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最強魔女さんの混沌とした日常  作者: クリオネ
第一章
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6話 ギルドと美人受付嬢

本日2話目です。


「入行証も個人証明書も無い!? 帰れ、帰れ! そんな怪しいやつ入れられるわけないだろう!」


 早速詰んだんですけど。

 別に! こんな所から入らなくても普通に壁よじ登って行けば入れますし! いいもんいいもん!

 そんな時再び後ろから声をかけられる。


「おっと嬢ちゃん、早く馬車に乗りなよ。先に行かれちゃ困るぜ。衛兵さんすんませんね。俺んところの客なんで」


 お、オジサン......!

 オジサンはそう言ってオジサンの個人証明書を衛兵に見せる。


「そ、そうか、アルテナ商会の客か。なら入ってよし。次からは入行証か個人証明書を持ってくるように。次の方〜!」


 なるほど、入行証か個人証明書が必要なのか。どっちも持ってないしな。オジサンに助けられたわ。


「この度は何度もお世話になって......ありがとうございます! 」

「ハハッ、いいってことよ! 俺にも嬢ちゃんと同い年くらいの娘がいるんでね。じゃ、俺は商会に行くんでな、嬢ちゃんも達者でなー! あ、冒険者志望ならこのまま真っ直ぐ行ったところにギルドがあるからそこへ行きなよ〜!」


 至れり尽くせり、何から何までお世話になってしまった......

 私は何度も頭を下げて感謝の意を示した。


「ふぅ、問題起こさずに穏便に済ませられてホッとしたよ......次はギルド行けって言ってたね。真っ直ぐ行けばわかるのかな」


 そう言って歩き始めた。



 この街はメルガスの住むであろう大きな城を中心にして広がる城下町と言ったところだろうか。活気に溢れていてなかなかに賑やかだ。

 気候も過ごしやすい温度でローブを着ていても全然暑くない。


「あれがギルドなのか......」


 大きい。前世の東京駅並に大きいぞこれ......


 オジサンに助けて貰ったからね、なるべく問題を起こさないように、関わらないように過ごそう。


 意を決してギルドの扉を潜って中に入る。

 中は予想以上に煌びやかとしていて、荒くれ者だらけのギルドとは全く違った印象を与える。


「すっごい......!」


 外から見た通り、中も物凄く広い。

 正面に受付があり向かって左に商店が少し並んでいる。ギルド直売所みたいなやつだろうか。

 右にはギルドの定番、酒場がある!

 まだ昼間だがそこでは既に飲み始めている人達が大量にいた。ムキムキのマッチョや、魔法使いだろうかなよなよした男もいれば、アマゾネスみたいな女戦士も一緒になって飲んでいる。

 すごく賑やかで私も混ざりたくなってくる。

 そんな事を考えていたら後ろから声をかけられた。


「おい、新人か? 邪魔だ、そこをどけ」


 びっくりして振り返ると5人パーティの男女が立っていた。酒場の方がザワザワとしていて、何やら「おい、SSランクの奴らだ!」「あー、新人がまた1人潰されちゃうのか」「相変わらずガルス様はクールで素敵だわ!」だの言っている。

 SSランク? 冒険者ランクってやつかな?

 そんな事を考え始めていたら、


「早くどけ」


 リーダーらしき人が再び低い声で言った。


「あ、ご、ごめんなさい」


 ぺこりと頭を下げて道を開けるがリーダーらしき人はこちらをジッと見つめたまま動かない。


「おい、お前新人か?」


 また同じ質問だ。答えなかったから動かないのだろうか? 正直めんどくさいタイプの人間だな。


「あ、はい。今日始めてここに来ました」

「そうか」


 そう一言言うと、こちらをキッと睨むと受付の方へ歩いていった。

 仲間の一人がこちらへ近付いてきて小声で何やら話してくれた。


「あなたレベル何なの? 私達のリーダーの威圧を真正面から受けて立っているなんて凄いわね、始めて来たなんて嘘よね?」


 そう言うとその人も受付の方へ行ってしまった。嘘なんて言ってないんだけどね。

 やっぱりあの人リーダーだったか。

それにしても威圧? そんなもの感じなかったな......


 受付があの冒険者がいて近付きにくいのでしばらくギルドの散策をしようかと思う。

 酒場の奥にまだ空間があったのでそこへちょっと行ってみる。


「宿屋?」

「お客かい? ここはギルド直営の宿屋で飯もベッドも良質なもんだよ! 1泊5ゴールドからだね!」


 なるほど、それなりにお高めなのかな?

 この世界の通貨単位はゴールドなのかな。この世界の事、何も知らないや。

 そもそも私お金持ってないしな。RPGみたいに魔物を倒すとお金も落とすわけじゃ無さそうだ。


 次はギルド直売所の近くにある掲示板を見に行く。

 巨大な掲示板に色々と張り紙がしてあった。


「文字は......なんだこれ?」


 数字や絵がポップに描かれているので、なんとなくでなら内容はわかるが、肝心の文字が読めない。

 言葉は通じているので気にしなくてもいいかな。


「魔女を殺す依頼......? なんか複雑だなぁ」


 かなり高額に見える数字が並んでいる。絵はいかにも悪そうな魔女が悪さをしているようにも見える。

 同業者としては心苦しいのだが悪い魔女と割り切って色々と眺める。

 おや、高額買取素材一覧とかあるのか。


 素材の横に買取金額のような数字が上に行くにつれて大きくなっているので、恐らくそうだろう。

 ちなみに一番高額な素材は結構な量を持っていた。


 次は2階に上がってみたのだが、そこにはなんだか俺強いですよ。みたいな雰囲気を醸し出している冒険者達がいて近寄りにくかったので、諦めて受付の前の椅子に座って待つことにした。


 しばらくして先ほどの5人組が受付から酒場の方へ向かったので私はやっと受付に行けた。


「お待たせしました。本日はどのようなご用件で?」


 おぉ、まさにテンプレ! 美人受付嬢だよ!

