第三十四話【武闘大会開催式】
うん、あめは普通に店から出て来た。
「‥‥‥ひろとくん、お待たせ」
「ああ、長く待ちすぎて体中に苔が生えて来るかと思ったわ」
あめは「‥‥‥そうなんだ、あ、はいこれ」と言ってネックレスをビニール袋から取り出すと、俺に差し出す。
おーん、俺の冗談を軽く流しおった。
しかもめちゃくちゃ真顔だったぞ。
「おう、さんきゅー。で、あめは何を買ったんだ?」
大体予想はつくが、一応気になるので聞いてみる。
するとあめは首を横に振って、「‥‥‥内緒」とだけ答えた。
まあ俺が良いと言った物を自分から見せるのは恥ずかしいだろうし普通の反応か。
いずれ付けるだろうから、その時まで気長に待っておこう。
その後、まだ大会まではかなり時間が残っている為、俺達は教会に行くことにした。
何故かって?
あめに回復魔法を覚えさせる為である。
この世界では、MPと魔法防御の数値によって覚えられるサイズが変わって来るからな。
因みに今のあめは回復魔法(大)まで覚えている。
これを習得したのがかなり前だから、今はもっと大きいのが行けると思う。
鉄さんが仲間になる前は、別に回復魔法とか回復薬とか必要なかったけど、やっぱり近距離で戦う人がいるだけで必要になってくるよね。
俺達は会話をしながらも大通りを歩いて行き、教会を探した。
すると、コロシアムドームの更に向こうへ行った所に、それらしい建物がある。
てっぺんに十字架があるので間違いないだろう。
「よし、行くか!」
「‥‥‥ん」
「恐らく俺くらいのMPと魔法防御力になれば、(大)の上の(超)くらいまで覚えられるだろ?」
「‥‥‥うん、多分(小)も無理だと思う」
教会の扉を開ける前に、自信満々で言ってみるとあめは頷きながら返答してきた。
おーーーん?
「なんでだ?」
「‥‥‥まず、ひろとくんの最大MPを教えて?」
「えーっと、多分10だな」
「‥‥‥次に魔法防御は?」
「多分10」
「‥‥‥つまり、始まりの街の教会で覚えられなかった時の数値と同じだよね?」
「あー確かにな。でもさ、レベルが上がったからもしかしたら行けるかもしれないぜ?」
「‥‥‥」
「うん、だから行ってみる!」
「‥‥‥」
という事で他のプレイヤーもいる中、俺とあめは教会の神官さんの元に向かう。
より強力な回復魔法を求めて。
──結果。
「あめ、どこまで覚えられたんだ?」
教会を出て、大通りに入った所で尋ねてみた。
「‥‥‥(大)の一つ上の(超)まで覚えれたよ。‥‥‥ひろとくんは?」
あめは俺の質問に答えるとそのまま聞き返して来た。
はぁ~、仕方ないから教えてやるか。
「うん。あなたにはまだ覚える資格がありません。出直しなさい。って言われたわ」
「‥‥‥ぷっ、ん‥‥‥知ってる。ふふ」
なんだねその馬鹿にした様な笑いは?
「あの神官のせいでまた数人のプレイヤーに笑われたわ」
「‥‥‥あれは流石に恥ずかしかったね。だって覚える資格が無いって‥‥‥ふふっ。ほぼ全員が持っている(小)すら覚えれないって事だもん」
「まあ俺にはちょっと早すぎたのかもな。もう少しレベルが上がってからにするわ」
「‥‥‥ん。そうしよ」
にしてもあの神官だけは、二度も恥をかかせおって‥‥‥一度懲らしめんとおえんのぉ。
「さてと、そろそろいいくらいの時間になったしカジノに戻ってみるか?」
「‥‥‥うん、分かった」
俺とあめはそう会話をすると、カジノの方向へ歩き出した。
よく見るともうほとんど日が落ちていて、街灯の火がよく目立つ。
「なあ、手を繋がないか?」
「‥‥‥えっ!?」
暗くて人が多いのではぐれそうだと思った為不意にそう聞いてみると、あめは変な声を出した。
「なんだ? そのえっ!? て」
「‥‥‥ごめん、突然言ってくるからビックリしちゃって」
「おぉ、それはすまんな。でもこれだけ人が多かったら迷子になりそうだし、繋ごうぜ?」
「‥‥‥い、いいけど。人が多くてちょっと‥‥‥恥ずかしい」
「別に知り合いもいないし、大丈夫だろ」
てか、手を繋ぐくらいで恥ずかしいって‥‥‥今更感が半端じゃない。
一緒のベッドで寝る事に比べたら、明らかに軽いと思うぞ?
