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最強魔女さんの混沌とした日常  作者: クリオネ
第一章
8/108

7話 不良は成敗

本日3本目です。ご注意ください


「あ、謝まったじゃないですか! 子供達も怖がっています! これ以上何かするのであればこの私、リサーナ=メルガスの名において許しはしませんよ!」


 あっれぇ? 第三王女様じゃ無いですか......

 こんなとこで何やってるの......


「へっ! アンタが醜女リサーナかよ、丁度いいや。お前を誘拐して身代金をもぎ取ってやらァ」


 4人の小悪党のうち1人がそんなことを言った。

 頭悪そうだなぁ、王女様誘拐とか無謀すぎるし超ハイリスクハイリターンだな。

 命よりもお金が欲しいなら釣り合うだろうけど。


「リサーナの姉ちゃん大丈夫かよぉ」

「うっ、ぐす、危ないよぉ」

「びぇぇぇぇぇん!」


 第三王女様の後ろには3人の子供が小さくなって第三王女様を心配している。


「だ、大丈夫です! 私に任せておいてくだしゃい!」


 うわ、噛んでるし震えてるし......

 見るからにダメなパターンじゃん。


「えー、俺らが悪いことしてるみたいじゃーん? 悪いことしたのはそっちだろぉ? 人のズボンにアイスなんてこぼしやがってよぉ」


 うっわぁ、下らねー。ザ・小物って感じの小悪党だな。


「で、ですから、その件に関してはもう謝罪したではありませんか!」

「謝って済むならいいんだけどねぇ? このズボン高級品なんだよねぇ?」

「お金ならお支払いします! 何度もそう言ってるじゃないですか! これ以上の説明や謝罪は不要です! 不敬罪として訴えますよ!」


 それっぽいこと言ってるけど目も泳いでるしめちゃくちゃ汗かいて震えながらじゃ、あんまり怖くないなぁ。


「いつまでも強がりやがって、醜女は醜女らしく子供産むために働けっての!」


 一番大柄な男が第三王女様の腕を縛り上げる。


「なっ! やめ、離しなさっ、やめて......」


 第三王女様が恐怖で泣き出してしまった。

 流石にこれ以上傍観者でいるのは罪悪感が浮かんでくる。それと第三王女様を捕まえてる男の発言に対してイラッとしたから助けに入ろう。


「女の子に手を上げるとはジェントルのやる事じゃないですよ?」


 フードを深く被って顔が見えないようにして近付く。


「てめぇ、誰だよ!?」


「通りすがりの一般人ですよ」


 おお! 詐称スキルがめちゃくちゃかっこいいこと言ってくれた! 通りすがりの〇〇って言ってみたかったんだよね!


「うるせぇ、引っ込んでろや」


 そう言って小さい子分みたいなやつがナイフをチラつかせて脅すように近づく。


「に、逃げてください!」


 第三王女も私に気付いて自分のことよりも心配している。なんとも大物な人物だ。


「見られたからには仕方ねぇよな。死ねぇ!」


 ナイフで心臓目掛けて刺突のように突き出してくる。

 それにしてもスローに見えるくらい遅いぞ。


「ほいっ」


 それを軽く避けて横から軽く平手打ちをする。

 すると......


「ぎゃぁぁぁぁぁ!?!?」


 物凄い勢いで体を捻りながら壁にめり込んだ。

 ちなみになんとか生きてはいる。早く助けないと死にそうだ。


 ――弱すぎないか?


 もしかして、もしかしなくてもレベル148ってぶっ飛んでるのかな......


「ゴウテル!」


 あ、子分一号はゴウテルって名前なんだ。


「早く助けないと死んじゃうよ?」

「な、お前......お前何者だよ......ちくしょう! ゴウテルの仇!」


 なんか3人一気にかかってきた。

 第三王女様を捕まえてたやつも来たので第三王女様は子供達と一緒にこちらを恐怖と安堵の中間のような目でこちらを見ている。

 そりゃ、急に人を壁にめり込ませるなんてやつが現れたら誰でも驚くよね。

 実際私でも驚いてるくらいだし......


 思いっ切り手加減したはずなのにあれだけ吹き飛ばされちゃちょっと困る。


 そんなことを考えながらも相手はこちらへ憤怒の形相で襲いかかってくる。


 でも、遅い。


「えい」


「ひん!」

「ぎゃっ!」

「あべしゅ!」


 3人にそれぞれデコピンすると三者三様の悲鳴を上げて後頭部から地面に体を後ろ反らしながら倒れる。


 これ多分本気でデコピンしたら頭吹き飛びそうだな......


 手加減とかそんなスキル覚えたくなってきた。


 4人がそれぞれ倒されてアイテムボックスから麻縄を取り出してそこら辺に吊るしておく。ゴウテル君はちゃんと瀕死の状態で吊るしてある。


「うーん、弱いな」


 そんな感じで独り言を言っていたら第三王女様が近付いてきて


「あ、あの、お助けいただきありがとうございます」


 王族にしては腰が低くないか?

 そんなに簡単に頭下げたりしちゃっていいのだろうか


「いえいえ、通りすがっただけですので」


 まぁ、本当に通りすがりなんだよね。


「ローブの姉ちゃんすごいな!」

「ローブのお姉ちゃん助けてくれてありがと!」

「あ、ありがとうございます!」


 子供たちからも賞賛されてしまった。

 えへへ、なんだが照れるな。


「これからは気を付けてね。またアイス食べたいならこれで買うといいさ」


 そう言って300ゴールドほど渡す。

 アイスなら1人100ゴールドくらいだろうし。


「そ、そんなに!? い、いえ、受け取れません! 助けてもらった上にお恵みまで......」


 え? そんなに多いのかな?

