田舎に住んでるってわけ」


 広大な森林は、オリビアさんの家の敷地だったらしい。


「「貴族?」」


 まさか貴族だとは思っていなかったので、普通に接してしまっていたが不味かったか。

 平民にしては、しっかりした服装だったし変だとは思ったけど。


「ああ、畏まらないでいいよ。言葉使いもそのままで。僕は、身分とかそういうの全く気にしないから」


 階級社会の異世界で、オリビアさんは変わった人なのだろう。

 あらためて名前を聞くと、オリビア・スターマルクと言う名前らしい。

 貴族と思われると、気を使われるので黙っていたみたいだ。


「ところで、クロダだっけ。何だか見覚えがある気がするんだけど、気のせいかな…」


 俺はしおりに耳打ちする。


「おい、王城で会った事あるんじゃないのか?」

「ええ…っ。人が多かったから、いちいち憶えていないわよ」


「黒髪と眼鏡っていうと「聖女様」くらいしか思いつかないのだけど…まさかね。今、地図持ってくるから待ってて」


 オリビアさんは部屋を出て、探しに行ったようだ。


「しおりって確か聖女だったんだよな?」

「ゆう、黙っていてよ?後で面倒なことになるから。特に王族の人には」



「あったよ。奥に仕舞ってあった」


 オリビアさんがテーブルに地図を広げる。

 森と町や村、川など大雑把な事しか書かれていない。

 材質は羊皮紙だろうか。


「今居るのがここらへんね。ファームズの森のあたり。東へ行くとアッスラ国の都、王都があって冒険者ギルドもあるよ。この地図持って行くかい?」


「貰っても良いのか?貴重な物だろう?」

「余分にあるし、そうでもないよ」


 俺は地図を受け取った。


「そういえば、ウエハラは旅人の割には荷物持ってないよね?」

「俺はアイテムボックス持ちなんだ」

「なるほど。クロダも?」

「ええ。そうね」


「そうなんだ。二人とも、今日は家に泊まっていきなよ。部屋を用意するから」


 オリビアさんは使用人を呼んで指示をする。

 早速用意してくれるらしい。


「部屋を準備している間…何か話を聞かせてくれるかい?」

「わたしは逆に、オリビアさんの事が知りたいのですけど」


 しおりが尋ねる。


「ああ、僕ね。何で男の恰好をしているかって事?王都で演劇の男装をしている人が気に入って、ずっと真似していたら癖になってしまってね。もうドレスには戻れないよ」


 宝塚みたいなものだろうか?

 前来た時は、遊んだりする暇無かったしな。

 俺は首を傾げた。


「あれ、ウエハラ今疑ったでしょ。次は二人の話を聞かせてほしいかな」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