 可愛いなぁ。美人さんだよ美人さん。


「えっと、今日始めて来たんですけど」

「冒険者登録ですか? 登録には銅貨5枚かかりますがよろしいですか?」


 えっ、お金取るの? まじで?


「お金持ってないんですけど......」

「何か売れる物がありましたらそちらを売っていただければこちらで換金いたしますよ」


 そうか、じゃあ早速さっき見た一番高く売れる素材を一つアイテムボックスから取り出す。


「これは......? もしかして、龍の鱗じゃないですか! どこでこれを!?」


 大きな声で食い気味に問いかけてくる。

 もちろんそんな大きな声だったので酒場の方にも聞こえたらしく、先ほどの関わるとめんどくさそうな五人組がこちらへ向かって来ている。

 はぁ、明らかに敵意のような人に向けてはいけないものを私に向けているよ......


「ちょ、声が大きいですって!」

「ご、ごめんなさい! つい興奮しちゃって......」


 反省してくれてももう遅かった。


「龍の鱗とは真か?」


 低い声のめんどくさいリーダーが隣から声をかけてきた。


「あっ、はい。こちらの方が......」


 そう言って受け取った龍の鱗をリーダー男に渡す。


「かなり良質だな......死んだ直後と言ったところか? 貴様、どこでこれを? 事と次第によっては......」


 まぁ、そうなるだろうね。魔王疑惑がかかっているというわけだ。

 どうしよう。内心物凄く焦りながら答える。


「こちらは死の草原での異変を聞いて赴いた時に偶然落ちていたのを見つけて持ってきたのです。傷一つ無かったので売ればお金になると思いまして」


 おお! 詐称スキル強いぞ! そのまま騙し通せ!


「そんな事が信じられるとでも? 本当のことを申せ。貴様が魔王なのだろう? 」


 そう言って腰にかけてある剣に手をかけようとしたところで助け舟が出た。


「ちょ、ちょっと待ちなさい! 落ち着きなさい、ガルス。こんなちんちくりんなのが魔王なわけないでしょう? それに今、龍の鱗が高額買取なのは死の草原近くへ異変を確認しに行った騎士団達が拾ってきたって話もあるでしょう!?」


 先ほど小声で話に来た女戦士っぽい人が私とリーダー男の間に入って止めてくれた。なんか悪口言われてる感じがしたけど今は無視だ。あ、リーダー男はガルスって名前なのか。


「そうか......アルマが言うならそうなんだろう......済まなかった」


 おや、女戦士アルマさんの方には頭が上がらない感じなのかな? まぁ、なんとか助かった。


「いえ、こちらこそ疑われるようなものを出してしまいすみません」


 再びアルマさんがこちらへ近付いてきて、小声で話す。アルマさん美人でイケメンだから女の私でもついドキリとしてしまう。


「ごめんなさいね。話したいことあるから夜、ここに来てくれないかしら?」


 そう言って1枚の紙切れを渡した後アルマさん達は酒場に戻っていった。


「ご、ごめんなさい! 私が大きな声出しちゃったせいで......」

「いえいえ、何事も無かったので大丈夫ですよ。それで、どれくらいで売れますかね?」


 紙切れをポケットにしまいながら売値を聞く。


「こちらが迷惑をかけてしまったので登録代は無料にさせてください。そして、売値の方ですが......」


 おや、ギルドは結構親切だな。どんな世界でも無料と言う響きは嬉しいものがある。


「二万五千ゴールドになりますね」


 二万五千!?

 さっきの宿屋が五ゴールドだから......何泊でも出来るぞ!

 鱗一つでそんなに稼げるのか......逆鱗とかだとどれくらいになるのか......

 まぁ、しばらくの生活費は稼げたから良しとしよう。


「分かりました。それでお願いします」


 内心ビクビクしながら応じる。

 あ、そうだ。アルテナ商会で少し買い物してから帰ろうかな。


 そして二万五千ゴールドを受け取りギルドを後にする。

 二万五千って言うから大量だったのだが、思った以上に軽く出来ていたし、アイテムボックスにひょいひょい入れるだけなので特に不自由なことは無かった。


 なるべく非常識な行動は慎まないとな。また何かに巻き込まれたら嫌だもんな。


 そんな時、裏路地の方で子供の泣く声と女性の声が聞こえた。何やら男性の集団と争い事をしているみたいだ。



 また、何かに巻き込まれたら嫌だもんな......


「やめてください!」

「うるせぇ! 抵抗すんじゃねぇよ!」


 ......。


「少し! そう、少し覗くだけで、問題無いようなら放っておこう!」


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