表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
76/84

マリア・フォン・ゴルディナー大勝利! 希望の未来へレディー・ゴー!!! 5

 俺たちの目の前に現れたのは、まさしく黒い始硬剣(カレトヴルッフ)だった。色と背中に取り付けられた飛行用ユニット以外、リアの機体との差異はほとんど見られない。


 さらにその後ろには、黒い始硬剣(カレトヴルッフ)に付き従うように後を追う、()()()()()()()()()()5つの機体。予想通り、『貫いて、マキャヴェリズム』における攻略対象たちが乗る機体だ。


 内訳としては、近接戦寄りの機体が2機、射撃戦寄りの機体が2機、そして全体への指示を行う指揮官機が1機だったはず。誰がどれに乗ってたっけかな……。たしか教師が指揮官機で、王子と大臣の息子が射撃機。残りの二人が戦果欲しさに近接機だったっけ。


感想(レビュー):おや? 偽始硬剣(カレトヴルッフ)以外の機体にはそれぞれ、攻略対象の5名が乗っているのですよね。それでしたら、偽始硬剣(カレトヴルッフ)には、一体だれが乗っているのでしょうか?》


 えっ? ……あれ、言われてみるとその通りだな。


『フフフ、よくもやってくれましたわね。マリア・フォン・ゴルディナー!』


 黒い始硬剣(カレトヴルッフ)から声が放たれた。女の声だ。ていうか今更だけど、なんでこいつら普通に空飛んでんだよ。原作設定を守って地べたを這いずり回っててくれれば爆撃で簡単に片が付いたのに。


『あら、コソ泥にまで名前を知られているとは、わたくしも有名になったものですわね』


 煽ったらビームを撃ってきたので避けた。


『このエリザベート・ド・ペイジヴォントをコソ泥呼ばわりとは、万死に値しますわ! わたくし自ら、この『ノワール』で処刑してやります!』


 今度はビームソードを抜いて切りかかってきた。お嬢様(フロイライン)の我儘(・ナースィフト)(・ツヴァイ)はまっだオーバーヒート中で使用できないので、代わりに腕のコンテナからブレードを展開して鍔迫り合う。表面にはプラズマを纏っているので、ビーム刃に一方的に切り飛ばされたりはしない仕様だ。


 にしても、エリザベート、エリザベートねぇ……。


報告(リポート):エリザベート・ド・フランスというフランス王女は実在しますね。ですが、1545年生まれなので、現時点では5歳のはずです》


 ―――5歳児があの機体に乗っていますの!?


 んなわけない。エリザベート・ド・ペイジヴォントは、『貫いて、マキャヴェリズム』に出てくる4人の悪役令嬢たち、そのリーダー的立場にいる人物、ル・ペイジヴォントの王女の一人だ。作中の年齢はゲーム開始時点で16歳。主人公の一つ年上だな。


 ていうかなんで機体に乗ってんだ? あのゲーム、悪役令嬢たちは「騎操剣(シュヴァリエ)は男が乗るもの」って意見で、直接戦闘することは無かったんだが。


 ―――そう言えば、攻略対象は5人なのに、悪役令嬢はサーシャたちを合わせて4人なのですね。


 うむ、その通り。基本的に、各ルートにはそれぞれ誰か一人が悪役令嬢として立ちはだかるのだが、教師ルートだけは例外となる。教師ルートは、誰かの攻略に失敗した場合の救済措置を兼ねているのだ。だから教師ルートの場合だけは悪役令嬢が邪魔をしてこない。


 あとぶっちゃけた話、単純に予算と工数の都合で5人目が用意出来なかった。


《感想:ぶっちゃけ過ぎでは……》


 ともあれ、やることは決まったな。


『オーッホッホホ! 飛んで火にいる夏の虫ィ! そのツラ変形するまで殴って王都まで一緒に来てもらいますわよ!』


『死ねぇ! マリア・フォン・ゴルディナー!』


 黒い始硬剣(カレトヴルッフ)、エリザベートの言うところのノワールと切り結んでいる最中に、横から青い機体が、なんかどこかで聞いた覚えがある声で叫びながら切りかかってきた。こちらももう片方の腕の内臓ソードで受け止める。ていうかノワールってそのまんま過ぎる。たしかフランス語で黒って意味だろ?


