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第1話 唐突だが、皇子になりました


俺は多分、高校生だった。

でも気付いたらそうじゃなかった。


唐突だが、俺は数年前異世界転生を果たした。

少し紫がかった髪に紅い瞳、加えてイケメン転生あざす。


そして今は荒ぶる右腕を抑えている最中だ(?)


「うおぉぉぉぉ!!!今度こそ負けん!たかが右腕一本に負けるかよ!」


今日も魔力が溢れてきたので魔法を出しまくって対処しようとした。ちなみに普通に失敗である。


先ほどこの右腕から出した炎魔法は、雲を突き抜け宇宙に旅立った。


「こ、こいつッ!中々粘るようだが、俺の左腕と両脚のホールドには敵わんだろう!」


魔力の暴走、右腕に収束した魔力がはけ口を求めて荒ぶっている。

消毒液かけられたアニサキスみたいだ、我が腕ながらキモい。


それを俺は全身で止める、ちなみに暴走のたびにこれだ。


普通にふざけるな(憤怒)


「はぁ、はぁ、どうだ…これが人間、俺もやればでき……る、」


この一仕事を終えると、俺の体はすぐにスリープモードに入ってしまう。


そう、まさに空に穴が空いたとでも言うべき威力の魔法を使える俺は、暴走した自分の魔力で、今日も気絶する。


こうなってしまうと思うこともある。

普通の村人にでも転生できたら良かったなぁ……


なんて、贅沢な願いかな?





「リオレ様ー。朝ですよー」


ゆるい声が聞こえて、俺は薄く目を開けた。

視界に映ったのは、見慣れた青空。


……ああ、また気絶してたのか。


「ん……」


体を起こそうとして、全身に鈍い疲労が走る。

昨日の右腕は過去最高クラスだった。


危うく王都を吹き飛ばすところだったぜ……


「また外で寝てたんですか?」


茶髪のメイド、リリアが呆れたように腰に手を当てていた。

その後ろには数人のメイド達。


「あ、本当だー」

「坊ちゃま昨日も中庭でしたよね?」

「最近お気に入りなんですか?」


違うよ?

好きで寝てるわけじゃない。


誰が好き好んで失神するんだよ。


「ふっ……仕方なかったんだ」


俺は静かに右腕を押さえる。


「昨夜は特にヤツの抵抗が激しくてな……」

「はいはい」


「危うく世界の均衡が崩れるところだった」

「朝食できてますよ」


この俺のキモスタイルには理由があるのだが、それ以上に扱いが雑すぎるよね。


俺はゆっくり立ち上がる。


その瞬間、ズドォン!! と遠くで爆発音が響いた。

メイド達が「あっ」と空を見上げる。


王都のはるか上空。

綺麗に雲が吹き飛んでいた。


……昨日の余波かな、違うと良いな(遠い目)


「あー、また魔術塔の実験ですかね?」

「最近多いですよねー」

「迷惑ですよねぇ」


そ、それなぁ?

あいつら節操ないしほんと迷惑〜(震え)


まぁ多分俺だけどね!

だが言えない。


言ったところで誰も信じない。

以前、本当のことを話した時なんて——


『この右腕には古き災厄が封じられている』

『坊ちゃま、そういう設定なんですね!』


で終わった。

悲しかったンゴ。


「リオレ様? どうしました?」

「……いや」


俺は遠い目をした。


「今日も世界は平和だなと思って」

「急にどうしたんです?」


リリアがちょっと引いた顔をした。

それが主人に向ける目なのかい?


すると後ろの新人メイドが、小声で囁く。


「リリア先輩……坊ちゃまって昔からああなんですか?」

「はい。自由な方なんです」

「自由ってレベルかなぁ……」


聞こえてるよ?

俺は静かに右腕を見下ろした。


今は大人しい。

だが分かる。


こいつは近いうち、また暴れる。

その時までにもっと制御を——


グゥゥゥゥ。


「…………」


腹が鳴った。

リリアがふっと笑う。


「まずは朝食ですね、世界を救う前に」

「……うるさい」


「ではリオレ様、こちらを」


リリアがすっと差し出してきたのは、湯気の立つスープだった。

どうやらわざわざ中庭まで持ってきてくれたらしい。


メイドたちがキビキビと動き、シートを敷き、軽い食事を並べ、あっという間にピクニックが始まった。


「ほら、あーんしてください」

「しない」


即答した。

リリアの動きがぴたりと止まる。


後ろのメイド達も「おっ」みたいな顔をした。

なんだその反応。


「リオレ様?」

「十二歳男子にあーんはキツい」


「ですが坊ちゃま、寝起きですよ?」

「だから何だ」


「疲れておられますよね?」

「それとこれとは話が別だ」


俺はスプーンを受け取ろうと手を伸ばす。

だがリリアはひょいっと避けた。


「む」

「はい、あーん」


「だからいらんって」

「遠慮なさらず」


「遠慮してない、単なる否定だ」


この人、地味に押しが強い。

俺がジト目を向けると、リリアはどこか不満そうに小さく頬を膨らませた。


いやなんで?


そこで後ろのメイドの一人が、くすっと笑う。


「リリアさん、また振られてる」

「最近毎日じゃないですか?」

「坊ちゃまも素直じゃないですよねぇ」


「はぁ」


俺は深いため息を吐きながら、強引にスプーンを回収した。


「……自分で食べる」

「…………」


リリアが若干しょんぼりした。

全く、リリアは小さい時から歩くヨギボーなのだ。


こいつといると俺がダメになってしまう。


俺は気にしないことにしてスープを口へ運ぶ。

うまい。


疲れた体に染みる。


「……美味い」

「っ……!」


その瞬間、リリアの顔がぱぁっと明るくなった。


「ありがとうございます!」


ちょろい。

いや可愛いけども。


後ろのメイド達もほんわかした空気になっている。


「やっぱり坊ちゃま優しいですよねー」

「なんだかんだちゃんと褒めますし」

「リリアさん限定ですけど」


「お前たちにも感謝してるぞ〜」


俺の言葉を聞いてか、「キャー!」と黄色い歓声が聞こえた。


ふん、我ながら罪な皇子だぜ……


一国の皇子、それも第三皇子に転生した俺は今日も変な始まりの1日を過ごす。


ただ単に無双が好き!強い主人公が好き!

時に傲慢で、時に冷徹な主人公が好きなどうも僕です。


主にカクヨムで投稿していたのですが、こちらでも投稿してみたいと思いすぐ投稿。


執筆に手を出してまだ少しの雑魚ですが、皆様に面白いと思っていただける作品をご提供したいです!


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