そう思ったので、俺は自分からあめの手を取ると横に並んで歩き出した。
「そういえばさ、俺達って手を繋いで歩いた事‥‥‥今までであったかな?」
「‥‥‥ううん。多分無かったと思う」
「やっぱりか、なんか新鮮な感じがする」
「‥‥‥そう‥‥‥だね」
おんぶやら、食べ物を食べさせて貰ったりやら、同じベッドで抱きしめたり等はしたけど、手を繋ぐという知らない人同士でも出来そうな事をまだやって無かったんだな。
こう言うのも案外いいかも。
なんかさ、友達って感じが強くするわ。
結局俺とあめはカジノの建物に入る直前まで手を繋いでいた。
大きめの扉を開けて中に入ると、カウンターに鉄さんがいる。
NPCの店員と話している事からして、コインをゴールドに清算しているっぽいな。
「おーい、鉄さん?」
少し大きめの声でそう呼んでみると、鉄さんはNPCからゴールドが入っているであろう布の袋を受け取りながら振り向く。
「あ、二人とも‥‥‥どこに行ってたの?」
「いや、普通にスロットが当たらなかったから二人で他の所に行って時間を潰してた」
「えっ、そうだったの。‥‥‥雪奈さん、待たせてごめんね」
「‥‥‥あ、ううん。大丈夫」
なんであめにだけ謝るのかは知らんが。
「でさ、結局どのくらい稼げたの?」
「えーっと、始めてすぐに7が揃って、そのまま他のもずっと当たり続けてたから総合で40000Gくらいかな」
40000Gって、俺達の装備を全部揃えてもお釣りがくるレベルじゃねぇか。
そんな額をさっきの時間で稼いだのかよ。
「そ、そりゃー凄いな」
「でしょ? で、中々終わりそうに無かったから途中で止めて来たんだけど」
「あー、勿体無い」
俺なら当たり続けている限りずっとやっているな。
だってそういう状況になる確率ってほとんど無いんだもん。
「勿体無いって言われても、そろそろ武闘大会が始まる時間でしょ? 申込書を出しているから遅れたらいけないし、それにあまり雪奈さんを待たせない方がいいと思って止めたのよ」
カジノの扉を開けて建物の外に出ながらそんな事を呟いた。
「おいおい、俺は待たせてもいいのかよ?」
「ええ、大丈夫よ」
よくねぇよ!?
俺‥‥‥一応人間だからな?
「まあいいや。で、そのゴールドはどうする?」
「特に使い道も無いし、この三人の物にすればいいわよ?」
「おぉ、それはありがたい」
「‥‥‥ありがとう」
俺とあめはカジノの扉をしめている鉄さんの方を振り向き、同時にお礼を言った。
装備品は全員分買い揃えたけど、ゴールドがあって損する事は無いと思う。
鉄さんに感謝しないとな。
「そう言われると照れるわね。よし、じゃあコロシアムドームに向かいましょ?」
「おう」
「‥‥‥ん」
そう会話をすると、俺達三人は大通りを歩いて武闘大会が開催されるコロシアムドームという建物へと向かった。
因みに外はもう真っ暗だ。
月明りもそこまで明るい訳では無いので、もし建物や街灯の火が消えたら何も見えなくなるレベル。
しばらく行くと、先ほど申込書を出した時とはまるで雰囲気の違うコロシアムドームが見えて来た。
何て言うんだろう、なんか賑やかで明るい。
建物の外にも人がいて、話し声がたくさん聞こえて来る。
「ここにいる人たちって‥‥‥全員観客とかかな?」
俺はそんな迫力のある光景を見つめて、横を歩いている二人に質問してみた。
「‥‥‥武闘大会に参加するプレイヤーは中で準備とかがあるはずだから、外にいる人たちはそうだと思う」
なるほどね。
やっぱりあめは頭がいいな。だって常に物事を冷静に考えれているもん。
ゾンビ系の魔物を見るとすぐに、きゃー! とか叫ぶ女子とは大違いだわ。
「となると私達も、もう中に入っていた方がいいのかな?」
「おう、色々作戦とか練っておきたいし入ろう」
俺達は人混みをかき分けながら、建物の中へと進んで行く。
すると入ってすぐの所に複数の言語で文字が書かれている張り紙があり、【武闘大会参加者はこちらへどうぞ】と表示されているので、早速向かってみた。
曲がり角を曲がると、まず最初に大きめの通路がある。
そして一番奥には、かなり大きな扉があるのであそこが参加者が集合する場所だろう。
なんか扉の前に二人の男性NPCがいるけど、本物の参加者かどうか確かめているのかな?
