第二話
戦いはすでに終わっていた。
「ずっきー。飯食いに行こうぜ」
「うん」
購買部は戦争だ。
始まる前から戦いが終決している。
チャイムが鳴ったと同時に走り出さなくては、校内ナンバーワンのカツバーガーを手にすることはできない。
戦場のあとには女子供の喜ぶバームクーヘンしか残されていない。
ぼく達は戦う勇気もない非国民だ。
「ラーメンにしよっかな。あっ、金がねぇー。ここはうどんの一択しかねぇか。しゃーねぇーな」
・・・戦う資格すらない人間が隣にいるけど仕方がない。
全ての人が平等というわけではない。
「ぼくもうどんにするよ」
「ん、じゃあ俺、買ってくっから、席取っとけー。上級生がいびり散らしていても気にすんな」
「了解」
昼食時の食堂の熱気。
独特の熱気を持っていて好きになれない。
食べ物を配布してくれればいいけど、給食はない。
もちろん、外に出て食事をすることも禁止されている。
教室に残って弁当を啄ばむか、食堂に群がるかの二択しか残されていない。
ぼくらは後者を選び、望んでここを訪れている。
「あっ、おーい、おーい。ずっきー、こっちこっち」
二つの席を探していると、ぼくを呼ぶ声が聞こえた。
「喜多見。食堂なんて珍しいね。どうしたの?」
「部活のミーティングを兼ねてみんなでご飯を食べているんだよ。ずっきーはいつも食堂だったね」
「早起きは苦手なんだ。それに、和泉と一緒に食べるとなると必然的に食堂になってしまうんだ」
「和泉くんと一緒だっけ。まだ席見つかってないの?いいよ、ここを使って」
空席をぼくに示す。
どうしようか。
ここは善意に甘えとこうかな。
「邪魔じゃないなら甘えとこうかな」
「もー気にしなくていいよ。それでご飯はどうしたの?何も持ってないようだけど」
「和泉がぼくの分もまとめて持ってきてくれるんだ。けど、遅いね」
辺りを見渡すと、和泉がぼくのことを探していた。
「おかしいな。ずっきーがいねぇーな。もしや帰ったのか!?くそ、だったらうどん二つじゃなくて定食にしとけば良かった。あ、おい、おまえ。うどん二つと定食を交換しやがれ」
下級生に絡んでいた。
見たくはない光景だ。
知らない他人なら無視するんだけど、ぼくの大切な友達であり、栄養源を持ち歩いているのは和泉だ。
勝手にトレードするのは止めて欲しい。
「和泉、和泉、こっち、こっち」
「あ、てめぇ、そこにいたのか。探したぞ」
「ごめん、ごめん」
今日も平和だった。