 あ、ていうかキツイキツイ。薔薇獅子(ローズ・ローヴェ)とほぼ同レベルの機体2機相手だと流石にパワー負けしそう。


『マリア!』


 不知恐怖(ナインフリット)が青い機体を蹴り飛ばした。さらにリアの始硬剣(カレトヴルッフ)()(ヴェンデルン)がノワールに向けてビームを放ち、回避したエリザベートとも距離が離れる。残りの4機が後方から支援射撃をしてきたので、こちらも揃って退避した。これだけ高いパイロット性能相手に3対6は苦しいんで、レオニスたちは早く合流してほしい。


『その白い機体ィ……! リギア王子だなぁ? ふ、ふふふ……私は運がいいぃ……。ここで会ったが百年目ぇ』


『リギア様。何やら恨みを買っているようですが』


『全く心当たりがない』


 ノワールが後ろに下がり、代わって青い機体と赤い機体が突撃してくる。


『貴様にはなくとも私にはある! 私の夢! ()()()()の野望! このエルバ・ディア・グリプスを忘れたとは言わせんぞ!!』


『は……?』


 いやお前、あの時、確かに徹甲榴弾を操縦席に叩き込んだはずなんだが、


『エルバ? どうしてここにいるんですの? エルバァ!! 貴方は死んだんですのよ? ダメじゃないですの! 死んだ奴が出てきちゃあ! 死んでなきゃあああ!!』


『勝手に死んだことにするなぁああ!!』


《感想:マスター、かなりノリノリで言いましたよね》


 そりゃお前、人生で一度は言ってみたい台詞ベストテンに入っていてもおかしくない台詞だからな。死んだと思っていたやつが生きて出てくるなんて機会は早々ないんだし、言える時に言っておかなきゃね。


 ていうかエルバがあの機体に乗ってるってことは、他の機体に乗っているのも攻略対象以外の可能性があるな。誰が乗っているのかは全く分からんが。予想するにしてもヒントが無さ過ぎる。


質問(クェスチョン):ところで、先ほどから『青い機体』とか『赤い機体』とか言っていますが、あれらの機体名は何なんでしょうか?》


 ……忘れた!


《感想:忘れた》


 いやだってしょうがねえだろ。たしか作ってたのは2002年頃か? 20年近く前だぞ。発売して以降は何かの媒体で見かけることもなかったし、そりゃ忘れるわ。


《報告:ではノワールに倣って、青い機体をブル、赤をルージュ、黄色をジョヌ、緑をヴェール、白をブランと仮称しましょうか》


 三日で忘れそうな気がするがとりまそれで。


『さっきから聞いてれば、恨みがあるのはこっちの方っスよ!! 始硬剣(カレトヴルッフ)の設計図をパクった上に、そのライトスタッフ! その設計図も盗んでたんスね! ちょっとあの図面まだ未完成だったんでどんな補填いれたのかそこんとこ詳しく教えて欲しいっス!!』


『リアちゃん、本音と欲望が駄々洩れになってるよ?』


『おっといけないっス。とりあえず……』


 リアの始硬剣(カレトヴルッフ)は手に持つ銃をライトスタッフ(仮称ブル)に向けて、


『機体はそのまま! パイロットには死んでもらうっス!!』


『抜かせ三下がァ! 我がグリプス復活の(いしずえ)にしてくれるわ!!』


 こいつら勝手に戦い始めたわ。というか、


『リア、貴女、偽物の方は相手しなくていいんですの?』


『綺麗なままで捕まえたいんで、後回しにしたいっス!』


『ああ、そういう……。アリス、リアの世話は任せましたわ』


『む、無茶苦茶言いますねマリア様! まぁ出来なくはないですけど!』


 任せたぜ前作主人公。前作のラスボスの相手には相応しいだろ。


《報告:お嬢様(フロイライン)の我儘(・ナースィフト)(・ツヴァイ)の冷却完了まで残り182秒》


 冷却完了まで残り3分もあるのぉ……? もうちょっと何とかならねーのかよ。


《感想:設計したのはマスターですし、段取りを無視して勝手に使ったのもマスターなので、自業自得ですね》


 し、辛辣……! ってうおおおお当たった当たった! 集中砲火されて数発当たった!!


《報告:損傷軽微。戦闘行動に支障無し。小型機からの攻撃は豆鉄砲のようなものですね。基本無視してよろしいかと》


 じゃあそうするか。レオニスたちが来るまでどれくらいかかるかな?


