垣間見る日常
遅くなってしまいすみません。
最後まで読んで頂ければ幸いです。
それではお楽しみください。
「今度、良かったら家に来る?」
「…え?
えっと、僕は構わない…っていうか、行かせて頂きたいけど、突然だけどいいの?」
「今日帰ったら、お姉ちゃんに聞いてみるわ。
私は来て欲しいんだけど。
お姉ちゃんも喜ぶと思うし」
「ん、そろそろ下校時間だし、今日のところはこれくらいにしておこうか」
「案内、ありがとうね、九重君」
「僕でよければ、いつでも。
今度は校内も見て回らないとね」
「うん、楽しみにしてる。
じゃあ、九重君、また明日ね」
六道さんはそう言うと、自分の鞄を取り、帰っていった。
「…僕も、帰るかな」
喧騒に包まれているグラウンドに別れを告げ、僕は1人帰路についた。
――――――――――――――――――――
「ただいま、姉さん」
「静!おかえり。
今日は遅かったじゃないか、何かあったのか?」
僕は姉さんと基本的には二人で暮らしている。
というのも、僕ら姉弟の両親は共働きで、僕らが高校に上がってからというもの、頻繁に出張やら出向やらで中々家にいないのだ。
たまに帰ってきた時には、大量のお土産を持ってくる。
中には「こんな物あるのか」ということも多々あるのだが…
「僕のクラスに転校生が来てね。
その人を放課後、校内を案内していたんだ」
「えっと…六道、さんだったか?」
なんと。
「えっ、なんで知ってるの?」
「そりゃあ、な?」
なんでこの人はウインクしているんだろう…
――――――――――――――――――――
私が転校生の存在を知っていた理由。
今朝、何時ものように朝礼時刻の一時間前に登校して、何時ものように生徒会室へ向かっていた私は、何時ものように生徒会顧問の先生に絡まれていた。
「九重さん、伝えたい事が…」
このまま捕まると話が長くなること請け合いなので、あたかも聞こえません、という雰囲気で通り過ぎると、
「…弟君に関することなんだけど…」
「なんですか、先生。
静に何かあったんですか」
…。
条件反射というものが、今は憎い…
しかし静よりも優先される事などないので致し方無いとも言える。
「あ、あぁ、実は今日九重君のクラスに転校生が来るらしいんだよ。
しかもその生徒が女子らしいからね、九重さんにも伝えておこ…
こ、九重さん!?そんなに走ってもまだ…!
まだ、君以外には殆ど登校してないというのに、何処へ行くのかね…」
ということがあったのだ。
―――――――――――――――――――
僕が姉さんの笑顔に薄ら寒いものを感じていると、姉さんはそのまま台所へ潜っていってしまった。
ので
「姉さん、先にお風呂入るね」
「今日まだ沸かしてないから、自分で沸かして入ってて〜」
「分かったよ」
「後で背中を流しに行こうか?」
「結構です。
それでは行ってきます」
僕の貞操はこんな感じで守られています。
「ふぅ…」
髪を洗い、顔を洗い、体を洗い。
いざ入浴、といったところで
コンコン、コンコンコン
「…まさか、な。
姉さん?どうしたの?」
「ん?いや、ついでに私も一緒に入ろうかと思ってな〜」
ほんとに来やがった…
知らぬまに口調が荒くなってしまうようでは僕もまだまだだな…
「冗談はいいから、少し湯船に浸かったら出るからそこどい、とい、て、ね…」
僕が言葉を失った理由。
お察しの通りである。
ガチャっ
無慈悲にも、浴室の扉が開けられたその向こうには、
タオルを巻いただけの姉さんが立っていた。
今まで入ってきた事まではなかったのに…
「…」
「どうしたんだ、静、顔が赤いぞ?」
「は、はっ…」
「は?」
「早く出てけー!!」
「わっ、ちょっと、ちょっと待って!」
気づけば僕は姉さんを浴室の外へ追い出していた。
「なぁ、静…寒いんだが…」
「服を、着れば良いんじゃないかな??」
「静…目が笑ってないよ…」
僕のこの態度も宜なるかなと言ったところでしょう。
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