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みれんがある  作者:
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後輩との話。その2

別の日。

僕は昼の休み時間に所属する図書委員の仕事をしていた。

仕事内容は本の貸し借りを行うこと。

それと僕は特例で月に一回制作する図書館からの新聞を制作するためにパソコンをいじっている。


できればこのパソコンで曲とか聞きたいけど流石にそれをやれば怒られる。

「藤岡せんぱーい」

僕のほうに向かって呼ばれる声があった。

委員会の後輩であり例の後輩と同級生で交友関係もあるらしいやつだ。


ちなみに僕の苗字は藤岡である。

「この前高後が藤岡せんぱいが冷たいって嘆いてましたよ」

「知らんよ。別に冷たくしてるつもりはないし……」

高後とは例の後輩の苗字である。

少しどころかだいぶ珍しい気がする苗字で一度調べてみたら物凄く存在する件数が少なかった。


「藤岡は心が冷えてるからね、仕方ないよ」

横で同じ委員会の友人に茶化された。腹立つ。

「そもそもアイツが俺にばっか懐くのが不思議でしゃあないわ」

「せんぱいみたいなのが好きだって言ってました」

「心と違って御熱いね」

「うまいことをいうな」

友人に再び茶化された。


例の後輩は僕にやはりなついているようだけれどしかしこうして昼休みとかに訪ねてくることは殆どない。

それが何を意味するかはよく分からないけど。




某日。夏休みに入る直前。

「先輩!今度遊びましょー!!」

「え」

「遊びましょー!」

「いや……あの……受験生……」

「……」

少し切なそうな顔をされた。

この後輩はやはり僕のことが好きなのだろうか。

本人の口からそんな言葉を直接はかれた事はない。

ただただ只管べったりとくっ付いてくるだけだ。


かくいう僕にしたってチキンハートだしコミュニケーションにおいても差し障るくらい苦手なので未だにこっちから聞いたこともない。

確かめたくないなんてことは毛頭ないけれどでも僕は直接本人に好きか否かを確かめる勇気もない。


「まぁ……一日位は別にいいけど……」

内面すごく嬉しい。ていうか小躍りするくらい。


「じゃー次の土曜日にここから一番あの公園のとこで」

「おっけー」

そういって後輩は離れていった。

遠くに彼女の姿が遠ざかる。

そして曲がり角を曲がられて見えなくなった。

「ん?」


少し思い返す。

集合場所、近所の公園。とても近場だった。

徒歩数分という近場っぷりだ。

(同級生に見られたりしないかな……いや……いやまて!まだ……まだどうにかなるかもしれないッ……!)


僕としては勝手に電車とかに乗ってどっか遠出するもんだと思っていた。


(いや……そうだよな、中一とか地元でるだけでも中々すごい事だった気がする……それだけでも疲弊する位……かくいう自分にしたってやっぱ遠出とかしなかったし……)


「下心とかじゃなくて、うん……誘ってみよ」

ということでその日のうちに後輩を見つけ出して電車でどっか遠出をしようと誘ってみたところOKをもらうことに成功した。

再び心が躍る。

むしろブレイクダンスしている。

僕自身はそんな高等技術できないしそもそもやろうとすらしないけど。


日の巡りはどうにも早いようで、ついに後輩と約束した土曜日がやってきた。

集合場所も近くの公園から当然ながら近くの駅に変更した。

集合時間は過ぎているが僕はその決めた時間よりも30分くらい早くついていた。

別にこの駅に来ることが慣れていないという事ではなくて、ただただ家を出る前の数分間がもどかしい気がしてどうにも落ち着かなかったという事だ。


「せんぱい!遅れました!」

「別にいいよ。人待つのには慣れてるから」

大体友達と町を出て遊ぶとなったとき僕はいつもすごく早くに到着するのだ。

それはあの図書室で一緒に仕事をする友人も同じでやはり僕は彼も待っている。


(……女子って休みの時こんな服着るんだ……)

何気にふと考えてみたら女子とこんな風に遊ぶことは初めてかもしれない。

何というか自分と比べてだいぶ服装から漂うオーラが違う気がする。

僕の思い過ごしかもしれないけれど。


何というか可愛いというか、上手に形容出来ないけれどいうなれば可愛らしいという何ともアバウトな感想が浮かんだ。

後輩の目は依然として心なしか輝いている。

根が暗い自分とはまるでま反対のようだ。

(会えたから輝いてる……とかあるのかな……)

変に期待している自分がいた。


「取りあえず切符かって早く行こうぜ」

何とかそんな衝動を抑えて話題を変えた。

「はい!」

どうやら彼女は外に自発的に出ることはないらしく

切符一つ買うのにも手間取っていた。

(まぁ……中一の時は流石にあんまりない経験だもんなぁ……)

少しばかり昔の自分を思い出した。


電車に乗って幾つかの駅を進んでいき、僕は後輩とともにこのあたりで一番栄えている中心都市、

まぁ簡単に言うと県庁所在地ともいうべき場に来た。

電車旅は少しづつ慣れてきたけど未だにこの駅の広さは困惑することがしばしばある。


「で……アニメートってどこなんですか!初めてなんですよ!!」

自発的に外に出ることが珍しい人間としてはやっぱりこうしてオタクカルチャー向けの店とかに入るのは初めてなのか……。

いやまぁ多分自分もここ最近がデビューな気がする。


「えっと……待ってね」

覚束ない口調とともに地図をバッグから取り出した。

僕はまだスマートフォンだなんて高価なものを買い与えられておらず、外に出るときは未だにこうして地図片手に散策する。


そういうこともあってこの後輩との仲が深まっていても学校外を出れば取り合う連絡は一切ない。

つまりこんな日がレアケースなのだ。


「俺も実はあんまりこの駅得意じゃないんだよね……ははは……」

迷いながら僕らは歩いてアニメートというショップに行った。

その後一緒に昼ご飯を食べて適当にぶらぶらした。


今日はそれだけで終わった。

本心を聞くことはできずに僕は彼女と別れた。

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