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全然近くて全然遠い!  作者: メイズ
第1章
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ロメルの初恋


 そして、金曜日が過ぎそしてついに!お待ちかねの土曜日。



 約束の午前9時にロメルちゃんが家に来た。やっほう!


 私の密やかなる立案、そして計画、今こそ実行の時!うっひっひ‥‥‥‥


「待ってたよー!さあさあさあさあ、私の部屋に来てー!」


 私は手洗いが済んだロメルちゃんをふわふわ座布団付き特設小こたつにご案内した。


「もう、こたつが出てるのね。」


「うん、その方が雰囲気でるでしょ。ふっふっふ。」


 思わず二人の足が触れてドキドキっみたいなさ。


「?」


「あっと、えっと、宿題やろうよ!今ならお兄ちゃんがいるからわかんないとこ教えて貰えるよ!私は家にお兄ちゃんいるから塾いらずだよーん。お母さん塾代大助かりじゃん。だから私のお小遣いアップしてほしいんだけど。ケチでさー。」


「上がるならお兄さんのお小遣いよ。うふふ。」


 ロメルちゃんは数学の宿題のプリントを出しながら言った。


 私たちは真面目に問題を解いて行った。


「ロメルちゃん。わかんないとこある?」


「うん、この関数の問題が解けないわ。」


 やったー!チャンス到来!


「ちょっと待っててね。お兄ちゃん呼んでくる。教えてもらおう!」


 私は早速お兄ちゃんを部屋に呼びに行った。





「お兄ちゃん連れて来たどー!」


 私はいきなり扉を開けるとお兄ちゃんを背後から私の部屋に押し入れた。


「うわっ!」


 背中を押されたお兄ちゃんはいきなりけ(つまず)き、ドアに背を向けてこたつに入って座っているロメルちゃんの肩に掴まって止まった。


「きゃっ!」


 ロメルちゃんはいきなりのお兄ちゃんの登場に非常に驚いた。


「俺、あの、ごめんね。えっと、ロメルちゃん?大丈夫だった?」


 お兄ちゃんが焦っている。


「はい、私は。お兄さんこそ大丈夫ですか?」


「‥‥‥‥二葉!何でお兄ちゃんを押すんだ!危ないだろ!」


 お兄ちゃんが怒ってきた。


「ごめーん。二葉、お兄ちゃんがもたもたしてたからさ、つい‥‥‥‥私、飲み物とお菓子もってくるから、お兄ちゃんは先にロメルちゃんに一次関数教えてあげてて。」


 私はドアをバタンと閉めて二人を閉じ込めた。


 うっふっふー。第一段階任務完了!







 私はなぜか今、二葉ちゃんのお兄さんと二人きりで数学を教わっている。



 さっきのお兄さんの登場の仕方には焦ってしまった。だって、いつも話を聞かされている二葉ちゃんの本物のお兄さんが私の背中に抱きついて来たんだもの。


 私、顔が火照ってしまって‥‥‥赤くなってたかも。なんだか恥ずかしい。


 実物は‥‥‥こんな近くで見る二葉ちゃんのお兄さんは‥‥‥さすが高校生よね。やっぱりちょっと大人っぽいって感じ。優しいまなざし。目が合うとドキってしちゃう。


 ほぼ初対面だけど、私、二葉ちゃんのお兄さんのこと、普段の毎日の出来事もたくさん知っているの。お兄さんは私のことなんて知らないだろうけど。


 お兄さんのお気に入りの歌も、歌い手さんも、絵師さんも、アニメキャラも、声優さんだって知ってるの。


 あの文化祭の日から急に髪をトリートメントし出した事も、鏡を見る時間が長くなったことも、スイーツのお店をやたらと検索していることも。


 いかにも恋してるって感じでなんだか、かわいい。うふっ。


 私にも二葉ちゃんのお兄さんみたいな普通のお兄さんがいたら素敵だなっていつも思っていた。だってカイルはとてもじゃないけど私の兄とは言えないもの。




「ああ、これかー、俺に任せろ!このただの一直線の斜めってるだけのグラフはね、単純な比例の一次関数の式のなんだ。ムズい要素はないよ。大丈夫!今日からロメルちゃんは一次関数マスターだぜっ!うえーい、行っくぜー!」


お兄さんはそう言って親指を横に立てた肘を上げた。 


お兄さんは私の緊張をほぐそうとして楽しく振る舞ってくれているの。


 この明るい心地いい親近感。朗らかな人当たり。ほぼ初対面という感じがしないの。


 うふふ、私実はお兄さのことたくさん知ってます、って言ったらびっくりするかな?


 二葉ちゃんはいつも言っている。


『お兄ちゃんはいつも優しく二葉にもわかるように教えてくれるんだー。』


 本当にその通りね。


「いい?aの値はね、これはねこのグラフを見て。この数直線とグラフの目盛りが重なっている所を二ヶ所見つけて見て。どこでもいいよ‥‥‥‥ん?どうした?もしかして俺の顔‥‥‥‥どっか変?」



 いやだ!私ったら考え事してお兄さんの顔、無意識に見つめちゃってた!きゃー、どうしよう!


「いえ、あの、その、二葉ちゃんが戻ってこないからどうしたのかなって‥‥‥‥」


「そういえば、そうだよな。きっと勉強に飽きて一人でさぼってるんだぜ。困ったやつだな。‥‥‥‥てっきり俺の顔、昨日眉毛いじってみたから‥‥‥‥女の子から見ておかしいかもって思ってさ。」


お兄さんが両手を頬に当て恥ずかしそうな顔をしているの。


「いえ、おかしくなんて!お兄さんはとっても素敵だと思います。」


私は思ったままを言ってしまった。


「マジ?あはは、ありがとう。気を使ってくれて。さあ、この問題を解いたら二葉を連れに行ってくるよ‥‥‥‥‥でね、この縦のy軸と直線の交点がbさ。簡単だろ?」





お兄さんのフレンドリーな説明のお陰で私は一次関数の比例式も反比例もすっかり理解できた。


「あの、ありがとうございました。お陰でこれで宿題終了です!」


「そりゃいい!今夜はめっちゃアニメゲーム三昧できるじゃん。うっはっは!あー、そうだー。ロメルちゃん、二葉と仲良くしてくれてありがとう。きっとあいつ迷惑かけてんだろ。」


お兄さんが大きく笑ってからしかめた顔をした。


いいな、二葉ちゃんは。

こんなに気にかけてくれるお兄さんがいて。


二葉ちゃんがどうしてお兄さんが大好きなのかわかるわ。


「いえ、二葉ちゃんがお友だちになってくれて私の方こそお礼をいいたいです。迷惑なんて‥‥‥‥」


私はほほを熱く感じながら言った。


「いっけね、さぼってる二葉を連れてこなきゃ。じゃ、またね。」


お兄さんはそう言うと部屋を出ていった。



うふふ。勉強教わるのがこんなに楽しいなんて。毎日こんな風なんて二葉ちゃんがすごくうらやましい。

二葉ちゃんは成績優秀なのはこのせい?



私は何故だかとても満ち足りた、心地よい気分。


宿題が終わった解放感からかしら?


今朝は家のお手伝い免除の代わりに夜は食器洗いとお洗濯当番。


でも‥‥‥‥来て良かったな。


だって、話でしか知らなかったお兄さんに会えたんだもの。


二葉ちゃんのお兄さん‥‥‥‥‥素敵な人。また会えたらいいな‥‥‥‥










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