今現在扉の中に入って行く四人パーティーがいるけど、何かをNPCに見せている様な素振りは無かったな。
つまり向こう側が何かしらの手段で本人かどうか判断してくれるのだろう。
まあなんでもいいや。
やがて少し早歩きで扉の前に到着すると、NPCの強面系男性が話しかけて来る。
「コロシアムドーム武闘大会へようこそ。もしあなた方が参加者である場合は申込書を提出したプレイヤーさんが私の目の前に出て来て下さい」
言われた通り、受付に紙を提出した俺が男性の目の前に立ってみた。
「これでどうすればいいんだ?」
「‥‥‥さぁ」
「分からないわ」
首を傾げて悩んでいると、少しの時間が経った後でそのNPCの口が開く。
「認証が完了致しました。ひろってぃーさんのパーティーで間違いないでしょうか? もしそうであればこのままお進みください」
名前が気に食わんが、まあ許してやろう。
このおっさんに喧嘩を売っても勝てる気がせんからな。
顔‥‥‥めちゃくちゃいかついやん。
なまら怖いわ。
てか今の短時間でどうやって確認したんだよ。
申込書を提出した時にはもう俺達の事が登録されていたという事だよな?
もしそうなら、紙に付いた指紋によってプレイヤーを覚えていたのだろうか‥‥‥。
いや、手袋を装備している参加者もいるだろうからそれは無いな。
となると、申込書を渡したあの女性NPCが、参加パーティーのリーダーの目を記憶していて、それによって本人かどうか分かる仕組みなのかね?
まあ詳しい事は分からんが、明らかに無駄な技術を使っているのは間違いないだろう。
俺達三人のパーティーは扉の奥に進む許可を得たので、そのまま中へと入って行く。
まあ~何と言う事でしょう。
見て下さいこの景色。
学校の体育館を思わせる造りの場所に人がびっしりと並んで座っています。
流石参加人数の上限が千人というだけあって、かなり広いです。
そしてこの体育館の様な部屋の奥には大きな扉がある為、そこから戦う場所へと進めるのでしょう。
いや~ん。それにしても凄い人だ。
まだ集合時間まで少しあるけど、かなりの人がいるわ。
「なんか来た順に並んでいるみたいだし、私達もあそこの列の後ろに行きましょ」
「だな」
「‥‥‥ん」
今の所誘導してくれるNPCみたいなのはいなさそうなので勝手に列へと並ぶ。
誘導なしでこれだけ綺麗に列が出来ているという事は‥‥‥参加者の大半が日本人だろ。
HEY JAPANESE ! 几帳面に並んだり、絶対に横入りしないのは日本人特有なんだぜ? (一部例外を除く)
外国だと財布をすられる可能性が高いが、日本の場合そんな事をする奴はいない。(一部例外を除く)
詐欺罪で捕まる議員とかも日本にはいないしな。(一部例外を除く)
誰が誰に投票してもおんなじやおんなじやと思ってー、ヴァッハァァァァァン!! (一部例外を除く)
という事で、俺達ことひろってぃーチームは、列へと並び開始時刻を待った。
「‥‥‥なんか緊張してきた」
「あめもか」
「‥‥‥ひろとくんも?」
「ああ、心臓がバクバクだわ」
「‥‥‥なんか意外」
「おーーん? 意外って何だね?」
「‥‥‥だって、ひろとくんっていつもふざけているから、こういう所でもいつもの自分を保てるイメージがある」
「あ、雪奈さんの言いたい事分かる! 五月雨くんって何があっても笑っていそうよね?」
二人共、何が言いたいんだ?
