31
クラス会当日。
私はヤイコたちと会場となる地元のお好み焼き屋に向かった。
「楽しみだねぇ〜」
「皆来るかなぁ」
チヤコとノゾミが楽しそうに話しながら前を歩いている。
私はというと、複雑な気持ちを抱えたままだった。
今日、もし堀内が来たとしても何も出来ないと思うし、どうしたらいいのかも分からない。
好きな気持ちはあるけれど、19歳になった堀内を見ていたわけではない。
こんな気持ちのままで好きだとか思っていいんだろうか。
なんだか足取りが重くなってきてしまった。
「ナーミ!」
そんな私の様子に気が付いたヤイコがそっと声をかけてきた。
「堀内の事でしょ?今日会えるかもしれないから緊張してる?」
ヤイコがニコニコしながら私に言った。
「やっぱさ、変だよね。会ってない間に好きになったとかさ」
苦笑を浮かべる私の頭をヤイコがゲンコツでコツンと叩いた。
「ナミ!何会う前から悩んでるのさ!会うのはこれからでしょ!!」
「でも……」
だって、今更ぢゃん……??
「ナミ勘違いしてない?」
え?
口にへの字を作っている私にヤイコは言った。
「別に堀内の事意識するのはおかしいことでも何でもないんだよ?今は状況違うんだよ?会えるんだよ?気になるなら話しかけて今の堀内の事知ればいいんじゃん!」
は、話しかける!!?
私が堀内に!!!!?
そんなこと考えてもいなかった……
で、でもそんなこと……
「む、無理だよぅ!!!」
一気に心臓がバクバクと暴れだした。
「何弱気になってるんだよ!!それくらいもう出来るでしょ!!」
ヤイコが今度は私の背中をパンと叩いた。
「今日のノルマね!堀内に話しかける!連絡先聞く!この二つ!!」
ヤイコがピースサインをしながら私に課題を出した。
「う…」
会えるだけでも良いと思ってた。
今の堀内を見て気持ちの確認して…
でも確認したとしても、その先は考えてなかった。
もうあの頃とは違うんだ。
毎日教室で会える訳でもないし、見ているだけでは駄目なんだよね。
前に進まなきゃ!
「が、頑張る……」