最終回
「もう一度やり直そうよ! 天野さん―」
「私は......私は―」
「もう一度やり直すかぁ......いいよ、優君。友達から、またよろしくね!」
「天野さん!!」
よかった。これで全員と仲直りが......
「おい、泣くなよ優。よし! 仲直りが終わったところで! みんなで遊びにでも行くか!」
「上谷君のくせいにいいこというね! 行こ! 優くん!」
「なんか俺の扱いひどくね?」
「ずるいぞ! 私もついていくからな! なあ? いいだろ青井優」
「うん。もちろんだよ」
両手が重いけど......まあいいか。
「じゃあ、私も仕事を切り上げてついていこうかな?」
「氷代子さんも!?」
「あたりまえだろ! こんな、浮気をしそうなやつを放っておけるか!」
「あ......」
まあいいかじゃなかった!
「ちょっと! 二人とも離れて離れて!」
「むぅー!」
「おい! 青井優!」
俺は氷代子さんと腕を組む。
「これでいいですか?」
「ああ」
ニコッと笑う氷代子さん。つられて俺まで笑ってしまう。
「くそっ、優は......もう見ててもムカつかなくなってきたわ」
「私達はムカつくー」
「なー」
机に肘をついて並んでいる二人。
「ははは、二人揃って。もう仲良しだね」
「「仲良くない!!」」
―大丈夫。俺らは大丈夫だ。このままやっていける。このメンツで楽しくやっていけるはずだ!
「じゃあ、行くか!」
「うん! あ、そうだ」
俺は振り返り尋ねる。
「天野さんも行く―」
「その前に......ちょっと、優君と二人きりにしてくれないかな?」
「......二人きりで話したいことがあるの?」
「......うん」
「わかった。みんなは先に荷物でも取ってきてよ」
「おう」
「うらやましいけど、優くんの言うことだからね」
「邪魔したいところだが、復讐だからな......ん? 復讐ってなんだっけ?」
みんなは自分の荷物を取りに教室へ戻っていった。
「おい、優。大丈夫なのか?」
「はい。俺は天野さんを信じていますから」
「......そうか。じゃあ、私も仕事終わりを報告してくるからな」
ドアが閉まり、部屋の中にいるのは俺と天野さんだけ。どちらかが口を開かない限り部屋の中には静寂が訪れ続ける。
天野さん......二人きりで話したいって......何の話だろう。
先に口を開けたのは天野さんであった。
「優君さ」
「う、うん」
「ちょっと、そんなに緊張しないでよ......初めて声をかけてくれた時のことを覚えている?」
「もちろん......覚えているよ」
「その時の優君も今と同じくらい緊張してて......面白かったなぁ優君は」
そう言いながら、天野さんは窓枠に体重をかけ、風で揺らいでいるカーテンの中に姿を隠す。
思い出を振り返りたいのか......? 天野さんは。
「俺も楽しかったよ。天野さんと過ごした日々。天野さんと話すたび心臓がどきどきして......でも、まだ終わりじゃないよね? 一度は変に......ぐちゃぐちゃになっちゃったけど、俺達はまたやり直せるって......」
「......」
この様子、天野さんはまだ納得していなくて......
「あ、あま―」
「やっぱり、そうなんだよなぁ優君は」
「え?」
「私ってモテてたじゃん」
「う、うん」
天野さん?
「だから、昔から声をかけてくる男の器というか性格がわかるようになったんだよね、私」
「そうなんだ」
でも、そのことと話がどう、つながるんだ?
「たいていの男はかっこつけていてばっかりで、貞操を気にしているつまらない男ばっか。でも、優君は違った。優君は最高にダサかった」
「え!?」
「だって、そう思うでしょ? 震えた声して、女の子に声をかけるんだよ? そんなんじゃだめだよ」
ここにきて悪口!?
「でも、そのダサくて自分を飾っていない姿が逆にいいなって思ったの。この人は私に話しかけることで精いっぱいで自分のことが全然見えてないんだなって。そう思えたら優君の行動すべてがかわいく、面白く見えてきて......」
よかった。悪口じゃなかったみたいだ。
俺は天野さんの隣へ行く。
「天野さん、俺は―」
「だから、絶対にほかの人に渡したくないって思ったの」
「天野さん? え?」
カーテンをめくり、窓枠に手をついた瞬間、隣にいたはずの天野さんが消え、俺は宙に浮いた。
最後に見えたのは今まで見せた中で最っ高の笑顔をしている逆さまの天野さんとオレンジ色の空。
そっか。俺はまた間違えてしまったんだな。
何がいけなかったんだろうか?
三尹と諦めないということで和解して、佐倉には復讐という責任を負いながら許してくれた。
亮介とは楽しかった思い出をもとに仲直りを。
天野さんとは―
「あははははは!! 優君!! これで最後に優君に手をかけた女は私だけ!! 私が最後の優君の女なんだよ!! あはは、あはははっははっはははは!!!」
「優!!!!!!」
遠くから氷代子さんの叫んでいる声が聞こえる。
でも、もう遅い。
だって、地面はもうすぐそこ。
タイトルを最終回と書きましたが、本当のtureendは次回の四十三話で書きますのでもう少しお待ちください。
なんで、最終回をマルチエンドにしてバットエンドを先に書いたというと、このままでは四十一話で話がほとんど完結してしまっていて、最終話が主人公たちのその後を書いただけで終わってしまうと思ったからです。
今回で最後にもう一度読者様に驚きを与えられたらなーって。。。。。
次回、本当の最終回です!!!!!!