まるで俺が障害者みたいな言い分だな。
失敬にもほどがあるわ。
「そんな事ないぞー? 俺はちゃんと緊張するし、恥ずかしいって言う気持ちも持ち合わせているからな?」
そう言ってみると、二人は「ん?」みたいな表情でこちらを見て来る。
「ボロボロの初期装備でこの街中を歩いている様な人間がよくそんな事を言えたわね」
「おいおい、初期装備だからって馬鹿には出来んぜ? だって今の所敏捷が全く下がらない唯一の防具なんだから」
「因みに防御力がいくつ上がるのかしら?」
「ゼロだな」
「‥‥‥魔法防御力は?」
「ゼロだな」
小さいサーバーを攻略していた頃、敏捷以外のステータスが全て10だったので、何の数値もプラスされないのだろう。
しかし、よく考えてみろ! 敏捷が下がらないし、体重も上がらないんだぜ?
てかさ、前から思っていたけど‥‥‥体重って最初のステータスを決める時に軽く設定しておいた方が得じゃね?
敏捷に影響するしさ。
いや、でも得では無いのか?
体重が無いと、相手の攻撃を受けた時のノックバックが大きくなるし、体重の掛け方によって物理攻撃の威力を増やす事も出来る。
となると、魔物に近づかない事前提の俺は、軽くしておいた方が良かったという結論になる。
‥‥‥おーん。
マジであめの体重になりたいわ。
だって敏捷極振りの俺が体重三キロとかなったら、もう空を飛びかねないレベルで動けると思うぞ?
まあ、今更やり直すのは勘弁だわ。
流石にやる気が起きなくなる。
「うん、少なくとも私にとっては馬鹿に出来る装備だわ」
「そうか。でもそれぞれのステータスの振り方によって、装備の価値観だったりというものが一人一人変わって来るし、それはそれでいいと思うぞ」
俺は優しい大人なので、素直に鉄さんの意見も認めた。
「この人‥‥‥急に真面目な顔をしだしたわ」
「‥‥‥ひろとくんはそういう人間だから仕方ない」
せっかく意見を尊重してやったのに、呆れた様な顔を向けて来てやがる。
仕方が無いので、話題を変えてやるか。
「まあ、とりあえず、周りに聞こえない程度の喋り声で、今日の武闘大会での作戦を考えようぜ」
「そうね」
「‥‥‥ん」
そう会話をして少し周りを確認してみると、他のいくつかのパーティーも小声でひそひそ話をしている。
恐らく俺達と同じ様に、チームでの戦い方を話し合っているのだろう。
「まず最初に俺とあめはいつも通りのおんぶ戦法で良い?」
「‥‥‥えっ、ここでもやるの?」
恥ずかしいのかね?
「ああ、やるぞ? 人に見られるのとか今更だし、案外人間って他人の事は気にならないものなんだぜ?」
その時は気になっても、二、三日したら自然と忘れていくしな。
「‥‥‥それはそうだけどさ、この大会って結構な観客がいると思うよ?」
「構わん」
「‥‥‥」
あめは若干諦めた様な顔をしている。
「うん、次に鉄さんだが‥‥‥壁役以外無いよな?」
「ええ。レベルが20の頃って言ったら、まだ攻撃力をそんなに上げて無かった時だから、ろくにダメージを与えられないと思う」
そういえばそうだな。
鉄さんが極端に攻撃力を上げたのって、海辺の町の近くにある岩場を上ってしばらく行った所にある洞窟付近でレベルを上げた時だもんな。
ルール上レベルが20に戻されるという事は、その時のステータスの数値で戦わないといけない。
つまり鉄さんの攻撃力は絶望的に低いという事になる。
となると壁役以外成り立たないのだ。
「てかさ、今思ったけど‥‥‥この大会って出場者が千人くらいいるよな? かなり時間がかからないか?」
「あー確かに。二組同士で勝負していったら確実に一週間くらいかかるとと思うわ」
「‥‥‥という事は、最初にたくさん減らすパターン?」
あめさんや。中々分かっておるのぉ。
「多分そうだと思うぞ」
予想では50人ずつくらい一緒に戦って、残った一人のプレイヤーが所属しているパーティーのみトーナメントに出場可能。
まあ、あくまで予想だから違うとは思うけどな。
うん、違うよな?
