弱り事とパジェロ大改造
弱った。
車は来たんだよ。いつも通りオイル漏れとサビは酷いがな。
一通りの改造は済んだ。
車高は電動で調整可能。
シュノーケルをつけたので、沼化の魔物対策もバッチリ。
問題は二つ。
追加で神様にお願いしたアニマルバーが入手できないこと。
ぶつかってくる魔物から車を守るためには絶対必要なんだが。
なんでパジェロで一番特色あるパーツが見つからないかねぇ。
まあ、そいつはいい。
いざとなったら鋼管パイプで自作すりゃあ、いいからな。
そして本当に困ってるのがこちら。
早速届いたパジェロをパレッタに見せたんだが……
「乗れない? どういうことだ」
「実はエルフは鉄に近づくことができないのです。昨日見た時はこの塗装された状態ならいけると思ったんですが」
流石に乗り込むには抵抗があるってことか。
さすが異世界! なんぞと言ってる場合じゃねぇ。
「どうすんだよ。魔物には対抗できねぇし。道案内がなきゃ辿り着けねーぞ」
「魔物に対応はできます。少し、装備に手を入れられて頂ければ。ただ、道については……」
「私が行きます!」
口ごもるパレッタの後ろにいたのはサティだ。
心なしかいつもより猫耳と尻尾がピンと立っている。
「やる気があるのはかまわねーが、場所がわかんのかよ」
「はい。昔は魔物が棲みついていなかったので、麓まではパレッタに連れて行ってもらったことがあります」
「山道は?」
「それは大丈夫です。一本道ですから迷うことはありません」
うーん。
この嬢ちゃんが来るってことになるとピートがなぁ。
舞い上がっちまってうるさくて仕方ない、ってなことにならなきゃいいが。
「その薬草の採取、俺も連れてってくれ」
「アレク! なんでお前が」
「パレッタの代わりなら俺が務める。なんなら魔物から逃げる時、囮にしてもらっても構わん」
あー、厄介な奴がもう一人だよ。
どうするか。こいつテコでも動きそうにないってタイプだぞ。
「ダメだ。信用ならん」
「お願いしますにゃ!」
にゃ?
こいつも獣人だったのか。
「あー、バレちゃった。アレクは私と同郷なんですにゃ。いつもは人間とうまくやれるために上手くしゃべってるんですにゃ」
なんとサティとアレクは同郷の猫耳獣人だったとは。
「耳はどうなってんだよ」
「そ、それはパレッタ様の魔法で……」
「お願いしますにゃ。アレクのことは私が責任持ちます」
仕方ねーか。
結局、山に向かうのは光治郎、ピート、サティ、アレク……か。
問題は時間がないこと。
「よし、それじゃあアレク。この車のレストアをお前も手伝え。その働き次第で連れて行くか決める」
「わかった。感謝するにゃ」
男のニャはいらねーんだよ。
それからはトントン拍子で準備が進み、お手製アニマルバーもアレクの協力でなんとか仕上がった。
鉄に近づくのが苦手のパレッタが、毎日来ていたのが痛々しい感じ。
だが、その成果はあった。
魔力のこもった薬剤を塗料に混ぜての全塗装。これで毒対策は十分。
極め付けはLEDのルーフライトバーである。
パレッタが裏側に魔法陣を書き込み。交換用LED収納スペースには魔石を。
こいつが室内のハンドル横にある小箱の魔石と反応して、ライトニングの魔法を放てるのだ。
さらに、あちこちにいろいろと仕込んでくれたおかげで、まずは安心。
「いよいよ、明日だ。全員、今日はぐっすり休んでくれよ」
「「「「おー」」」」
明日は薬草取り。
実際は怪獣大戦争だけどな。