《報告:予測は57秒後です》


 およそ1分。つまり1ターン。さて、


『おしゃべりはこのくらいにして、いい加減片付けさせていただきますわ、エリザベート・ド・ペイジヴォント』


『それはこちらの台詞よ、マリア・フォン・ゴルディナー。貴女を倒し、わたくしこそが聖女に相応しいのだと世界に知らしめてやるわ!』


 エリザベートが挑発に乗ってくる。こういっといてなんだけど、俺がやることは()()()()なんだけどね。ノワールが突出してくれたら儲けものだ。


 おらっ、下がれ下がれ! 戦線をこっちに寄せるんだよ!! 2対5なんてやってられるか!!


 ―――せ、せせこましい……。


   ●


 特に可もなく不可もなく。レオニス、グレイ、そしてヴァイトが操る零式獅子(ディーン・ローヴェ)との合流に成功した。意外とこちらを追ってこなかったな。


報告(リポート):敵の通信を盗聴しました。後方に陣取った黄色(ジョヌ)(ヴェール)(ブラン)、その中央にいる(ヴェール)が、深追いしないよう指示を出しています。全体の指揮をとっているのもあの機体のようですね》


 お、お前……、盗聴なんかできたんか!!!


 ―――気になるところ、そっちですの?


感想(レビュー):まぁ当機、分析と解析を主目的として製造されていますから。もっとも、当機自体には受信機がないので結構苦労はしました。そもそも本体が別の位相に収納されていますしね》


 いやいやお手柄だドライコイン。そのまま盗聴を続けておいてくれたまえ。


『おおおおおりゃっ!!!』


 気迫一発。レオニスが(ルージュ)に向かって切りかかった。赤はそれを苦も無く受け止め、鍔迫り合いから零式獅子(ディーン・ローヴェ)剣撃(シュナイダー)を逆に押し飛ばし、


『お』


 お?


『おおオオオおオオおオおおおオオオオオオ』


 え、何? (ルージュ)がバグった?



オレーンジ(オーラーンジュ)!!!』



 叫ぶとともに動きが著しく激しくなり、レオニス機に向かって猛攻を仕掛けだした。


『なんだこいつ!? 急に動きが……!』


 それに合わせて、他の機体もオレンジ色の剣撃(シュナイダー)へと連携攻撃を仕掛けてくる。


『レオニス様の援護を! ここで将軍を討たれるわけにはいきませんわ!』


 ―――……そう言えば貴方、以前にオレンジがどうとか言っておりましたわよね。お吐きなさいまし! 一体何を仕込んでおりましたの!!


 知らねぇーーー! 完全に冤罪だ!! だいたいこの作品作ってた頃には『オレンジ卿』のネタはまだ生まれてねえよ!!


《感想:マスター、妙です》


 何が!?


《感想:(ルージュ)の操縦者の使った()()です。オーランジュは英語でも、ましてやル・ペイジヴォントの元となったフランス語ですらありません。()()()()()()()()()()()()()()()()()()


 このクソ忙しい時にわざわざ伝えることかそれ!?


《感想:最後まで聞いてください。声紋が一致しました。あの機体を操縦しているのはユリウスです》


 その辺は一応覚えてるよ! いや、待て。()()()()()……?


《感想:はい。新規登場人物ではありません。グリプス旧王都の戦いで、エルバが一番最初に自爆させた操縦者の一人。ミス・フラウの親衛隊員であるあのユリウスです》


 いや、まぁ、エルバが生き残ってたんだからユリウスだって死んでなくてもおかしくないけど、やっぱそれ、今言うようなこと?


《感想:本題はそれではありません、マスター。あのユリウスの戦闘能力は、これまでに登場した誰よりも逸脱しています。彼にそのような設定はあったのですか?》


 ないないない。というか一作目は完全なモブだし、三作目のユリウスにもそんな妙な設定はねえよ。


『フハハハハハ! 見たかマリア・フォン・ゴルディナー! バーニングレフトに乗っているのはあの戦いで生き延びたユリウスよ! 奴には薬物強化を行い、さらには王都での記憶を利用し、オレンジ色の機体に対して過剰な攻撃衝動が発生するように精神誘導してある! のこのことやってきた間抜けな将軍を殺すためになぁ!!!』


『疑問を全部答えてくれましたわねこの男……。親切(ツンデレ)ですの?』


『よく分からぬ言葉だが私を侮辱しているのだけは伝わった! 殺してやるぞ!!』


《感想:(ブラウ)の狙いがレオニスからマスターに移りましたね。盗聴内容も勝手な動きを咎めている模様。見事な挑発ですね》


 いや、どう考えても100パーあいつが勝手に暴走しただけだと思うんだが……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 死んだ奴が出てきちゃダメですわねぇ 死んだ奴のシー○ックの声優は本当に…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