ロメルちゃん大好き!
私がロメルちゃんのところに行くと小白くんはささささっとGの如く去って行った。
私は周りをささっと見回してからロメルちゃんに、こそっと聞いた。
「ロメルちゃん!彼氏出来たって本当?雪村のやつが私にベランダで聞いてきた。」
ロメルちゃんは私の耳に手を添えて小声で言った。
「それ、嘘なの。昨日、雪村くんに出任せを言ったの。」
そうだったんだ!ロメルちゃん、親友の私に彼氏ができたの内緒にしてたのかと思った。
へへん、あんな気取ったつまんないやつ、振られてざまーみろ!
まさしくああいうクールぶったプライド高い人はヤダヤダ。まじ。
私はこのかわいくて優しい大好きなロメルちゃんを守ってあげるのだ!
軽薄に衝動的に近づいて来る男子や盲目的になって敵視してくる戯けた女子から。
ロメルちゃんのことは顔だけは小学校低学年の頃から知っていた。
だって、目立ってるもん。
ロメルちゃんは小さい頃からきれいなお人形さんみたいだった。
初めてお話したのは‥‥‥あれは5年生の時。
あの時は社会科の地図表を忘れたことに授業直前の休み時間に気がついた。
私は隣の2組の友だち、りなちゃんに借りようと思って急いだ。
「うえーん!私、地図表わすれちゃったよー!私ってばかばかっ!今日はペンケースに消しゴムも入ってなかったし、手提げバッグにつけといたケータくんのカンバッジもいつの間にかなくなってるし、これって前にお父さんが言ってた天中殺とかいう日に違いないよ。お願い、りなちゃん、助けてー!」
りなちゃんは言った。
「二葉ちゃん、天中殺てよくわかんないけど、もしかして地図表貸して欲しいって言ってるの?だったらごめーん!うちのクラス、今日は社会ないんだー。消しゴムは、落とし物箱の使っちゃえば?で、ケータのカンバッジは潔く諦めな。」
「そんな~‥‥‥‥うえーん!地図表誰か貸してー!」
そこにたまたま廊下を通りかかったロメルちゃん。
そちらからは見も知らないであろう私に、かわいらしい笑顔とともに申し出てくれた。
「あれ?地図表がいるの?私、持ってるの。ちょっと待ってて。すぐ持ってくるから。」
ロメルちゃんが白いワンピースの裾をなびかせ、地図表を取りに廊下を急ぐ後ろ姿を私は拝んだ。
この子、マジ天使!
親切で、素敵な子。この子と仲良くなりたいな‥‥‥‥‥
それ以来、私にとってロメルちゃんは気になる存在になった。
それからはロメルちゃんを見かけるたびに声をかけた。
それで、なんとかお友だちにはなれたけど、でも、クラスも違ってたし、6年生は5年のクラス持ち上がりで変わらないし、ゆっくり話す機会はなかった。特に6年生の後半からはいつもあの、イケメンと評判のカイルがいつもくっついていて話しかける隙もあまり無かった。
中学生になってまたもやクラスは違ったけど、入った部活は偶然ロメルちゃんとカイルと同じ部だった。
それはほぼほぼ帰宅部天文部。
それでも、塾にも行っていない私は結構な頻度で部活には参加していて、ただおしゃべりしたり宿題したりしに行ってるだけだけど。
ロメルちゃんとカイルもたまに来ていて。そこで私はロメルちゃんとけっこう話すようになった。でもさ、私がロメルちゃんと話していると、大抵カイルが割り込んで来た。
まったくさー、あいつ、乙女同士の話に割り込んでくるなんてデリカシー無さすぎだと思わない?
だから1年の時はそこまで仲良しってわけでもなかったんだけど、2年生になって、私とロメルちゃんは同じ2組になった。カイルは3組。
だから私たちは教室でカイルの邪魔もなくおしゃべりできてすごく仲良くなっていった。
ロメルちゃんはあの通り美少女だからさ、クラスの中でも注目の的。
クラスの男子の5人はロメルちゃんアタッカー。残りは拝観ピーポー&彼女有のリア充数人。
女子は女子で人気男子を底引き網の如く捕獲?しているロメルちゃんに妬み嫉み羨望、嫉妬が渦巻いてもう、やばいったらないよ。
ロメルちゃんと仲よしさんは私と、牧野さんと神谷さんくらい。後、カイル推しの人たちと彼氏持リア充数人が中立となっている模様。
クラス内事情はそんなとこ。
他のクラスの男子がロメルちゃんにお近づきになるのは無理だよ。同じクラスじゃなかったらロメルちゃんと話すのはムズい。カイルがいるから。
あ、クラス内では私がいるから同じか?
今日、私もロメルちゃんも部活に出たけど、ロメルちゃんはいつも5時になると帰ることが多い。
今日もロメルちゃんは5時になったらカイルと先に帰っていった。
夕方、お兄ちゃんは家に帰ってからお母さんと私に言った。
「母さん聞いてくれよー。今日はもう、電車ん中でも白い目で見られるし、学校では友だちから2メートル以内接近禁止令が発令されるし、散々だったぜ‥‥‥‥‥二葉。」
そう言ってぎろっと私を睨んだ。
ニンニクって偉大だね。あんな小さな球根のひとかけらで人類を脅かすなんて。
「二葉、お兄ちゃんが文化祭で疲れてると思って‥‥‥‥‥疲労回復になると思って‥‥‥ぐっすん。」
私はお兄ちゃんを悲しげに上目遣いで見た。
「そ、そうだったの?ただのいたずらじゃなかったんだ。怒ってごめんよ、二葉。でもこれは入れすぎだぞ。」
お兄ちゃんは私の頭をポンポンして許してくれた。
「お兄ちゃん、マナカさんに何か言われた?」
肝心なことを聞いておかなければ。
「ああ、放課後の部活の時間には大分臭いも消えてきたみたいでさ。セーフ!」
‥‥‥‥作戦不発。あーあ。
寝る前にロメルちゃんに結果発表しよーっと。
そして、お休み前通信。
思った通りロメルちゃんにはたしなめられた。
『もう、お兄さんにそんなことしちゃだめよ。』
『でも、そういう斜め上な二葉ちゃんは大好き!』
ふふん。さすがロメルちゃん!私の良さをわかってくれてるね。
『私もロメルちゃん大好きだよーん。明後日土曜日の約束大丈夫?』
『うん、午前中だけなら大丈夫。じゃ、二葉ちゃん、おやすみなさい。』
私の密かな計画など知りもしない優しいロメルちゃん、ごめんなさーい‥‥‥‥‥




