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異世界転生ヤニカス道酒〜タバコと酒を無限に出せるようになったらヤニカス天使とアル中天使がついてきた件〜  作者: ノエ丸


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飲んで寝る


 街道を馬車がガラガラと音を立てながら進んでいた。


 馬の手綱を握る男は小太りの中年。

 その荷台には目つきの悪い男と、その場にはそぐわぬ美貌を持った女が二人。


 そんな中、目つきの悪い男がポツリと呟く。

 


「のどかだな」

 

 俺たち三人は商人の護衛として、ハジマリノマチーを出発してから三日経過していた。


 街道沿いをひたすら走るだけなので代わり映えのない風景が続く。

 

 本当にのどかだ……魔物も襲ってこないし、何も問題が起きない。

 クロエはずっと酒を飲んでは、イビキをかいて寝るを繰り返している。

 ハクアは時折話題を振ったりしてくれるが、三日もあれば無言の時間が増える。

 そして自然と喫煙の時間が増え、今は時間をかけて葉巻を堪能。


 俺も自然とタバコの本数が増えるも、自身の健康を害することはない。

 

 なぜなら、俺は一度死んでいるからだ。

 死んですぐに、真っ白な空間で神様と出会った。

 そこで二つの力と二つの不良債権を押し付けられた。


 一つは《無限嗜好品供給むげんしこうひんきょうきゅう

 これは嗜好品なら手のひらから無限に出すことができる。しかもノーコストで。

 一度に出せる量に限りはあるが、連続して出せるのでデメリットにもならない。


 二つ目は《健康固定》

 これはシンプルに体が病気にならないというもので、毒やその他の体に悪い影響を無効化してくれるらしい。

 もちろんニコチンやアルコールといった体に悪いものも無効化してくれる。

 アルコールに関しては、酔いはするが体に害はないといった感じだ。


 神様は生前の善行を考慮したと言っていた。

 つまり、孤児院への寄付のことだ。

 生前の善行を考慮したとはいったい…… 

 

 そんな二つの力を持たされ、この世界へと無理やり転生させられた。


 

 ついでとばかりに、二人の天使も押し付けられて。


 押し付けられた二人の天使――ハクアとクロエ。

 見た目は人間離れしているほど美しく、スタイルも良い。

 だかハクアはタバコが大好きなヤニカスで、クロエはアル中の疑いのある酒カスだ。

 二人とも三度の飯よりタバコと酒が好きという、天使としてどうなんだ?と言いたくなる人格の持ち主だ。

 

 そんな二人は《無限嗜好品供給むげんしこうひんきょうきゅう》を使える俺に付き従っている。

 二人にとって俺は都合のいい自販機みたいな存在なのだろうが、関係は良好だ。


 ……良好だよな?


 頭を振って嫌な考えを追い出す。


 まあいいさ。

 良好じゃなくとも、二人は俺の命を脅かす行動はとれない。

 神様がそう言っていた。

 二人は俺に危害を加えないが、俺が二人の命を脅かすのならその限りではないと。

 ……俺にこの二人を殺せるのか?

 

 実際二人の戦闘力は常軌を逸している。

 あまり思い出したくない光景を多く見てきたのでこの話はもうおしまいにしたい。

 

「――んん~。おはよぉ!」

「やっと起きたか」

「そろそろお昼かな~、と思ってね~」


 ググッと体を伸ばしながらクロエが起きた。

 

