第二十二話 志望理由
ミナに現実を話しすぎただろうか。
自分のふるさとが見知らぬ惑星の実験によって滅ぼされたなんて、聞きたくなかったはずだ。
まだ彼女は十二歳なのに。
「……ごめん……」
短くそう伝えると、彼女は首を振った。
「……もっと教えてください。敵のことをちゃんと知っておきたいんです。」
彼女は落ち着いた様子で、それでもか細い声で言った。
第二地球は恐ろしい国だ。
彼らは自分たちの手を汚さない。
鬼族と手を組むのも、自分たちの手を汚さずに私たちを足止めするため。
そして、今回のことだって……
「……鬼族ってなんですか?」
ミナの問いに、全身の血が波打つ。
「あぁ、鬼族っていうのはね、すごく非情な奴らなの。命の重みとか、思いやりとか一切持たない。」
声が震えた。
「そのくせ、不気味なくらい運動能力が優れていて頑丈で、普段は宇宙の果てに住んでいるけど、人間を弄ぶためにこっちに来るのよ。」
拳をぎゅっと握る。涙が溢れそうで、上を見上げた。
「……奴らは人間のことを『劣族』と呼ぶ。劣っている種族だから劣族。……奴らがあえて非認知惑星を狙わないのは、一方的な虐殺じゃなくて、人が必死に抵抗した上で……」
最後の方は言葉にならなかった。
「すみません……変なことを聞いて……」
彼女は申し訳なさそうな顔をして言った。
「……ううん、違うの。」
ふうっと深呼吸をして、落ち着くまで待った。
裾でぎゅっと涙を拭った。
「……ミナは第二地球に復讐したいんだね。」
そう言うと、彼女は顔を背けた。
「……いけないことでしょうか。」
「ううん。」
私は首を振った。
「いいと思うよ。防衛隊の志願理由なんて、人それぞれだし。」
私だって、随分歪んだ理由なんだから。