俺達はのんびりと開催時刻を待った。
レベル20になったら敏捷の数値がどのくらいまで下がるのかな~とか計算しながら待った。
しばらくして‥‥‥。
『えーっ、参加者の皆様お待たせしました。本日はこの大会に参加していただき誠にありがとうございます。早速ですが今から武闘大会の開催式を始めたいと思います』
関係者以外立ち入り禁止みたいな雰囲気の小さい扉からセクシーな女性のNPCが出て来ると、ステージの上がり周りを数回見渡した後マイクを持ってそう言った。
「お、やっと始まるな」
「‥‥‥ん」
『まず最初にいくつか説明をさせていただきます。最初にルールのご確認で、残りHPが1になった瞬間に自動でここの準備室にワープするプログラムが組まれているのでご理解ください。
因みにHPが0になり死んでしまう事は無いのでご安心して戦いに集中出来ます。
次にレベルについてですが、20以上ある人は20に固定。20以下の人はそのレベルでのご参加となります。開催式が終わった後にレベルを固定する為の腕輪を付けていただきますのでご了承ください。
またこの腕輪はコロシアムドームから外に出るまでは外せない仕組みとなっていて、腕輪を外しての参加は不可能となっております。
最後に装備品について、参加者は全員初期装備に着替えていただき、お貸し出来る武器や盾は一人に付き二つまでで、木の剣、木の杖、木の槍、木の斧、木の槍、木の爪、木の弓、木の盾の中からご選びください。以上で説明を終了致します』
その後、セクシーな女性NPCが禁止事項等を話して行った。
俺達を含めた参加者約千人は黙ってルールを理解していく。
途中でのパーティー変更は禁止。
指輪や、レベル制限の為に支給される腕輪の使用以外は禁止。
支給される装備品以外の使用は禁止。
まあ大体こんな感じかな?
使ったらいけないスキルも無いみたいだし、俺の場合は空中移動が使い放題だぜ。
『これにて開催式を終了致します。では今からこちらの従業員が参加者の皆様全員にレベル制限の腕輪を付けていきますので、抵抗はお控え頂けます様お願いします。腕輪を付けたプレイヤーから、右手に見える更衣室で初期装備へとお着替えください』
セクシーな女性は軽くお辞儀をした後で、マイクをステージの台座に戻しそのまま小さい扉へと戻って行った。
それから数秒後、その関係者以外立ち入り禁止の扉から約二十人ほどのNPCが出て来る。
俺達は一人一人、並んだ状態で待った。
うん、あのNPC達‥‥‥効率がいいな。
今疑問に思ったんだけどさ、このゲームのNPCって普通のゲームよりも高性能じゃないか?
パソコンのオンラインゲームのNPCは、どこにプレイヤーがいるとか、プレイヤーの腕がどこにあるとか分からないよな?
となると‥‥‥あれか、このNPC一体一体に人口知能でも搭載されているのかね?
もしそうなら、これを作った製作者‥‥‥かなり凄いな。
素直に尊敬するわ。
しばらくして‥‥‥。
男性NPCが腕輪を付けてくれた。
うん、付けてくれてありがとよ。
感謝の気持ちでいっぱいだぜ、男性さんよ。
‥‥‥女性の方に付けて欲しかったとかじゃないからな?
読んでくださってありがとうございます。




