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昼休み。
松崎先生は校長室で校長先生に事のいきさつを説明していた。
生徒たちは静かに校長室の戸に耳を貼り付けて盗み聞きをしていた。
「と、言うわけなんですが…」
松崎先生もさすがに校長の前では不安そうだ。
見た目は強面な校長。
話を聞いてる最中も表情一つ変えないで眉間にシワを寄せている。
やっぱり、生徒たちの期待には応えられないのか……
そう思ったとき校長が口を開いた。
「あなたはとても良い生徒を持ちましたね」
「はい…?」
見ると校長は笑顔になっていた。
「良いでしょう。生徒たちにはしっかり頼みます」
「いやった〜〜〜!!!!」
その言葉を聴いた瞬間、生徒たちは戸の前で声を上げてしまった。
「あ、やっべ!!シーーーシィーーーーー!!!」
「おや、生徒たちも心配だったようですね」
「す、すいません…」
「君たち!!入ってきなさい!」
校長は戸の向こう側にいた生徒たちを招きいれた。
「し…しつれいしまーーす」
生徒たちは緊張した様子で次々と校長室に入った。
校長の前に整列して並ぶと、キグシャクしながら一礼をした。
「君たちの熱意はとても伝わってきましたよ。とても素晴らしい事ですね。飼い主の方が見つかるまで、ほんのわずかかも知れない。とても長くなるかもしれない。でも責任を持ってしっかりと世話してあげてください」
「はい!!!」
一同は揃って返事をした。
「実はね、本校でも昔、動物の飼育をしていた事があるんですよ。でも、動物たちの寿命が尽きてしまい、それを機に飼育を取りやめていました。その小屋がまだ残っているので、そこを使うと良いでしょう」
「ありがとうございます!!!」
「ちなみに、この提案をしたのはどの生徒かな」
生徒たちを見渡しながら校長が言った。
「ほら、ナミ!!」
ヤイコがコソコソとナミに手を上げろと言わんばかりに言う。
「え…」
ナミは一気に緊張した。
「はいはい!この子です!!!」
ノゾミがナミの背中を押した。
ナミは顔を真っ赤にして一歩前に出た。
「は…はい……」
校長がナミを見た。
「そうですか、君はとても優しい目をしているね。君の提案でクラスが一つにもなった。君はこのクラスでの思い出を一つ増やす事が出来た。素晴らしい意見だったと思うよ」
ナミは照れくさそうにうつむいた。
「はい…ありがとうございます」
他のクラスメイトもうんうんとうなずいていた。
校長は小屋の場所を生徒たちに教えた。
「小屋の場所は、第一グランドの奥にあります」
それを聞いた時、ナミは何かを思った。
そこは…
私は貰った給食で腹を満たし、教室で大人しく待っていた。
生徒たちが戻ってきたのに気がつき、立ち上がった。
「グワッワワ〜!!」
みんな〜〜〜!!!どぉ〜〜だったぁ?????
「おーーい!アヒル〜〜!!お前ここにいられるぞ〜〜!!!」
やったぁ〜〜〜〜!!!!!
チャンス到来!!!!!!
やっと、やっと落ち着けるわ……
これでここにいられる!!!
そうと決まればこっちのもんよぉ!!!!!!
私はまたもナミに熱い眼差しを送った。
「ひぃっ!!!ね。ねぇ、やっぱりあのコ私の事睨んでない……???」