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第十一章 側近たちの秘密・想い

 昔、庭で俺のした行為のおかげで俺とリアーネルたちとの関係は一気に変わった。

それからまもなく俺は大きな衝撃を受けた。

 

            それは満月の日だった。

 その日の夜、俺は眠れず庭に出向いた。曇っていて満月が隠れていた。そしてなんら変わらない静かな夜の庭だと思った。が、そこには、

精霊たちと舞い踊っているリアーネルたちの姿があった。

リアーネルたちに声をかけようとしたとき、満月が雲から顔を出した。

「リアーネル、リ・・・・!?」

俺は言葉を飲み込んだ。満月に照らされリアーネルとリアンの姿がみるみる変貌していった。

 書物で読んだことがある。

精霊は満月の日にこの世に姿を現し、満月の光を浴びれば本来の姿を取り戻すと。

 ・・リアーネルたちは精霊だったって言うのか。・・ありえない。・・満月の日でなくとも俺には見えた。・・なのに・・どうして・・

「リ、リアーネル・・と、リ、リアン・・なのか?」

俺は声を振り絞って言った。姿を変貌させたリアーネルたちが振り向く。

「ゼロ様!?・・・・はい、わたしたちです。」

「リアーネルと」

「リアンです。」

俺はその姿に驚いた。

これも書物で読んだが、精霊は人の姿をかたどった霊で、かたどっただけで明らかに違うところは数知れず。色、体格、輪郭・・などが違い、精霊ごとに象徴しているものによって風貌が変わるらしいと。

「・・人間じゃ・・ない、のか・・?・・」

あまりのことにうまく言葉が使えない。

「はい、人間じゃありません。黙っていてすいませんでした。」

リアーネルが申し訳なさそうに言う。

「せ、い・・れい・・なのか・・?」

まだ言葉がうまく話せない。この現状を理解しきれないからなのだろうか・・。

「精霊の部類には入りますが正式には精霊ではありません。」

リアンが言う。

「せい、れい、じゃない?」

少しずつうまく話せるようになった。

「はい。正式名称は、人型精霊です。」

リアーネルが事情が飲み込めていない俺にあわせて少しずつ言う。

「人型・・精霊?」

「そうです。人の魂と精霊が融合して生まれた精霊を人型精霊と言うのです。」

 リアンが言われて書物で読んだことがあったことを思い出した。

人の魂と精霊が融合して満月の日でなくともこの世に具現できると。そして、その現象は珍しいものではないが完璧にこの世に具現できるのは奇跡に等しいと。

「満月でなくともこの世に具現できるのは私が融合した人の魂のおかげなんです。」

リアーネルが言う。

「精霊にとってこの世の自然は宝も同然。満月の日だけでは少ないと思ったのです。」

リアンが言う。

「それで・・人の魂・・」

呟いた俺に

「はい。この世で生きるすべを失った人の魂を使ったのです。精霊の精神力に人の魂をもってすればこの世に具現ができるだろうとの考えを持ったのです。」

と、リアーネルが言う。

「でも、それは難しいんじゃないのか・・?」

「はい。大きなリスクを必要としました。満月の日まで本来の姿と力が取り戻せず、なおかつ、人の魂とシンクロしなければならないんです。」

「難易度の高い方法でした。この世にずっと具現していたいと強く願う者だけがこの方法で挑戦しました。結果、断念するもののほうが多かったようでした。」

「それに欠点がありました。精霊は寿命などありませんから何年もの長い時をすごしますが、人間には、100年と言う精霊にとても短い寿命しかシンクロした状態でいることができません。これが誤算でした。一度シンクロをとくと長い間この世に具現できなくなってしまいます。この世を慈しむ我々にとって大変苦しい誤算となってしまいました。」

・・だろうな・・と思った。

今まで話してもらっていくつか謎だったことが解明された。

一つ、精霊は、自然を大事に思っている=リアーネルたちが自然を好きな理由。

二つ、今思い出したが精霊は魔法を作り出した張本人だ=力を制限されても強い。

三つ、精霊は自分の象徴しているものにより姿が違う=魔法は、一種類の系統しか使えない。

などなど。特に一つ目は一番疑問に思うものだった。

俺は今まで自然を好きだといった奴らはリアーネルたち以外皆が変といっていたからだった。

「そうかそういうことだったのか。」

「納得しましたか?」

「あぁ。」



こんな秘密を打ち明けられてびっくりしたゼロだがこれからもいつもどおりもしくは今まで以上に楽しくやっていけるだろう

            と思うゼロであった。




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