 空を見上げて太陽の位置を確認すると、確かにそろそろお昼の時間だ。

 如何せんこの世界は時計というものが存在しないので、太陽の位置でおおよその時間を把握するしかない。

 今は太陽が丁度頭上にいるので、正午近くで間違いないだろう。


「カールさん。そろそろお昼にしませんか?」

「そうしますか。魔物にも遭遇しませんでしたし、この調子ですと夕暮れまでには街に着きますね」


 どうやら次の街はもうすぐのようだ。


 馬車を一旦街道の端へ止め、ハクアが昼食の準備を始める。


 ハクアは家事全般が得意という意外な一面がある。

 俺の《無限嗜好品供給むげんしこうひんきょうきゅう》から出した調味料を駆使して、異世界産の食べ物を絶品な料理へと仕上げてくれる。


 そんなわけで今日もハクアの飯はうまい。

 異世界産の材料で再現したカレーだ。

 米はないので、ナンで食べる。


「うめ うめ うめ」ガツガツ

「クロエ。あんまりがっつくと喉に詰まるぞ」

「いやいやいやいや! 相変わらずハクア殿の料理は絶品ですな! いったいどこでこの料理を知ったのですか?」


 俺を含めた三人がガツガツとカレーを食べ進めていく。

 たしかに俺の記憶にあるカレーと同じ味だし、しかも滅茶苦茶美味い。

 スパイスが効いていて辛いが、辛さの奥に確かな旨味を感じるし、肉はホロホロで野菜の甘味や旨味がスープに溶け出ている。

 あまりの旨さに手が止まらない。

 正直米で食べたい逸品だ。

 

 ナンで器に残ったカレーを全て集めて口へ運ぶ。


「私が作ったのですから当然です」

 

 ハクアが得意げにタバコの煙を吐き出し、ドヤ顔を浮かべる。

 調理中ですらタバコを吸っているハクアに最初の頃は注意をしていた。

 本人は魔法でタバコの灰が入らないようにしているとは言っていたが、気分的な問題もある。

 とはいえ、あくまでも気分的な問題なので、こう毎回美味い食事を出されると何も言えない。

 

 俺はハクアに胃袋を掴まれているのかもしれない

 

 昼食を食べ終わり、再び馬車が街道を進んでいると――



 何台もの馬車が止まっているのが見えた。


「おや?」


 その様子にカールさんも首を傾げる。


「ここが街……というわけではないですよね?」

「もちろんですとも。この先の山にトンネルがありまして、そこを抜けると目的の街がありますが……ここで馬車を止める理由はないはずです」

「なるほど。では何かしらのトラブルの可能性もありますね」


 何かしら問題が起きているのなら近付けばわかるだろうということで、そのまま馬車を進ませ集団へと合流する。


 ◇


「トンネルが通れない?」


 その場で待機していた他の商人にはカールさんが、俺は冒険者へそれぞれ話を聞に行くと、そんな言葉が返ってきた。


「ああ。この先にあるトンネルの入口に、デカイゴーレムが居座ってるんだ」

「デカイゴーレム……」


 ゴーレムって何だっけ?

 えーっと、待てよ。

 たしかファンタジーとかそういうのにいた気がする。

 いくつかの死体を繋ぎ合わせる――これはフランケンシュタインだな。


 …………よし。


「ハクア」

「……ゴーレムとは魔石を動力とした非生物系の魔物です。基本的には体が岩でできており、上位種には鉄や鋼、アダマンタイトを有した個体も存在します」

「なるほど。ありがとう」


 つまりデカくて動く岩が入口を塞いでいるというわけか。

 それならば倒してしまえばいいのでは?


「魔物なら倒せばいいだろうに」

「バカ言うな。ただでさえゴーレムは剣が効かないんだ。破壊力のある魔法か、それに似た武器でもないと倒せないんだよ。それに馬車より大きいんだぞ? 無理に決まってる」

「俺らは迂回して行くから、アンタらも護衛主を説得して街に戻りな」


 そういうと冒険者たちは森のへと向かった。


「まいったな……」


 俺たちも迂回、といきたいところだが。

 街道の左右は森になっているので、馬車が通れる隙間はない。

 道もこの街道一本しかないらしく、目的の街へ向かうには、道を引き返して大きく迂回しなければならない。



 カールさんとすぐに合流し、商人たちの話を聞いたが、答えは同じだという。


「……はぁ。一応、待機している商人たちがハジマリノマチーの冒険者ギルドへ討伐の依頼は出されたようです。ここで待つのなら討伐費用を分担しなければならないそうです」

「別にここで待たなくても、少し戻って問題が解決したら進めばいいんじゃないの〜? お金もったいないでしょ」

「クロエ殿……そんなことすれば、商人ギルドから目をつけられてしまいます。申し訳ないのですが、ここで待機してもいいでしょうか? もちろんその間の護衛費もお渡しします」

「それなら仕方ないで(トントン)すね。ん? なんだハクア」


 ハクアが俺の肩を叩くので振り返ると――



「私がいますよ」



 そう言って、バールを片手にサムズアップするハクアがいた。

コイツラ物理で何でも解決できるから問題起きてもすぐ解決できるのほんと……作者ああああ!

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アル中の「疑い」………?
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