第十二章 ゼロの想い。
ゼロが管理地の仕事を終えたその翌日。
改めてゼロはユウナに聞こうとユウナの部屋に向かった。
・・ユウナが『ロイが!』と言ったのには理由があるはずだ。・・瞳のことも何か関係が・・
昨夜、ユウナは十字架のペンダントを見て様子が変わった。俺が襲われたことと何か関係があるかもしれない。
そういった考えでユウナの部屋へ向かったゼロであったが、どうやら先客がいたらしい。
ユウナの部屋からロイが出てきた瞬間俺と目が合った。
「ゼロ殿もユウナの様子を見に来たんですか?」
ロイが聞いてくる。表情と言葉からして言いたいことはそれだけじゃないと俺には思えた。
「あぁ。」
不機嫌そうな表情で言うゼロを見てロイは
「ユウナと仲が良いんですね。ユウナはゼロ殿のことどう思っているんですかね~。気にならないんですか?」
ゼロをあざ笑うような言い方で言った。
「くっ!」
ゼロは小さく歯を食いしばった。それを見てロイは小さく笑い
「あ、そうそう。ユウナはまだ寝ていますよ。昨日よりは顔色が少し良くなったようでした。では、また・・。」
思い出したかのように言う。そして自分の部屋へと帰っていった。
「あいつっ!」
舌打ちしたい衝動に駆られた。
・・あいつに言われるとやけにむかつく。何だあの態度は。俺を馬鹿にしやがって。
少し自分を落ち着かせてユウナの部屋に入った。
ユウナは無防備な寝顔を見せて寝ていた。俺は近くにあったいすに座ってユウナを見つめた。
いすはこの間、ないと不便だろうと持ってこさせた物だった。
ユウナの寝顔からしてロイの言ったとおり顔色が少し良くなりつつあると分かった。
睡眠の邪魔しちゃ悪いと思っていすから立ち上がったとき、
「うっ。」
ユウナがうめいた。俺はユウナに近寄って、
「大丈夫か?」
と聞く。
「ゼロ?・・・・大丈夫。」
ユウナは頭を手で触りながら起き上がる。
「・・なんか・・ぼやぼやする・・・。」
ユウナが言う。ユウナの瞳を覗くとユウナのいうとおりまだぼやけてると言った感じで視点があっていないようだった。
「ユウナ、・・・昨日のことだが、ユウナが気絶する前に言った『ロイ』と言う言葉・・あれは一体どういう意味だったんだ?」
どうしても聞きたかったことを聞いた。
「え?ロイ?私、そんなこと言った?」
え!?言ったことを覚えていない!?記憶がとんでる?ありえん。
「え!?じゃあ覚えてないのか?」
俺の言葉にユウナが思い出そうとしていた。
「う~ん、言ったかな?いやでも・・・・・・・・うぅ!痛い・・頭が・・・。」
ユウナが思い出そうとして突然頭を抱えだした。
「・・いたい・・うぅ、いたい。」
うめきながらベットから落ちそうになった。
「ユウナ!」
慌ててユウナに衝撃を与えないよう俺がクッションの変わりになってユウナを抱く。
俺の体にユウナは自分の体を預けながら頭を抱えていた。
これ以上思い出させるのは無理と悟って
「もういい。思い出そうとするな。・・・ユウナの能力は使うとき何か体に異変が起きないか?」
「・・・異変・・・。」
「そうだ。」
「・・・たぶん起きると思う・・。自分じゃ分からないけど・・」
「そうか・・」
俺はユウナの髪に触れた。
「・・・もう無理はするなよ。まだ体調が悪いのに負担かけて悪かったな。」
「・・・・」
「ん?どうした?」
「・・・見える。」
「え?」
ユウナが振り向いた。左目の色はまた以前のように変わり渦を巻いていた。
「・・嘘だよ・・ロ・・イ・・が・・犯人・・なんて・・」
「!?」
一瞬ユウナが何を言っているか分からなかった。
だが確かに、
『ロイが犯人』
と言った。
もしそうなら証拠があればうまくロイに負けを認めさせることができる。
ユウナはいまだに信じられないようでいる。ユウナは突然、俺の背中に腕を回してきた。
「ユウナ?」
俺は戸惑った。が、ユウナは震えていることがわかると俺もユウナの背中に腕を回し強く抱きしめた。
「・・ゼ・・ロ・・!・・ロイを・・止めて・・騒ぎを大きくさせないで・・ロイは・・・私の・ため・・な・・ら・・しゅ、手段・・を・・・えら・・・ば・・・・な・・い」
「・・ユウナ・・・」
俺はもとからそのつもりだった。
ゼロの背中に回されていたユウナの腕が力が抜けたせいなのか俺の背中からユウナからの圧力が消えた。
このときユウナは気を失ったのだった。
それでも俺はユウナを抱きしめ続けた。
俺がこんなにユウナのことを想っているのに、この想いは伝わらないだろうか?
ロイにユウナを想う思いまで負けてしまうのだろうか?
ゼロはユウナと過ごすうちのユウナに惹かれていった。
この思いは自分ではどうすることもできない。
ロイは・・・ロイはどうだったんだろう・・・
ロイにとって俺は邪魔な存在だったんだろうか?
それとも俺は眼中になかったんだろうか?
どちらともかもしれないが、もう俺にはこの思いは止められない。
ユウナがロイに思いを寄せていたとしても俺はユウナを諦めたりしない。
俺はこの感情には素直でいようと思った。