 価値観がよくわからない。300ゴールドって300円くらいじゃないの?

 あ、そう言えば宿屋一泊が五ゴールドだったもんな。まぁ、ここは田舎者だと思われたくないのでゴリ押そう。


「ご遠慮なさらずに。子供達だってアイス食べたそうにしているじゃないですか」

「300ゴールドじゃアイスを100個買えてしまいます......」



「え?」


「え?」



 一瞬の沈黙。

 子供達も空気を読んで黙ってる。いい子達じゃないか。


「アイスって1個いくらですか......」


「じゅう!」

「銅貨10枚ですよ」

「銅貨10枚だっ!」

「知らなかったのですね」


 子供達と第三王女様に笑われてしまった。


 え? 銅貨? ゴールドが単位じゃないの!?

 やばい、全然わからん。


「ゴールドって金貨のことですよ」


 再び第三王女様に笑われてしまった。


 さっきから思っていたのだが第三王女様は全然醜女なんかじゃないと思うんだよね。

 むしろ愛嬌があるし可愛いと思うのだが。私、レズっ気無いけど男だったら普通に恋してるレベルの可愛さだよこれ。


 と言うかそうなると私は金貨二万五千枚も貰ったのか......確認なんて一切せずにアイテムボックスに詰め込んだから正直驚いている。そう言えば受付嬢さんもずっと口開けてたしなぁ......


「そうなんですか。すみません、始めて田舎から出てきたもので」

「自給自足の素晴らしいところだったのかしらね、見習いたいですわ」


 田舎を馬鹿にされてるような言い方だが第三王女様は決してそんな雰囲気ではなく心から思っているのだと表情でわかる。


「あっ、失礼しました。自己紹介が遅れましたね、私リサーナ=メルガスと申します。メルガス家の第三王女でございます」

「知っていますよ第三王女様。どうして、こんなところに?」


 ようやく本題と言うか経緯を教えてもらえた。

 こんな所で油売ってないで早く宿決めないと正直野宿になりそうだ。


 子供達がアイスを小悪党達の1人にこぼしてしまい、それを小悪党達が大事にしたらしい。簡潔に説明するとこんな感じだな。


「災難でしたね。では子供達にアイスを買いに行きましょうか。私が払いますよ」

「い、いえ! 私が支払いますし大丈夫です!」


 ここら辺は王族だからお金のことは心配無いのだろうか? そう言えばこの子達は第三王女様の子供じゃないだろうにどういう関係なんだろうか。


「あっ......」

「どうなされましたか?」

「い、いえ、別にお財布を落としたとかそんなことでは断じてないです。大丈夫ですよ。えぇ、全然問題ありませんよ」


 目が泳いでいてめちゃくちゃ焦っているのが丸わかりでなんだか可愛い。


「お気になさらず。ここは私から子供達にプレゼントですから」


「わーい!」

「ローブのお姉ちゃん好きー!」

「ありがとうございます!」


 なんとなく察したがこの子達は孤児院とかの子だろう。第三王女様が時々城下町に降りてきているとか聞いていたがボランティア活動とはね。いい子だ。


「お恥ずかしいところを、すみません......」


 路地から出てアイスの露店に子供達に手を引かれて歩く。まだフードを被っているので一応誰かはわからないようにしている。


「おや、リサーナ様! どうかなさったんですかい?」

「ま、またアイスを買いに......」


「おじちゃんアイスー!」

「アイスー」

「アイスくーださい!」


 第三王女様が言い切る前に子供達が前に出る。

ついでに私も食べようかな。


「アイス五つ、下さいな」


「ん? リサーナ様の連れかい? あいよ。ニーナ、ケビン、セイラ。零すなよ!フードの姉ちゃん、ほらよ」

「お代はこちらに置いておきますね」


 金貨1枚を置いておく。

「お、おぉ、ありがとうよ!」


 アイスのオジサンもなかなかいい人そうだね。特に聞いてこない辺り。一々聞かれると説明がめんどくさいんだよね。


「第三王......リサーナ様もどうぞ」


 危ない危ない。第三王女様に第三王女様なんて言ったら失礼だよね。


「えっ、私まで......ありがとうございます」


 何か言いたそうだったけど今はアイス優先だ。


 さて、私も異世界初の食事と言うか食べ物だ。

 子供達と第三王女様と一緒に側にあったベンチに座って食べる。


パクッ。もくもぐ。


 うん、控えめに言って美味しくないな。

 なんて言うか小学校の頃戦争時の体験をしようって言って体験授業で飲んだ脱脂粉乳みたいな味がする。


 でも子供達も第三王女様も美味しそうに食べてるので正直に不味いとは言わず子供達にあげることにした。


「お口に、合いませんでしたか?」

「いや、美味しかったですよ。ただお腹がいっぱいなので」


 詐称スキルがそろそろ限界に近い気がしてきたよ......

 丸2日何も食べてないのにピンピンしてるけどこれもレベルが高いからなのかな?


「そうですか......あ、あの!」

「はい、何でしょうか?」


 そろそろお暇したいのだけどなぁ......

 夕日に差し掛かってるし宿とれないと野宿になっちゃうんだよねぇ。

 第三王女様は深呼吸して意を決した表情で言った。



「お、お城に来ませんか!?」


 そんな鬼気迫る表情で迫られると怖いんですけど......

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