第十七章 ユウナ ゼロに告げる
ユウナはゼロを抱きしめた。
というより、抱きしめ返したって、言ったほうが的確な表現だったかもしれないが。
「ゼロ・・私はロイへの気持ちはずっと永遠に変わらないと思っていたの・・」
「・・・。」
「でも、変わってしまった。ゼロと出会って、ロイとは全く違う貴方なのに・・・。」
「・・・。」
「何でだろう・・。自分でも分からないの・・。ただ、ロイとゼロ・・二人と出会って私は変わったことだけはいえるの・・。私はこれまでにない感情がここに来て押し寄せてきた・・。」
「・・。」
「その感情に私は戸惑ったのよ・・。でも気づいた。・・私はね、ゼロもロイも好きになってしまっていたことに・・。」
「ユ、ユウナ・・?」
ゼロは私の言葉に戸惑っていた。
私も自分で言っていることに驚いてはいたけれど。
「時間差はあったけれど・・二人を好きになったと気づいたとき、私はそれを否定してたのよ。でも否定しきれなくなった。・・ゼロとロイ・・二人を重ねていたのかもしれない・・さっきも言ったけど・・ゼロもロイも全く違う人柄なのよ。なのにどこか共通するところがあったんだと思う。」
「・・・共通点・・・・」
「うん。・・ロイは、自分の苦しみを人に見せるような人ではなかった。隠しているのよ、ロイは自分の思いを。ゼロは・・・気づいてないかもしれないけど、よく顔に出ていたよ。自分の感情が隠しきれてはいなかったのがすぐに分かった。・・・隠してる・・隠そうとしてる・・少し違うけどそこに惹かれたんだと思う。」
私の言葉でゼロは私の腕を軽くつかみ、目を合わせようとした。
「俺はお前が好きだ。お前が来て俺は変わった。もう一回言う。俺はユウナが好きだ。」
言葉とともにゼロはキスしてきた。私はもがくことしなった。
体がようやく受け入れてくれたのかもしれない。
でも次第にキスは私の口の中まで入り込んできた。
それとともにそのゼロから感じる熱さが染み渡った。
「んぅ・・・んっん・・んぅぅ」
甘いキスに私は溺れた。
何も考えられない。
私の声を聞いて、ゼロがキスをより深めた。
重なり合う唇。ゼロの思いがそこから流れ出てくるよう。
夢はこのことをいっていたのかな?
それとも、もう前にしてたりとか?まさかね・・・。
ゼロはユウナの言葉を聴いて、キスしたい衝動に駆られた。
衝動は止められなかった。いや、止めたくなかった。
ユウナをなぜ好きになったかは、はっきりしていない。
だが、婚姻の儀でキスをしたときもう心にユウナを焼き付けていたのかもしれない。
意識し始めたのはそのときからだった気がする。
今もユウナの甘い声は俺を混乱させた。ユウナの声は俺を操る道具のようだ。
俺は自分を止められない、止めることができない。
そうさせたのは全部ユウナのせい。
ユウナの声が、体が、行為が、ユウナの存在自体が、俺をおかしくさせる。
ユウナを見ておかしくなるのは俺だけではなかったと思う。おそらくロイも・・。
ロイはユウナを一番に考えていた。その考えが自分の思いをせき止めていたのだと思う。
ロイは自分より、ユウナを最優先しているのだ。
俺は自分の思いを止めるつもりはない。かといって、ユウナを手放すつもりもないが。
俺は自分の気持ちは時と場合によって優先するか決めたい。でも、自分の思いを優先しそうだが。
ユウナもゼロもめでたく両思い。めでたしめでたし。
で、終わらないこと告げておこう。




