Falling in love with you 〈ロメル〉
第1章今日終わります。
‥‥‥‥‥‥この歌。
私のために?
嘘でしょう?なんか信じられない。
こんなの沙入くん、先週私を助けてくれた時もそうだったけど、カッコ良すぎるよ。
沙入くんみたいな男の子にこんなことされたら、女の子なら誰だって。
私はあまりの衝撃を受けてしまってる‥‥‥‥ここ、リアル世界だよね?
ふわふわして気持ちが飛んじゃってるの。自分なのに自分じゃないようなおかしな感覚。
「どうだった?」
沙入くんが私を見ている。
「あの‥‥‥‥もう一回聞いてみてもいいかな?」
「オーケー。」
私はもう一度沙入くんのちょっとハスキーボイスに聞き入った。
画面の中で、ギターを弾きながら歌う沙入くん。
これ、すべて私のために?
私を想って?
こんな素敵な初めての体験。
私、からかわれているんじゃないかしら?
どっきん、どっきん、どっきん‥‥‥‥‥落ち着け!私。
よく、よーく考えるのよ!
これ、どう聴いても私と沙入くんの先週の出来事の歌だよね。
初めて約束して会った時の。
ってことは‥‥‥‥本当に私だけのためにこの歌を作って聞かせてくれたの。
‥‥‥‥‥ってことは、沙入くん、私のこと‥‥‥‥‥好き!ってこと?
本当に?本当なの?
いつからそんな?
私のどこが良かったの?
外見だけじゃなくて?
ほんとに彼女いないの?
他の子にもこんなことしたことあり?
私は沙入くんに聞きたいことが次々と出てきてしまって大混乱。
「で、どうだった?」
とっくに終わっているディスプレイを未だに凝視してる私。
どうだったって言われても‥‥‥‥‥もちろん、歌詞も私のこと想ってくれてるって感じたし、メロディも心地よかった。
でも、それよりもっと私を揺らめかせているのは沙入くん自身なの。
沙入くんが歌を贈ってくれた事実が私をふわふわさせてるの。
私の心をこんなにかき乱す沙入くん。この胸をきゅっとしめる感覚は、このときめきは、このふわふわ感はとても言葉にできないわ。どう表せばいいかわかんないもん。
「素敵な歌をありがとう‥‥‥‥」
とりあえず、お礼を言わなければ。
私はスマホとイヤホンを返しながら沙入くんの顔をちらりと窺った。
「それって、オーケーってことだな。ロメル。」
沙入くんはそれは当然であるかのような顔をしてる。
「えっ!あの、沙入くんは私のことほんとに?」
「‥‥‥‥‥ロメル。好きでもねぇ女のためにこんな恥ずい真似するわけねーだろ!言わせんな。」
ぶちぶち言って後ろを向いてしまった。
これって‥‥‥‥‥もしかして、照れてるの?
「ごっごめんなさい。沙入くん。」
沙入くんの座った背中に謝る。
「‥‥‥‥沙入だろーが!」
ぴえん、さらに怒った。
「ごめんなさい。沙入っ!」
沙入は立ち上がって枯れ草のついたジーンズを払った。
不機嫌な顔のまま沙入が言った。
「じゃあ、ロメルも立って目、瞑って。」
なっ何?まさかっ!
「あの‥‥‥‥‥?」
「歌詞にあっただろ?」
「?」
「じゃ、とにかくこっち向いて立って。」
「うん。」
でも、ここは急斜面。ちょっとアンバランス。
「これ、ロメルに。」
沙入は自分の首からシルバーのロザリオを外し、私の首にかけた。
「俺の本物の彼女に。この、ヴィンテージのフレアクロスにロメルへの愛を誓う。」
沙入は私の下ろしている長い髪を束ねて持ち上げチェーンを下に通した。
私は首にかけられたロザリオを手に取った。
十字の先端が3枚の花弁を象っている。この綺麗な透き通ったグリーンのビーズは何で出来てるの?
よくわからないけど、高いものだったらどうしよう。
「‥‥‥‥私、高価な物はもらえないわ。」
「俺、そんな高価なもの持ってねーよ。それとも、返して俺の彼女になんの、やめとく?」
沙入は首をかしげ、どっちでも構わないかのごとく軽く言い放った。
「‥‥‥‥‥‥‥」
つい今、ロメルに愛を誓うとか言ったくせに‥‥‥ひどい‥‥‥‥
うるうるし始めた私に沙入は慌てた。
「‥‥‥‥‥えっ?マジかよ?ロメル!冗談だっての。」
沙入は私のほほに触れようとしてバランスを崩した。
「うわっ!」
「きゃーっ!」
私は斜面に足を取られた沙入の腕をつかんだけれど、すり抜けてつかみ損ねた。
私も引きずられて二人揃って斜面に転がってしまった。
空が高い。上空を飛行機が飛んで行く‥‥‥‥
地面に寝転がるなんて、いつ以来?‥‥‥うふふっ。
「大丈夫?ロメル。」
「うん、沙入は?」
「オーケー。手も無事。」
斜面に仰向けになったままの私の所まで、すぐ下の方から沙入がハイハイしながら登って来た。
私は沙入からもらったロザリオを手で探った。大丈夫、ちゃんとあるの。
私の両脇に手をついて沙入の顔が私の真上に来た。
沙入は服も髪まで枯れ草だらけ。私も?
いつもは前髪に隠れてはっきりとは見えない沙入の目
沙入のベールは今ははずれてる。
初めてはっきり見えた沙入の顔。
まるで生きてるお人形みたい。
とてもきれいだね。
私はそのほほにそっと指をすべらす。
沙入のスッと伸びた一見冷たそうに感じる目。
今、その奥の瞳には私が映ってる。
私の瞳にも沙入が映ってる?
私、今、夢見状態なの。私は本当に私?今は本当に今?
こんな突然にこんな日が来るなんて。
「‥‥‥‥ロメル、いい?」
「‥‥‥‥‥うん。」
私は目を瞑った。
チャラルラーン‥‥チャラルラーン‥‥
私のスマホが鳴りだした。
私は思わず目を開いた。
「気にすんな。ロメル。」
沙入の顔が降りてきた。
第1章 完
どうだった?
楽しく読んでもらえてんのかな?
その辺はよくわかんねーけど、まだ続きまーす。
黒りんご




