第十九話 不死身のロボット
新大久保研究所では、博士から、拾ったロボットの残骸の分析結果について追加報告があった
このロボットは壊れたが、機械的に破壊された部分は少ないので、修理すればまだ使えそうじゃ。
詳細な設計図まで手に入れることが出来たので、電源回りが復旧できれば、修理は困難ではないだろう。
しかし、動作の判断を無線のコンピュータ処理にまかせている今の構造では、すぐに乗っ取られそうだ。
だがロボットに高度な人工知能を持たせて自分で判断させるのは難しい。
そこで今回の案では、緊急時以外の判断を、現場の人間からの指示に任せるようにする。
人間といってもご主人様かどうかを判定して、ご主人様なら従うのだ。
顔の特徴、身体の特徴、動作の特徴、声紋、話し方の特徴などを分析する。
更に1人だけご主人を設定して、非常時以外ではご主人の命令に従う。
また、2人の準主人を設定して、2人の両方から同意された場合に命令に従う。
ここでは、メインマスターはレディレイダ、サブマスターはノロイダーの2名だ。
命令は最初から設定してあるキーワードの他に、学習能力があり、新しい言葉を指定できる。
このロボットの役割は、現場の相手の割り出しと、相手の情報の収集だ。
改良以前とくらべて、外部コンピュータに依存する割合が低いのが特徴だ。
全体的には、高度な技術に見えるが、1つ1つは既に一般化されている技術の組み合わせで実現可能じゃ。
明日からロボットの修復・改良に着手したい。
ソフトウェアの改良は、私とレディレイダで行う。(はい^)
電源などのハードウェアの修復・改善には、袋小路博士に協力を依頼した。(それはすごい!)
ノロイダーの2名は通常勤務を行い、更なる情報収集に務めてくれたまえ。(はい^)
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その後、研究所職員全員の協力のもと約4カ月でロボット修復にこぎつけた
博士から、ロボット修復完了についての報告がある
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皆さんの協力のおかげで約4カ月で、ロボットを再生することができた。
ロボットの名前は、レオ(REO:Robot for Emergency Objects)にするつもりじゃ。
レオが動作するには、メインマスターが現場で指示する必要がある。
現在メインマスターはレディレイダになっているので、
お手数だがレディレイダには、ノロイダーと一緒に現場に行って欲しい。
レディレイダはご自分でバイクをお持ちということなので、
現場まではそれを使用して頂きたい。
次々出てきた自分の役目にレディレイダは困惑気味だ
「何だか重責ですが、大丈夫でしょうか。ちょっと心配です。」
まあ、はじめは皆分かりませんから、協力していきましょう。
職員全員でエイエイオーを行った
その日の夕方、早速ゲポゲポ団からの助けを求める悲鳴が!
「キャー助けてー」げぽげぽ~
レオのお披露目じゃ、ノロイダー、レディレイダ、よろしく頼む。発進^
お嬢さん大丈夫ですか!ゲポゲポ団め、こっちはロボットがあるんだぞ。
レディレイダがレオの操作を開始した
『レオ、通常モード開始』
:[通常モード開始...]
:[ターゲット確保、画像データ音声データ送信...]
レオが始動したが、ゲポゲポ団のリーダーは落ち着いた様子
「お前達のことは普段から監視している。
ロボットがそろそろ直りそうなことは分かっていたのさ。
こっちはロボットの構造を知っているし対策もとってある。妨害電波発信!」
ゲポゲポ団が大型のアンテナから妨害電波を発信する
レオは通信不能だ
:[非常事態発生、送信不能、受信不能、データ送信中止]
レディレイダが緊急指令を行う
『レオ、緊急退避開始!』
:[緊急退避開始...]
「なんだ、まだ動くのね。周波数を変えたのかしら。
こうなったら無線遮断カバーを掛けるのよ。」
ゲポゲポ団が人数にものをいわせてむりやりレオを無線遮断カバーで囲った
レオはカバーでくくられて動けないようだ
:[非常事態発生、妨害物有、移動不能]
レディレイダの次の指令が出る
『レオ、妨害物排除!』
:[妨害物排除開始.....]
:[妨害物排除完了]
まだリーダーは余裕だ
「なにか仕組みを変えてきたみたいね。
まあせっかく直したんだから、多少は芸がないとね。
でも悪いけどまた壊させていただくわ。
腹部の電源系統を狙うのよ!」
レディレイダの操作がおぼつかないところで、ゲポゲポ団がレオの腹部に一撃を加えた
レオは腹部から白煙を舞い上げる
しかし、レオは電源に攻撃を受けながらも動作を続けている
:[非常事態発生、電源系統異常有]
レディレイダが退避指令を行う
『レオ、緊急退避開始!』
:[緊急退避開始...]
今度はリーダーも少々慌て出したようだ
「えっこれまだ動くの?
電源を壊されても動くだなんて、、どういうマジックなの?
うーん、今日はここまでだわ。ゲポゲポ団撤退!」